プロローグ
今回は召喚する側の話です。
いつもと違う環境に右往左往する人達。
無事に召喚は終わるのでしょうか?
2 召喚する
「準備が整いました。始めさせていただきます。」
部屋に集まった人達がお互いの顔を
見合いながら頷く。部屋には緊張が走る。
部屋の中央に魔法陣が書いてあり
その周りを召喚士達が取り囲む。
「私が良いと言うまでは
その場で静かにお待ちください。
動かれますと、召喚に支障をきたします。」
リオレンが召喚士達の顔を見渡してから
深く息を吸い込んだ。
「では、始めます。」
静かな部屋に召喚呪文の詠唱が響く。
「アル・ネンア・ヴァル・エクザ」
(我が願い聞き届けたまえ)
「エレ片セラフィア・ノル・ヴェリス」
(偉大なる精霊王よ)
「カル・エリシア・ヴェル・エクザ」
(このエグザリアの地に安寧を)
「ノア・セレス・ヴァル・アストリア」
(星々の理をもって運命の門を開け)
「ゼル・エクシア・ヴォカレス」
(異界の地より、
安寧をもたらす者の召喚を願う)
魔法陣が赤黒く光り出す。
(赤色?いつもなら金色か白色の光だが。)
リオレンはカエルヴィロスとエアリアの顔を見る。
2人ともリオレンの顔を見て険しい顔で頷く。
「この召喚は少しおかしいです。
いつもなら魔法陣から出る光は
金色や白色なのです。
私も体験した事のない事なので
皆さま、絶対に動かないでください。」
リオレンが叫ぶと同時に
魔法陣から黒い霧が立ち込めた。
「く、黒い霧?いつもは白い霧なのに。
どういう事よ。」
セラフィーヌが後退りしそうになった。
「馬鹿者、動くな。
召喚が無効になってしまう。
魔力の放出を止めるな。」
「す、すみません。」
「他の者も集中しろ。
あと少しで召喚は終わる。
魔力放出の安定に心がけろ。」
部屋の空気が一気に張り詰める。
「陛下、危険ですからお下がりください。」
ヴェイルがアシュレインの側に
駆け寄ろうとするのを
リオレンが制する。
「まだ、召喚の途中ですので、
少しだけお待ちください。」
ヴェイルが顔を歪め、拳を握り息を整える。
「分かりました。」
黒い霧はゆっくりと晴れていった。
晴れてきた霧の中に刀を構えた男が現れた。
ヴェイルは咄嗟に身構えた。
(この男、できる。
しかし、何故、耳を押さえて
キョロキョロとしているのだ?)
「剣を持った男がいるぞ。
セラフィーナ、油断するな。」
ヴェイルがセラフィーナに向かって叫んだ。
「馬鹿者、召喚者様であるぞ。
ヴェイル、剣を収めよ。」
「しかし、陛下の御身に何かあると。」
「いい加減にしないか。
召喚者様は訳も分からず
こちらの世界に来られたのだぞ。
リオレン公爵の説明にもあったではないか。
警戒されて当然であろう。
早く剣を納めろ。」
「しかし、この者が安全であると
決まったわけではありません。
近衛隊長としては、この状況では
剣は収められません。
リオレン公爵様、もう動いても大丈夫ですか?」
リオレンは魔法陣から目線を逸さずに頷く。
「セラフィーナ、陛下の側に居てくれ。
俺は、召喚者の方を…。」
剣を構えたままでヴェイルは
ゆっくりと前に進む。
「何度も言わせるな、ヴェイル。
召喚者様に剣を向ける事は私が許さない。
これは私の『命』だ。剣を収めよ。」
アシュレインはそう言うと
魔法陣に近づいていった。
「陛下、お戻りください。」
部屋の中に緊張が走る。
慌ててヴェイルは剣を収め、
アシュレインのそばに行こうと走り出した。
突然、男が大きな声で笑い出した。
部屋にいた人達は
ギョッとして男の方を見た。
皆さんが、読んでくださっているのが嬉しいです。
もう少しだけ、プロローグとして話は進みます。
知らない国に、知らない言葉だらけの環境で
慶次はどんな気持ちなのでしょうか。
私なりの気持ちを込めました。




