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冒険者 傾奇者  作者: 豊葵 月


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第22話

第22話です。


慶次の服を買うためにお店に行きましたが、

どんな服を売っているお店でしょう。


服の形を考えていたら中々思いつきませんでした。


異世界の服は中世ヨーロッパの物が多いですよね。

貴族がいる世界なので、当然だと思うのですが、

それはそれで面白くないなと思う私がいます。


それでは、お店に入りましょう。

少し歩くと多くの人で賑わっていた。

「人が多いな。

賑わっているのは國としては良い事だな。」

「そうですね。

ここは帝国に来た人、

ここに住んでいる人の生活を支えている街ですから。

沢山の人が歩いていますよ。

勿論ですが、他の王国から来た人も多いので、

治安がブランタンシアよりも悪く、

その影響でソルメラとプランタンシアの間に

門を設けてプランタンシアへ入る人の

制限をかけているのです。」

「なるほど、争いが無いと言うても

そういった争いはあるのだな。」

「そうですね。

やはり、他の王国の人は色々とありますから。

日常茶飯事って事はないので安心してください。」

「ここには他にも色々なお店が並んでいます。

カフェやレストランもありますよ。

レストランはそれぞれの王国の味を

出すお店もあります。」

「『かふぇ』?『れすとらん』とな?」

「カフェはお茶を飲むお店ですね。

紅茶や珈琲とジュースもありますね。」

「『じゅーす』?『こうちゃ』?『こーひー』?」

「ケイジ様のお国には無い物ばかりですか?

説明が難しいですね。」

カティアはチラリとヴェルダーの方を見る。

ヴェルダーも困った顔をする。

「まぁ、その内に飲んでみるか。

少し興味がある。」

慶次は笑いながら言った。

「ジュースは果物の搾った物でしょ。

紅茶は茶葉を発酵させた物で

珈琲は豆を炒って粉にして飲む物なんですけどね。」

カティアも笑いながら説明する。

「この國の食べ物も飲み物も興味深いな。

知らない物とはいえ、食べたくなる。

これも魔法か?」

慶次は少々驚いて聞く。

「食べ物に魔法はかけませんよ。」

カティアもヴェルダーも大笑いした。

慶次も照れくさそうに笑う。


「あ、マエダ様。

ここが服とアクセサリーの店

フェアリルームです。」

「『あくせさりー』とな?」

「女性の宝飾品ですね。

勿論、男性も使いますが、殆どが女性の物です。

好きな人へのプレゼントに買う人が多いです。

アクセサリーに魔石を使って

保護魔法をかけてもらい

それを渡す人が多いとか。」

「宝飾品か。簪や扇などか?」

「簪はあるでしょうが、扇は?」

「俺の國では女子おなご

顔を隠すのに使うておるな。」

「扇子かしら?皇后様がお使いになっている。」

「まぁ、とりあえず中に入りましょう。」

ヴェルダーが促す。


慶次達は店の中に入って行った。


「いらっしゃいませ。

あら?カティアちゃん、久しぶりじゃない。

え?ヴェルダー様も?え?2人は…。」

「ち、違いますよ。

今日は召喚者様のマエダ様をお連れしたんです。

マエダ様の服を見繕って貰いたくて。」

「あら?そうなの?勘違いしてごめんなさいね。

あら、やっぱり、召喚者様って男の人?

って事は陛下が昨日言われたけど、

召喚は失敗したのね。

ここらではその話題でもちきりよ。

聖女様の召喚が駄目になったら

この国はどうなるのかしら?

やっぱり、他の王国へ引っ越す方がいいのかしら。」

カティアと話していた女性が一方的に話す。

店内も騒然としました。

「ちょっと、ソフィアさん。

そういう話は止めて貰えますか?」

カティアは困惑して慌てて止めるが、

ソフィアは止まらない。

「え?でもね。

聖女様が召喚して来てくださるから

この国を魔物から守ってもらえるのでしょう?

聖女様が召喚されないのなら

守って貰えないって事よね?

次に召喚の儀をされると

陛下は仰っていたけどね。

それも成功するとは限らないって事よね?」

「ソフィア、その話を

召喚者のマエダ様の前でする事が

どれほど酷い事か分からないのですか?」

ヴェルダーがソフィアの話を遮る。

「あ、でもね。」

「いい加減にしてください。

その話だとケイジ様が悪いって

言ってるのと同じ事ですよ。」

カティアはソフィアの声を遮り、怒鳴る様に話す。

「俺は気にしないぞ。

そう思われるのは当然の事だろ?

俺が呼ばれた理由も全く分かっておらんのだから。

カティア、ここに居続けると店に迷惑がかかる故、

出ようか。服をどうするかはまた考えよう。」

慶次の顔は怒りでも悲しみでもなく

哀れみだった。

それを見たソフィアは顔色を変えた。

「す、すみません。

そういうつもりでは無かったのです。」

「いや、それは致し方ない事だ。

俺は気にしていないから大丈夫だ。」

慶次はそのまま背を向けて店を出た。

「あ、ケイジ様。待ってください。」

カティアが慌てて追いかける。

「ソフィア、この事は申し訳ないが

陛下に報告させてもらう。」

ヴェルダーが店を出る前に

ソフィアに対してそう話した。

ソフィアは真っ青になり追いかけるが

慶次達は既に別の場所へ行った後だった。

「ケイジ様、本当に申し訳ありません。

別の店に行きましょう。

ここでなくても服を売っている店は

まだまだありますから。」

「そうか。すまんがそうしようか。

俺のせいですまんな。」

「マエダ様は一切、悪くはありません。

陛下は昨日の段階でケイジ様の話を

きちんと帝国民に話をしていたのです。それを…。」

「先程も言うたが、この國の人達は不安なのだろう。聖女様という人物が自分達の生活を

守ってくれると信じておるのだから。」

「その通りです。

でも、だからと言ってケイジ様が

お店に来られたと聞いているのに

ああいう話をするのは

陛下の気持ちをも踏み躙る行為ですから。」

カティアは目に涙を溜めて話す。

「カティア、ありがとう。

俺は本当に気にしておらん。

そういう事を俺の國でも

嫌やという程、味わっておるからな。」

カティアは驚いて慶次を見る。

「え?ケイジ様はご自分の国でも

あんな事が当たり前にされていたのですか?」

「そうだな。俺がと言うよりも武士がだろうな。

俺の國では農民の生活は

本当に困窮しておったからな。

武士が一番いい生活をしておったから、

農民の不満は溜まる。

しかも、戦さが頻発すると農作業もままならない。

確かに、兵士として雇われて金は手に入るが、 

その時は作物を作れない、

作っているといっても女子おなご

年寄り年端もゆかない子供の作業だから

思う様に作業は進まない。

戦が終わった後はまた困窮した生活が

待っているという悪循環だ。

俺達、武士もののふにも不満が溜まり

喧嘩をふっかけられるなんぞ、

日常茶飯事だったな。」

慶次は事も無げに笑って話す。

カティアもヴェルダーもその様子に息を呑んだ。

(なんて厳しい世界なのかしら。考えられないわ。)

(この御仁の世界はどんな世界なんだ?

俺がマエダ様の立場なら…。)


3人は黙って歩き始めた。


「ヴェルダー様。

服の売っているお店は他にどこにありましたっけ?

あのお店は女性のお店って感じだったでしょう。

男性はどんなお店で服を買いますか?」

「そうだな。俺は支給された服で満足しているんだ。お洒落には疎くて。すまん。」

「そうなのですか?でも、お洒落ですよね?」

「そうか?いい服を支給してもらっているんだな。」

ヴェルダーは笑って答える。

「そういう事なのですか?」

カティアは困って聞き返す。

ヴェルダーは笑いながら

「ちょっと待っていてくれ。聞いてくる。」

ヴェルダーは慶次達を残して路地に入っていった。

しばらくするとヴェルダーが帰って来た。

「この路地から隣りの通りに

ヴァルディオルという店があるらしいのです。

そこに行ってみましょうか。」

「そうですね。一度、行ってみましょう。

ケイジ様の気に入る服が有れば良いのですが。」

カティアは心配そうに慶次の顔を見る。

「俺の事は気にしなくで大丈夫だ。

色々な店を見て回るのも一興だろ?」

慶次は全く気にしていない様子に

ホッとしてカティアはヴェルダーに話す。

「では、ヴェルダー様、

ご案内していただけますか?」

「分かった。こっちだ。」

ヴェルダーを先頭に店に向かった。

隣りの通りに出るとまた少し雰囲気が変わった。

「ここは、男性が多く通う店がある通りです。

先程の通りと違ってバルや色々な店が並んでいます。女性が来る事は少ないと思います。」

「そうですね。この通りは私も入らないですね。」

「ほぅ。通りによってそういう違いがあるのか。

面白いな。ここは俺も好きな雰囲気だな。」

慶次はニヤリと笑った。

「確かに。男性ならここに通うのは当然かと。」

ヴェルダーもニヤリと笑った。

カティアは嫌そうな顔をして

「2人とも、いやらしい。」

「いや、そ、それは。男のさがというか。」

慶次もヴェルダーも

オロオロしてカティアに言い訳する。

そんな2人を見てカティアも笑い出す。

「男性には必要なんですね。」

「そ、そういう事だな。」

慶次もヴェルダーも俯いてボソボソと話す。

「じゃ、お店に案内してください。」

カティアは笑いを堪えながらヴェルダーに言う。

しばらく歩くと大きな店構えの建物が見えてきた。

「ここです。

一応、店主には話を通しておきましたので、

先程のような事は無いと思います。」

ヴェルダーが慶次に話す。

「手間をかけさせてすまんな。

どんな着物が売っているか楽しみだ。」

慶次達は店に入った。

店内は落ち着いた雰囲気で

服やアクセサリーまでも並んでいる。

「え?こんな物まで売っているんだ。」

カティアが驚いて話す。

「いらっしゃいませ、お嬢さん。

驚かれましたか?

女性へのプレゼントに女性のお店に入るのが

抵抗のあるお客様の為に

多くの品物を取り揃えておりますよ。」

恰幅良い男性が話しかける。

「ようこそ、いらっしゃいました。召喚者様。

こちらのお店では男性用は当然の事、

女性の物も取り揃えておりますので、

ゆっくりとご覧ください。」

「前田慶次だ。急ですまんな。よろしく頼む。」

「大丈夫ですよ、マエダ様。

こちらで気に入った物が見つかれば

遠慮なく仰ってください。

無ければ作りますから。」

慶次はゆっくりと店内を見渡す。

見慣れない服が並んでいる。

「店主殿、手に取ってもかまわんか?」

「大丈夫ですよ。

着てもらっても全く構いませんので、

是非、着てみてください。」

慶次は頷き、

ハンガーにかかっている服を手に取った。

「この國の着物の色は俺の國に似ているな。

この色ならば、これは作れるか?」

慶次は懐から紙を取り出す。

「え?ケイジ様?

そんな所に紙を入れておられたのですか?」

「ん?ここに入れるのが普通だろ?」

慶次は不思議そうに話した。

「ケイジ様、紙などの物は

鞄に入れて持ち歩くですよ。」

「え?そうなのか?

ふむ。鞄のとな?何だそれは?」

「ケイジ様の国では鞄が無かったのですか?」

「鞄という物は無かったな。」

「そうなのですね。じゃ、鞄を買いましょう。」

「そうだな。必要になるかもしれんな。」

「では、店主様。

鞄を1つ見繕っていただけますか?」

「分かりました。あぁ、申し遅れました。

私、ヴァルデォオルの店主で

レオン ヴァルシスと申します。

以後、お見知り置きを。

では、鞄はどれぐらいの大きさの物を

ご用意しましょうか。」

「ケイジ様は鞄を持ち歩かれた事が

無いという事ですから、小さめの持ちやすい物を

お願いします。」

カティアはテキパキと話す。

慶次は感心して見ていた。

「レオン殿。こういう着物は作れるか?」

慶次は改めて持ってきた紙をレオンに手渡す。

「マエダ様、私に『殿』は必要ありませんよ。

描いていただいた物を見せていただけますか?」

慶次は直垂ひたたれを描いた絵を見せる。

「下手ですまん。

どうにもペンとインクが使いにくくて

上手く描けなんだ。」

「え?ケイジ様?

昨日、それはいつ描かれたのですか?」

「ん?宴が終わった後だな。」

「え?ケイジ様、昨日寝られました?

朝の訓練も誰よりも早くに

修練場に行かれてたと聞きましたよ。」

カティアが驚いて慶次に尋ねる。

「十分、休ませてもらったよ。

今朝は快適な目覚めだったぞ。」

それを聞いてヴェルダーはゾッとした。

(昨日の宴は深夜の2時まではやっていた。

それから慣れないペンで絵を描いて、

朝は誰よりも早くに修練場に行ってただと?

バケモンだな。)

「まぁ、それは後からで良いのではないか?

先ずはマエダ様の服を買わなければ。」

ヴェルダーはカティアに言う。

納得はしていないが仕方がないと

ため息をついてカティアが頷く。

「レオン。これが俺の國の身分の高い者に

会う時の着物なんだ。

直垂ひたたれといってな。絹でできている。

烏帽子は要らないかな?

必要か?ここの理ではどうだ?」

「帽子は必要ないかと。

しかし、変わった形の服ですね。」

「俺が召喚された時に着ていた小袖を

持って来たんだ。

それを見て作ってくれまいか。」

「分かりました。

では、それは少しお借りします。

ご購入される服は

こういうタイプの服をご用意されますか?」

「いや、この國の着物で用意してくれるか?

この国に馴染むにはその方が良いと思うて。」

「この国の服ですか。

どの様な服がよろしいでしょうか?」

「動きやすいに越した事は無いが、

冒険者はどんな着物で生活しているんだ。」

「冒険者の方々は戦い方で服は変わりますね。

戦闘中心の方は動きやすさ重視ですし、

魔法使いの方は自分の好きな服を

着ているイメージがあります。

マエダ様は冒険者として

登録されておられるのですか?」

「いや、明日にギルドへ行って

鑑定をしてもらう手筈になっておる。」

「でしたら、鑑定が終わられたら

また寄ってください。その時にご用意します。

では、今日は普段に着る服を

ご用意させていただきますね。

そうですね…。マエダ様の様な雰囲気方には…。」

レオンがハンガーににかかっている一着を取り出す。

「この様な感じの服はいかがでしょう?」

上着は少し長めで豪華に刺繍が入っている。

刺繍にはキラキラと宝石が散りばめられている。

「ほぅ。これはまた綺麗な物だな。

しかしながらこれは普段着にはならないぞ。」

「そうですか?貴族の方々は

男性でもこれぐらいの宝石は付けておられますが。」

「俺も、目を引く着物は大好きだが。」

慶次はしばらく考えて

同じ場所のハンガーから黒い服を取り出す。

「マエダ様、黒は…。」

「弔いの色だろ?」

「はい。ですから、普段着には…。」

「これに色を付ければ良いとは思わんか?」

「え?あ!ちょ、ちょっと待ってくださいね。

マエダ様!これは大発見です。

服の常識が変わります!」

レオンは大慌てで、紙とペンを持ってきた。

「マエダ様、刺繍は何が良いとお考えですか?」

「俺の國の姫達は長寿を願って

鶴や亀の刺繍をしてある着物を着ていたな。

後は存在しない花で辻が華と言ってな。

枯れないからいつまでも美しくいられるとか。

武士は勝利を願って蜻蛉を刺繍しておった。

勿論、鶴や亀もそうだったし、

松竹梅も人気であったな。」

「成程、勝利や長寿ですか。」

レオンは暫く考えて紙にペンでサラサラと

描いていく。

「書き慣れるとそこまで優美に書けるのだな。」

慶次は感心してレオンのペンを

走らせる姿を見ていた。

「この國では、どんな物が縁起物と呼ばれておる?」

「それはやはりそれぞれの精霊王ですね。

精霊王の実体を描く事は許されておりませんが、

象徴的な画風であれば問題無いと思います。」

カティアとヴェルダーはその光景を驚いて見ていた。慶次が服のデザインを考案し、

それにレオンが興奮した様子で書き記していく。

そして、次々と服のデザインが出来上がっていく。

驚くべき光景の目撃者だ。

「えっと、ケイジ様?

ご自分の服はどうされますか?」

カティアがおずおずと聞くと、

レオンと慶次がカティアの方を向く。

「お、忘れとった。俺の服を買いに来たのだった。」

「これは申し訳ありません。

マエダ様のお召し物でしたね。私とした事が。」

レオンは恐縮した様子で慌てて紙とペンを片付ける。

「マエダ様、私は感服いたしました。

マエダ様のデザインしていただいた服を作って

マエダ様用にご用意させてもらって

よろしいですか?」

「俺は一向に構わんが。

変ではないか?

思いついたままを話しただけなんだが。」

「いえいえ、こんな素晴らしいデザインは

初めてです。これは売れると思います。

この服はマエダ様が

昨日の様な宴や晩餐の時に来ていただけたら

私としては大変喜ばしい事ですが、如何ですか?」

「では、それを俺の着物として

用意してもらおうか。」

「そう言えば、姫達の着物のは

季節によって色を重ねるのだが、

そういう着物はどうだ?」

「色を重ねるのですか?

ちょっと待ってください。

セレーネ、こっちに来てくれ。」

レオンは慌てて誰かを呼んだ。

「はい、叔父さん。どうかされましたか?」

呼ばれたセレーネが店内に入って来た。

「マエダ様、この子は私の兄の子でして。

修行にこの帝国に来たばかりでして。

セレーネ、この方が召喚者のマエダ様だ。

女性の服を教えてやってもらえませんか?

これはかなり斬新です。

色を重ねるなど考えた事も無かった。」

興奮した様子でレオンが話す。

「初めまして、マエダ様。

私はレオンの姪のセレーネ ヴァルシスと

申します。今後ともよろしくお願いします。」

「俺は前田慶次だ。よろしく頼む。

俺の國の公家の姫君達の着物の話をしていたんだ。

季節ごとに色を重ねて着物を着るんだ。

春だと一番上に唐衣という着物の色が一番濃い。

そこから薄くしたり別の色で季節を表し

最後に濃い目の色を合わせたりと色々あるな。

まぁ、ここは俺の國では無いし、

好きに合わせても良いんじゃないか?」

慶次が笑って答える。

「色を重ねて季節感は良いですね。

貴族の方のドレスに使えそうです。」

終わらない服講座にカティアもヴェルダーも

呆れて笑うしかなかった。

「ケイジ様って子供みたい。」

カティアが呟く。

それを聞いたヴェルダーは笑ってしまった。

(確かにな。この御仁、

掴みどころの無いお人だな。)

「ケイジ様。ご自分の服はどうされるのですか。」

カティアが慶次に再度、声をかける。

「あぁ、すまん。すまん。

つい、夢中になってしまった。」

レオンも顔を真っ赤にして謝る。

「本当に申し訳ありません。

マエダ様のアイデアがあまりにも素晴らしく

斬新だったので、ついこちらも

夢中になってしまった。

しかし、これは陛下にお見せしたいな。

明日のご予定を確認して貰うか。」

レオンがブツブツと独り言の様に呟く。

セレーネは笑いながら

「本当に申し訳ありません。

マエダ様がご利用の服は

見繕っていただけたのでしょうか?

他に何か入り用の物はありますか?」

「そうですね。

とりあえず、普段に着れる服を

数着購入したいと思っています。

ケイジ様に任せていたら日が暮れてしまうので、

お任せしますので、

お城に持って来てもらえますか?」

「分かりました。

普段に着られる服はどんな感じの服が

よろしいでしょうか?」

「そうですね。

動きやすく着やすい物をお願いします。

枚数は多くても大丈夫です。

朝も鍛錬されますし、

着替えは多い方が助かります。」

カティアとセレーネが

勝手にどんどん話を進めていく。

ヴェルダーと慶次は驚いて2人の話を聞いていた。

「俺の服だよな?」

「えぇ、そうです。

でも、ケイジ様に任せていたら

決まるものも決まりません。

今日はまだ、この後の予定もありますから。」

カティアがセレーネに

次々と服を着て注文していく。

「俺の好みは?」

「え?好みですか?

好みを確認していたら日が暮れる事に

今、気が付きました。だから、私が決めました。」

カティアが文句があるのか?という顔で慶次を見る。

「そうか。それは助かった。」

慶次は何も言えずに俯いた。

それを見たヴェルダーは思わず大笑いしてしまった。

「すみません。子供の様だと思ってしまって。」

カティアがヴェルダーを睨む。

ヴェルダーは口を押さえて目線を逸らす。

「やはり、どの國も女子おなごは怖いな。」

慶次はカティアに聞こえない様に

ヴェルダーに耳打ちをする。

「ケイジ様、聞こえていますけど。」

カティアは鬼の形相だ。

「す、すまん。許してくれ。

これで俺の服は大丈夫か?」

「はい、大丈夫です。

後はケイジ様が頼まれた

直垂ひたたれという服と

晩餐などに着る服でとりあえずは大丈夫です。

あ、鞄もお願いします。」

カティアの剣幕に店の中は静まり返った。

「では、マエダ様。

ご注文の品物は明日にでもお届けにあがります。

ヴェルダー様、

その時に私が陛下にお会いする事は可能ですか?」

レオンがヴェルダーに尋ねる。

「そうだな。陛下の予定を確認して、

また連絡するよ。今日は急だったのに助かったよ。

ありがとう。」

「いえいえ、こちらこそ本当にお世話になりました。この服は流行りますよ。

ヴェルダー様も出来上がって店頭に並んだ際は

是非、ご購入遠お願いします。」

レオンは深々と頭を下げた。


「では、マエダ様。次は何処へ行かれますか?」

ヴェルダーが慶次に尋ねる。

「次は、道具屋と言ったか?」

「そうです。ゼフィールエンポリウムですね。

キセルとか仰っていた物も

ここで聞いてみましょう。」

カティアが涼しい顔で話す。

「そうか。それは楽しみだ。」

慶次はワクワクしながら答える。

「では、レオン。世話になった。

着物、楽しみにしている。」

慶次達はヴァルディオルを後にした。


いつも読んでいただきありがとうございま


やはり、こういった世界でも

誰でも大歓迎で仲良くしましょではないかと思って

お店の方には悪者になってもらいました。

不安は全てが完全に解消されないと増幅しますよね。

それを解消するにはやはり安心材料が

絶対不可欠だも思います。


今回はかなりの長文になってしまいました。


次回は慶次に絶対に必要なキセルを

作ってもらえるかもしれないです。


次回も楽しみにしてください。


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