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冒険者 傾奇者  作者: 豊葵 月


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第114話

第114話です。


山の惨劇が慶次には悍ましい戦国時代と重なります。

野生動物の世界は弱肉強食の世界です。

こういう事があるのは普通の出来事だと

私は思います。


では、楽しんでください。

『《空蝉》道に迷う事なく行きたい。』

『分かってるよ。

でも、この先も魔物が居ないんだよね。

ドライクの捕食を見て逃げたかもね。

とりあえず、慶次が欲しいドライクを

重点的に探す事にする。』

『うむ。よろしく頼む。』

ヴェンは地面の臭いを嗅いでいる。

《風魔》も真似をする。

『いろんな臭いがするね。何の臭いだろ?』

『慶次、向こうに何が居る感じ。

気配が探れないんだよね。

気配を消していると思う。

それから、さっきのオーク達と同じ物がある。 

もしかしたら、ドライクかな?都合良すぎかな?』

その時、ヴェンが動きを止めて顔を上げた。

慶次達が歩く先をジッと見つめる。

それに気が付いた《風魔》が真似をする。

耳をピクリと動かす。

『ヴェン、この音なぁに?』

ヴェンは《風魔》の顔を見た。

『本当に?殿。フェンリルが居るんだって。』

《空蝉》が

『フェンリルなのね。だからか。』

「エルネーゼ、その先にフェンリルが居るらしい。

行ってみるか?」

「そうですね。

何か情報が得られるかもしれません。」

ヴェンの見つめるその先に慶次達は歩き始めた。

しばらく歩くと大きな白い体が見えてきた。

ヴェンよりも一回り大きいフェンリルだった。

足元にはドライクの群れが倒れていた。

ヴェンが頭を下げる。《風魔》も真似をする。

フェンリルは《風魔》を見て驚いている様だった。

慶次は気にせず話しかける。

「これがフェンリルか。

ヴェンよりも大きいな。神々しく美しい。」

慶次がフェンリルを見つめる。

(先程の驚きはなんだ?

ヴェンに対しててはなかったようだが。

《風魔》絡みか。)

《松風》が慶次の前に立ちフェンリルに話しかける。

フェンリルは《松風》を見つめる。

『殿。このフェンリルはこの山の主です。

ドライクが山の規律を破ったから

倒したらしいです。』

『という事は貰えるか?』

『殿。やらん事は無いがと言っていますが。』

それを聞いた慶次はアイテムBOXから

ワイバーンを2匹取り出したり

『これでどうだ?

こいつは凶暴化しておらんから食べても大丈夫だ。』

フェンリルはチラリとワイバーンを見る。

《松風》が

『それで良いそうです。

それから、《風魔》の事を色々と聞かれました。』

『《風魔》の?どういう事だ?』

言いにくそうに《松風》が

『どうやら、

このフェンリルは《風魔》の父親の様です。』

(なるほど、それに対する驚きか。

しかし、何故だ?

もしや、産まれた事も知らんかったという事か?)

その言葉に《風魔》はキョトンとして首を傾げる。

『ママが、パパは僕を守って

死んでしまったと話していたよ。

だから、この人は僕のパパじゃない。』

《風魔》の言葉に

慶次も《松風》も山の主フェンリルも

困った顔をした。

『《風魔》大人というものは

本当の事を言わない時もある。

お前の母も何かの事情で

父親の事を言わんかったかもしれん。

俺にはこのフェンリルが《風魔》の父かは分からん。

が、お前の親が生きておったという事は

喜ばしい事だぞ。』

慶次は諭す様に《風魔》の頭を撫でる。

『ママが、僕に嘘をついたの?』

『そうだな。俺には分からんが、

大人になれば嘘をつかなければいけない時もある。

お前の母はもう居らんから

本当の事を聞く事が出来ないがな。』

《風魔》は考え込む。

『僕は誰を信じれば良いかな。

殿?ママ?パパって言っているこの人?』

『難しい質問だな。

みんなの事を信じてくれんか?

お前の母も父も俺もお前が大切だからな。』

《風魔》はヴェンを見る。ヴェンは頷く。

今度は《松風》を見る。《松風》も頷く。

《風魔》は俯いて考えている様だった。

ヴェンが鼻先を《風魔》に当てる。

『殿、僕は今はまだよく分からないけど、

みんなを信じるよ。

ママが僕に本当の事を言えなかったのは

大人の事情ってやつだよね。

それなら僕はそれが何か分かる様に

頑張って強くなるよ。

ママはいつも言ってた。

パパみたいに強くなってって。

だから、僕は強くなるよ。』

みんなはその言葉を聞いてホッとした。

『そうだな。俺達を信じてくれ。』

エルネーゼが

「慶次、何かあったのですか?」

と聞く。

「いや、何。

このフェンリルは《風魔》の父親らしい。」

その言葉にエルネーゼは驚く。

「え?《風魔》は山の主の子供なのですか?

それは凄い事ですね。

いずれは山の主になるのかしら?」

慶次は笑って

『そうなってくれると良いな。

この山は良い山だからな。

さて、これであらかた片付いたか?

フェンリルよ。《風魔》は俺の契約獣故に

返してやれんが構わんか?

時々、この山を訪れよう。

《風魔》に会ってやってくれ。』

《松風》を介して話す。

フェンリルは《風魔》の顔に自分の鼻先を当てる。

《風魔》は少し照れくさそうに

その鼻先をペロリと舐めた。

『僕、立派なフェンリルになる。

ヴェンに沢山教えてもらうから。』

それを聞いたフェンリルは満足そうに

《風魔》の顔を舐めた。そして《松風》に

『其方達は凶暴化した魔物を追っているのか?

あれを止める事は出来ないぞ。

何せ精霊の意志だからな。』

と話した。《松風》は

『それはどういう事です?

この凶暴化に精霊が関わっていると?』

『まぁ、私達魔物も精霊が創り出したモノ。

逆らえん。この私であってもな。』

そう話し、フェンリルは山奥深くに帰って行った。

《松風》がフェンリルの話しを慶次に伝える。

『《松風》その話しは本当だと思うか?』

『分かりません。

私よりもあのフェンリルの方が精霊に

近い存在ですから、

何か感じているのかもしれません。』

『そうか。

まぁ、分からない事を今探っても無駄足となるな。』

《松風》は頷く。


いつも読んでいただきありがとうございます。


今回は山の主に会いました。

私の気持ち的には

『ものの〇〇〇』

ですね。人が入らない山には

何か得体の知れないモノが居る。

現在の世界ではあり得ないと思われていますが、

その気持ちは大切では無いかなと。


次回は少し休憩してから帰ります。


では、次回を楽しみにしてください。

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