第10話
第10話です。
魔法をどの様に表現しようかなと考えたのですが、
イメージと詠唱と考えた時に
一言の詠唱にイメージを付けた方が
面白いかと思いました。
威力を増すごとに詠唱を変えるのも
一つの手ではありますが、
詠唱一つで色々なバリエーションも面白いかなと。
「マエダ様、その風は風魔法ですか?」
ヴィクトリアは慶次の側に駆け寄り話す。
「風魔法?いや、俺は魔法は使えん。
これは普通の鍛錬だな。
この棒を振り回しただけだ。」
「え?これが普通ですか?
いや、俺、勝てないかも。」
ガイウスが呟いた。
アルドリックもガイウスも頷く。
慶次はその言葉に驚いた。
「そんな事は無かろう。
ヴェイル殿のあの動きは俺に匹敵するぞ。」
「あぁ、あの方は別格です。」
ガイウスが言う。
「人の何倍も鍛錬を欠かさないし、
色々なスキルを持たれているので。」
慶次は驚いた。
(この國の豊かさと兵力は別なのか?
俺の國だと國が豊かなら兵力も大きい。
人の多さもあるが、個々の力も凄かった。
この國では、スキルというものが
そこまで個々の力の格差になるのか。)
ユリウスがブレスレットで話し終えて
「今、宴の準備の状態を確認しています。
もう少しなら時間はあるかと思いますが。」
慶次はその言葉を聞いて
目をキラキラさせてユリウスに尋ねる。
「では、魔法のやり方を
少しだけ見せてもらえるか?
ここなら、広くて大丈夫だろ?」
アルドリックはユリウスの
顔色を見ながら答える。
「まぁ、確かに。
ここなら、簡単な魔法を使えますが。」
アルドリックはヴィクトリアの顔を見る。
「ヴィクトリアは帝国一の魔法の使い手なので
コントロールも抜群です。
ここなら、下級の魔法なら影響はないかと。」
「コントロールとは?」
「別の言葉を使うなら、
制御、調整でしょうか。
魔法はコントロールを誤ると被害が凄くて。」
慶次は頷いた。
(魔法とは危険がつきものって事だな。)
ヴィクトリアは頷き、目を閉じる。
(この規模の空間なら、
この程度の威力でいいかな。
そして、部屋の中という事で。)
「フロストランス」
ヴィクトリアは呟いて手をかざす。
ヴィクトリアの周りから水が溢れ出す。
そして噴水の様にキラキラと水が踊りだした。
慶次はその様子を見て驚いた。
(何も無い所から水が?
忍術でも無理だぞ。
しかし、ここは俺の常識は通用しない國。
もしかして、俺でも出来るか。)
慶次は己の好奇心に勝てなかった。
「俺にも出来るか?やってみたい。」
目をキラキラさせて好奇心満載の慶次を
見て周りが笑いだす、ユリウス以外は。
「これは初歩の魔法ですから大丈夫だと。
水はフロストランスと言う呪文を唱え、
水の大きさを頭の中で想像します。
狭いので花に水をあげる感じを
思い浮かべてください。」
ヴィクトリアが言った。
が、ユリウスが慌てて遮る。
「マ、マエダ様。
まだ魔法特性の診断も受けておられないし、
魔法の訓練もされておりませんから
絶対に無理ですよ。」
悲鳴に近い叫びだった。
慶次もヴィクトリアも
そんな事はお構いなしで話を続ける。
「花に水?俺は花に水をやった事がないが、
やってみよう。フロストランスだな。」
「そうです。ゆっくりと唱えてください。
下から水が湧き出るイメージで。」
「イメージとは?」
「頭の中に水が流れてくる事を
思い描いてください。
その流れの大きさを小さめで。」
「成程、やってみよう。」
慶次はヴィクトリアがしていた様に
目を閉じて
「フロストランス」
と呟いた。
ユリウスはハラハラしながら見守る。
(大丈夫なのか?まぁ、もう止められないが。)
慶次の周りで水が跳ね上がる。
「ヤダっ。ちょっと待って〜。」
ヴィクトリアの悲鳴が上がる。
慶次が目を開けると
部屋中が水浸しになっていて
ヴィクトリアも水浸しになっていた。
「おぉ、すまん。
花の水やりなどした事がなくて
とりあえず、自分の知っている
水に関する事柄を頭の中に
浮かべてみたんだが。」
慶次は苦笑いを浮かべた。
その様子を見てアルドリックは
驚いてガイウスの顔を見た。
ガイウスは首を横に振っている。
(魔法を使えないだって。
嘘つけよ。訓練もした事が無いって?
普通に出来てるじゃねぇか。)
ガイウスもアルドリックも
慶次の底知れぬ強さに身震いした。
ユリウスが慌てて制する。
「マエダ様、もうこれぐらいで。
こんな事が陛下に知られたら。」
「え?大丈夫でしょ。建物、壊してないもの。」
ヴィクトリアが何事もなかった様に話す。
「勘弁してください。
貴方がたの不祥事を毎回、
どれほど黙認していると思っているのです。」
その時
「ユリウス?何かあったのか?
なんだこの部屋は?悲鳴が聞こえたが?」
グレゴールが慌てて入って来た。
兵団長た達の顔色が変わる。
(タイミング、悪いじゃねぇか。
これはまた…。)
「あ、グレゴール様。
お戻りになったのですか?
城の外に出られたとお聞きしたのですが。」
ユリウスはホッとしながらも
落ち着いた口調でグレゴールを迎える。
「すまん、俺がやった。」
慶次は頭を掻きながらグレゴールに謝った。
「え?この水をマエダ様が?
どういう事ですか?
兵団長の皆さん。」
グレゴールはそれぞれの顔を見ていく。
全員が項垂れて覚悟した。
(どんなお咎めが待っているか。)
ヴィクトリアが目線を落として
「すみません。
私がちょっと水魔法をお見せしたら。」
慶次は慌ててヴィクトリアの前に出る。
「グレゴール殿、俺が悪いんだ。
ちょっと好奇心に勝てなかった。」
慶次の慌てぶりに
グレゴールは思わず笑ってしまった。
「マエダ様でも慌てる事があるのですね。
召喚の時ですら落ち着いて状況把握を
されていたとお聞きしていたのに。
ヴィクトリア、部屋を乾かしなさい。
マエダ様に免じて今回だけは
お咎め無しとする。次は無いぞ。」
「はい。すみませんでした。」
ヴィクトリアは頭を下げた。
「俺がした事を他人がした事には出来まいよ。」
慶次はホッとして答えた。
(ちょ、カッコ良くないか。)
ガイウスが驚いて慶次を見た。
兵団長全員が同じ考えの様だ。
先ほどと同様にヴィクトリアは
「ゲイル」
と唱えた。
ヴィクトリアの周りに風が吹く。
風が一瞬で広がり水を乾かしていく。
部屋は元通りになった。
グレゴールは部屋が元に戻ったのを確認して、
慶次の方を向いて興奮した様子で話し始める。
「マエダ様、味噌という調味料を
手に入れたのです。
この味噌がマエダ様のおられた国の味噌と
同じだといいのですが。
確かめてもらえませんか?
味噌は厨房に置いてあります。
それから、箸という道具も
ゼフィールズというお店で
作ってもらったんですが、
マエダ様のお使いになっている物と
同じかどうか見て欲しいんです。
同じ物ならばいいのですが。」
ユリウスはグレゴールの
こんなに興奮した姿を初めて見た。
(この人にも人の血が通っていたか。)
慶次もあまりの勢いに
後ずさりしそうになった。
「気に使わせてしまったな。
それなら、厨房とやらに案内してくれるか?」
「そうですね。行きましょう。」
グレゴールのあまりの気迫に気圧され
一同は無言で修練場を後にした。
読んでくださりありがとうございます。
いいねもいつもありがとうございます。
慶次が魔法を使ってみました。
当然ですが、慶次は無敵でないとカッコ良くない。
そんな私のエゴで、
慶次の圧倒的な強さを強調しました。
次回は日本の調味料が出てきます。
あの当時の料理が今の日本食と
どこまで一緒かは分かりませんが、
ザ、日本食で表現しようと思っています。
それでは、次回もお楽しみしてください。




