第21話
第21話です。
城下町に来ました。
ここから色々なお店に買い物に行きます。
どんな物が手に入るでしょう。
ソルメラは街に出た。
門の前に1人の男が立っていてこちらを見ている。
「あ、召喚者のマエダ様ですね。
おまちしておりました。
私は第2兵団のヴァルター クロイソです。
今日はよろしくお願いします。」
「俺は前田慶次だ。今日はよろしく頼む。」
2人は握手をしてソルメラの街へ歩きだした。
「では、マエダ様、どちらへ向かいますか?」
「あ、ヴァルター様。
まずは、フェリアノーヴァへ行ってもらえますか?
マエダ様の故郷の調味料を購入した店なのです。」
「フェリアノーヴァか?
分かった。では、そこに行きましょう。」
ヴァルターが先頭で歩き出す。
しばらくして大きな建物の前に着いた。
「マエダ様、ここがフェリアノーヴァです。」
慶次は子供の様な目で店を見る。
「マエダ様、ちょっと声をかけてきますね。
待っていてください。」
エリーが店の中に入って行った。
しばらくするとエリーナが
女性と共に出てきた。
「初めまして召喚者様。
私はこの店の店主の妻で
マリエル ローディスと申します。
実は、昨日の購入していただいた味噌は
味噌ではなくて…。」
「溜であろう?」
慶次が聞くと
「そうなのです。
醤油という調味料で溜よりも
少し軽い味の物なのです。」
「ほぅ、醤油とな?
溜では無かったのか。
よく似た味だったが。」
「はい。溜は味噌を作る時に
手に入る物ですよね?
しかし、醤油は味噌と同じ様な材料で作るのです。
溜よりもサラサラしているんです。
あ、すみません、私ったら。どうぞ店の中へ。
召喚者様の故郷の物があるといいのですが。」
慶次はマリエルに連れられて店の中に入って行った。
店内には色々な食品が並んでいた。
「女将、見せてもらっても良いか?」
慶次は既に商品を見ながら聞いた。
「どうぞ、故郷の物があれば良いのですが。」
「そういえば、米という物は無いか?」
「お米ですか?
これがここでのお米という物ですが、
召喚者様のお国のお米と一緒ですか?」
マリエルはおずおずと聞いてきた。
慶次は言われた商品を見た。
「うーん?どうだろうか?
良く似ておるが。少し食べてもいいか?」
「え?そのままでは無理ですよ。
これは鍋で煮込んで食べる物ですから。」
「俺の国でも生では食べないが、
食べてみれば味で分かるやもしれん。
形が少し違うからな。
米では無いと思うんだが、味がわからん事には。」
「そうでしょうが、生ではお腹を壊しますよ。
今日はまだ煮てないので。どうしましょう。」
マリエルは困った顔をしてみんなの顔を見る。
「とりあえず、買って帰りましょう。
料理長に作ってもらって食べてみれば分かりますよ。
調理方法を教えてください。」
エリーナがマリエルに言った。
「あぁ、そうね。エリーナちゃん、
これはサービスで持って帰って。」
「ダメですよ。マリエルさん。お金は払います。
サービスばかりしていたらお店が潰れますよ。」
「でもねぇ。
昨日のお味噌もあの人が
間違ってなかったらちゃんと
お味噌が渡せたのにね。」
マリエルは店の奥に立っている男を睨んだ。
男は俯き、神妙な顔つきで立っている。
「え?どういう事?」
エリーナは不思議そうに尋ねた。
「この人、いつも言ってるのに
ちゃんと人の話を聞かないで売ったりするから。」
鬼の形相のマリエルに男は
「だから、スマンって。
ちょっと間違えただけだろ。」
「ちょっと?ふざけないで。
店の信用にも関わるのに。」
マリエルは大きな声で男に話す。
男は身を縮こめ
「だから、スマンって。」
大きなため息をつきマリエルが慶次に紹介する。
「このボンクラがこの店の店主のエヴァルトです。」
エヴァルトは泣きそうな顔だ。
慶次は思わず笑ってしまった。
「どの國も女子が強いのだな。」
「え?召喚者様?
何を言っておられるのです。
店の商品を店主が間違えて売るなんて
言語道断なのです。
あ、お味噌と言われておられましたね。
これがお味噌なのですが、どうでしょうか?」
マリエルは店の奥にある樽に
入っている物を指差した。
慶次は樽に近づき匂いを嗅ぐ。
「おぉ、これは味噌だな。
女将、ちょっと舐めてみても大丈夫か?」
慶次の顔が綻んだ。
「はい。ちょっと待ってください。」
マリエルは店の奥からスプーンを持ってきた。
スプーンですくって慶次に渡す。
慶次はそれを食べてみた。
「これは、味噌だな。」
慶次の顔がここに来た時の一番の笑顔で笑った。
「では、これを買いましょう。
調理方法もお願いしますね。」
エリーナが言う。
「簡単に買うと言うのだな。」
「え?当然ですよ。
マエダ様の故郷の調味料なのですから。」
みんなが当たり前の様に頷く。
「そう言うものなのか。」
慶次は驚いた。
使い方も分からない物を
簡単に受け入れる姿勢に心底驚いた。
(これが争いの無い國の真髄か。)
慶次は改めてこの帝国の心の豊かさに気付かされた。
「それでは、他の商品もご覧くださいませ。」
マリエルに促され慶次は店の商品を
ゆっくりと見て回った。
慶次が知らない食材もあったが、
似ている食材が多かった。
「女将、これはなんだ?もしかして海苔か?」
慶次が瓶詰めの黒い物を指差す。
「そうです。海苔の佃煮です。
この佃煮を一枚にした物が味付け海苔です。」
「ほぅ、旨そうだな。
これを米につけて食べれば…。」
「じゃ、これも買います?」
「いや、米がなければ話にならん。」
「そういうものですか?
パンにつけても美味しいと思うのですけど。」
「そうね。美味しいと思うわよ。
じゃ、これは味見用にサービスするわ。」
マリエルは店の奥から小瓶を持ってきて
海苔の佃煮を入れてエリーナに渡す。
慶次は店名の奥に並んでいる魚を指差す。
「女将、これは鯖の干物か?」
「召喚者様、それはツバスですね。
他の魚もありますよ。
召喚者様はへしこはご存じですか?
糠漬けなのですが。」
「糠漬けは京の都で食べ事があるな。
ここにもあるのか。なれ鮨も旨かったぞ。
若狭の國から良く魚が届いていたな。
夏には烏賊が届くんだ。」
慶次は懐かしそうに干物に目をやる。
「しかし、本当に俺の國の物に似た物が多いな。
城での食事にはまったく並んでいなかったのに、
何故だ?」
「私の国はシルヴディア王国です。
ですから、故郷であるシルヴディアの食材を
売っているんですよ。
なれ鮨ですか?それは知らないですね。」
「確か、薬調合に長けている鬼人種族だったか?
なれ鮨は無いか。米も期待薄かもしれぬな。」
「そうです。ご存じでしたか。」
「先程、ユリウス殿から
それぞれの王国の話を聞いたんだ。」
「そうだったのですね。
主人はこの国出身なので結婚して
この国に来たわけなんです。
この国にもシルヴディア王国の人がいるので、
買って行くのはその人達が大半です。
あ、召喚者様はお漬物はお国にありましたか?」
「漬物か。何がある?」
慶次の目はさらに輝きを増す。
「大根と茄子、胡瓜に人参もありますよ。」
「知らない物もあるな。これはまた奇抜な色だな。」
「人参はご存じなかったですか?
美味しいですよ。
この店の商品は主人が仕入れるんです。
この人、目利きだけは天下一品で。
それらの仕込むのは私の役目なんです。」
「漬物も干物も全て女将がするのか?
それは凄いな。」
「目利きだけってそんな言い方…。」
マリエルに睨まれて黙り込んだ。
慶次は思わず笑ってしまった。
「女将、俺に免じて許してやってくれないか?
見ていて気の毒すぎる。」
「良いんですよ。
反省してもらわないとこちらが困りますから。
あ、召喚者様、お漬物はどうされますか?」
「米が無い事にはな。ところで女将。
その召喚者様ってのは止めてくれないか。
慶次で良い。」
慶次にそう言われて困惑した顔でエリーナを見る。
「え?じゃあ、
私もそう呼ばせてもらっても良いですか?」
エリーナが聞く。
「構わんよ。
そもそも、『様』も必要ないと
思っておるのだがな。」
「それは流石に無理ですよ。」
「では、ケイジ様。
お米かもしれないという物を
確認していただいてからまたお越しください。
干物と糠漬けは買われますか?」
「エリーナ殿、夕食の食材を
勝手に決めるのは駄目では無いか?」
「え?何故私に『殿』なんですか?
カティアは呼び捨てなのに。」
「ん?カティアはそう呼んでくれと
言うておったし。」
カティアは誇らしそうにエリーナを見る。
「じゃ、私もそう呼んでください。」
「そうか?」
「マリエルさん、
メインはこれから決めると思うから、
これから納品してくれる?
どっちが美味しいかしら?」
「そうね。味に抵抗が無いのは干物ね。
簡単に言うと干しただけだから。
勿論、味は付けているんだけどね。
糠漬けは結構、クセがあるから。
好き嫌いがはっきり分かれると思うわ。
サバのへしこは私は好きなんだけどね。」
エリーナはしばらく考えて
「じゃ、ケイジ様の故郷の味って事で
へしこにしよう。
マリエルさん、そのへしことお味噌と
お味噌の使い方。
それからそのお米はとりあえずは少しだけ。
これをお城まで納品してください。」
エリーナは紙をマリエルに手渡す。
「帰りはいつも通りだから。」
エリーナはマリエルにそう告げる。
「分かったわ。
へしこはどれぐらいいるかしら?
お味噌は日持ちするから少し多めにしてと。」
「へしこは陛下にも食べていただきたいから
100人分で良いかな。
少し多めで仕入れるわ。では、頼みます。」
「分かったわ。何時に納品すれば良いかしら?」
「今、2時でしょ。
遅くとも3時半ぐらいには納品して欲しいけど、
大丈夫かな?」
「大丈夫よ。今から揃えて納品するわ。」
話がまとまるとエリーナは慶次の方を向き
「じゃ、ケイジ様。
夕食、楽しみにしていてくださいね。
ケイジ様の故郷の味が出せたら良いけど。
あ、そう言えば、お味噌って
ケイジ様のお味噌汁の調味料ですか?」
「あぁ、そうだ。
野菜を入れて味噌で味付けした汁物だな。」
「じゃ、マリエルさん。
明日の朝食に作ってもらいたいから、
作り方とお野菜も。」
「分かったわ。
お味噌は使い方が色々あるから、
それも書いておくわね。」
「では、よろしくお願いします。
ケイジ様、私はこれから帰って
料理長にこの事を報告してきます。」
「あぁ、夕食を楽しみにしているよ。
女将も手を煩わせるがよろしく頼む。」」
慶次はここでエリーナと別れた。
「すまん、待たせたな。
では、次はどこに案内してくれるのだ?」
「大丈夫ですよ。
ケイジ様が嬉しそうで私も嬉しくなりました。」
「自分の國を出て2日しか経っておらんのに
懐かしくてな。
知らない世界で自分の知っている味に
出会えて嬉しかったぞ。」
「そうですよね。
あの白い物がケイジ様の
お国の米とか言う物だと良いですね。」
「そうだな。
しかし、なれ鮨が無いと言うておったし
期待薄かもしれぬ。」
「まぁ、帰ってからのお楽しみ
という事にしましょう。
では、ケイジ様。道具と服と
どちらが見たいですか?」
「そうだな。道具は色々と頼みたいからな。
着物から見せてもらおうかな。」
「では、フェアリルームですね。
では、行きましょう。
ヴァルター様、よろしくお願いします。」
カティアはマリエルに頭を下げ、歩き出した。
「女将、また買いに来るぞ。この店は気に入った。」
「お待ちしておりますね、ケイジ様。
ありがとうございました。」
マリエルは深々と頭を下げて
店の中に入って行った。
慶次はカティアに連れられ
フェアリルームに向かった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
慶次が日本の食材を堪能していましたね。
戦国時代に有った物、無かった物
色々と調べてみると面白いです。
今では日本食の食材代表という物でも
戦国時代には無かったり
もう、あまり食べない物が
戦国時代では絶品だったりしますね。
次回は服選びです。
傾奇者と呼ばれた慶次のファッションセンス
どうしようかなとあれこれ考え中です。
では、次回をお楽しみに。




