第113話
第113話です。
山の奥へオーク達を追います。
オーク達はまだ歩き回っているでしょうか?
では、楽しんでください。
昨日と同じ様に風を纏い走り抜ける。
街を超えた辺りで立ち止まり
《空蝉》を作動させる。
『さて、やろうか。
《風魔》歩けよ。ヴェンの真似をしてみろ。』
《風魔》はヴェンの横に嬉しそうに並んだ。
「エルネーゼ、目撃情報が無いのなら
人が通らん道という事もあり得るな。
ここら辺はあまり来ないのだろ?」
「そうですね。私は帰れなくなるので来ません。
ただ、魔物の情報は他の冒険者から良く聞きますよ。
みんなはここまで来る事が普通です。」
「なるほど。ここにはどんな魔物がおる?」
「そうですね。そんなに変わりませんが、
山の奥にはワイバーンが居ますよ。
後は、ドレイクも居ますね。
この2種はドラゴン系の魔物です。
ワイバーンは空を飛ぶので
ドレイクと同じ場所に居ても争う事は少ないです。
珍しい魔物だとクサントスやケルベロス。
それからグリフォンとハルピュイアが
出現する時もあります。
まぁ、滅多に出会えませんけど。」
「なるほど。ここは魔物の巣窟か?」
「そういう訳では無いのですが、
この山には動物も同じですが、
人があまり入らないので
珍しい動物や魔物が居ますね。
それぞれの国が近いと冒険者達は活動しやすいので
魔物も動物も逃げるんです。
やはり、魔物も死にたくないのでしょう。」
「そういう事か。
俺の國の動物と同じという事だな。」
「そうだと思います。
人の入らない山奥には色々な魔物が生きています。」
「まぁ、可哀想だが、致し方ない。
出会えば倒すしかあるまい。
ヴェンも《風魔》も昨日の
ゴブリンとオークの臭いは覚えておるか?
それを追ってもらう。」
『昨日の魔物の臭い?僕、覚えていない。』
《風魔》がシュンとした。ヴェンが胸を張る。
『《風魔》これが大切な事だ。
ヴェンに出来る事はお前にも出来る。忘れるな。』
『はい、分かりました。』
『《風月》空から散策してくれ。深追いはするな。』
『分かりましたわ、ご主人様。
では、行って参りますね。』
《風月》は飛び立った。
ヴェンはゴブリン達の臭いを追う。
《風魔》はヴェンの真似をして臭いを嗅いでいる。
ヴェンの動きが止まった。《松風》が
『殿。ヴェンが何かを見つけた様です。』
《空蝉》が驚く。
『地図上には気配が無いけど。』
『どういう事だ?
まぁ、ヴェンに案内してもらうか。
《風月》お前は空から見張れ。』
『分かりましたわ。見る限りは何も居ませんが。』
「エルネーゼ、ヴェンが何かを見つけた様だ。
しかし、地図には反応しておらん。
気を付けろ。何が起こるか、分からんからな。」
「分かりました。」
みんなはヴェンの後をついて行く。
山の奥から血の臭いがした。
「エルネーゼ、気を付けろ。血の臭いがする。」
ヴェンが唸り声を上げて構える。
《風魔》とヴェンの真似をする。《空蝉》が
『沢山、転がってるよ。もう息がないから大丈夫。
これは覚えておこ。
慶次、多分昨日のオーク達だよ。』
「エルネーゼ、昨日のオーク達らしい。
近くに行こう。生きておらん様だ。」
慶次達はオーク達の死骸に近づく。
しばらく行くと少し開けた場所に着いた。
木々の間から日が差し込んでいる。
その開けた場所にオーク達は積み重なっていた。
「これはどういう事だ?」
エルネーゼが近づく。傷口を見て
「これはドライクですね。
ワイバーンは獲物を一気飲みするはずです。
ここの引っ掻き傷もドライクの特徴の一つです。
前足で殴って気絶させるのが
あの魔物の攻撃方法ですね。
ここはドライクの住処だったのかしら?
ヴェン、ドライクに居場所は分かる?」
ヴェンは血の付いたオークの体を嗅いでいく。
《風月》も真似をする。
『血の臭いしかしないよ。』
ヴェンが《風魔》を自分の嗅いでいるオークの傍に
《風魔》を連れて行く。
《風魔》がオークの体を嗅ぐ。
『あ、血の臭いとオークの臭いと何が違うの臭い。』
『嗅ぎ分けられたか?それも大切だぞ。
《風魔》お前にしか出来ぬ事、覚えておけよ。』
「しかし、随分と食い散らかしたな。」
エルネーゼがオークの体に触る。
「そうですね。オークの中の魔石を食べたのかも。
肉も勿論、食べています。
でも、ドライクはオーク達の魔石が
欲しかった様ですね。
多分、数が多くて
肉は食べきれなかっのではないでしょうか?」
「魔石だけを?」
「はい。ドラゴン系の魔物は魔石を食べて
別の種族の種の能力を
自分の物にするそうです。
実際、見るのは初めてですけど。」
「なるほどな。では、オークを持って帰るか。
鑑定してもらおう。
《空蝉》この中に魔石の残っておる
オークはあるか?」
『ちょっと待ってね。調べてみる。』
《空蝉》が丹念にオークの体を見ている。
『中々、無いね。あ、あのオークの下にあるかも。』
《空蝉》が慶次にその場所のオークを退ける。
下からオークが現れた。
他のオークよりも少し小さい様に見えた。
『《空蝉》これか?』
『そうだね。無傷だから魔石も大丈夫だよ。』
『えらく小さいな。』
『そうだね。子供かな?上のオークは親かもね。』
『子供も凶暴化しておっだという事か?』
『どうだろう?
まぁ、一緒だったからそうだと思う。』
それを聞いて慶次は怒りが込み上げた。
「凶暴化かとは無慈悲なものよな。
まぁ、弱肉強食とはいうが、これは耐え難い。
しかし、凶暴化しておっても親は親という事か。
不思議なものよな。本当に凶暴化しておったのか?」
それを見たエルネーゼも
「そうですね。凶暴化すると
自我が無くなるとは言いますが、
分かりませんよね。《風魔》の母親もそうでしたし。
確かに、捕食対象に大人も子供も
関係は無いとは思いますが、これは酷すぎますね。」
無惨に積み上がったオークと
ゴブリンは戦国時代の戦さの後の様だった。
「エルネーゼ、これを食したドライクは
凶暴化しておったと思うか?」
「正直、分かりません。
ドライクは肉食で大食漢ですから、この食べ方は
普通でもあり得ない事では無いと思います。」
「そうか。では、こちらもその様に考えよう。
何でも凶暴化しておると考えるのも
固定観念に縛られすぎる。」
エルネーゼも頷き
「そうですね。凶暴化が理由と思いたいですが、
実際は分かりませんから。」
慶次達はオークとゴブリンを調べ、
持ち帰る物を選別する。
『慶次、何かが来る。
これはワイバーンだと思う。
《風月》は大丈夫かな。』
慶次は空を見上げる。
ワイバーンの群れが空を旋回していた。
《風月》がその後ろに居た。
『《風月》大丈夫なのか?』
『ご主人様、ワイバーン達はオーク達の
血の臭いで来たみたいですわ。
こちらには興味が無い様で
話しかけても無視されるのです。』
慶次は空を見上げ
「ワイバーン、止まれ。」
と叫んだ。ワイバーンがその声に驚き
空中を旋回し始める。《松風》が
『殿。話しをしてみます。』
とワイバーンに声をかける。
ワイバーンがその声に反応する。
『その方ら、何が目的だ?
ワシらを止めるとは怖いもの知らずと言うべきか。』
『その方らこそ、なぜ故にここに来た?』
慶次が《松風》を介して話す。
『それは当然の事であろう。
血肉の臭いがすれば我らは来るに決まっておる。
食糧があるという事だからな。』
『其方らはその為だけに来たと言うのだな、』
『当然だ。
危険を犯さず食べ物にあり付ける機会など
そうそう無いからな。
これはお主達の物か?
まぁ、それであっても奪うがな。』
『そうだな。奪えるものなら奪ってみるか?』
慶次は《風牙》を構えた。
『慶次、ワイバーンとやるの?
ワイバーンは空を飛ぶから打撃では倒すのは
難しいよ。燃やす?』
『燃やすと持って帰れんぞ。また、氷漬けか?』
『スピードがあるからね、
無理だと思う。風で落とす?』
『それで倒せるか?まぁ、やってみるか。』
《風牙》に
「アルカ ゲイル」
と詠唱する。
《風牙》を振り下ろす。
そこから横に薙ぎ払う。風が渦を巻く。
ワイバーンがバランスを崩す。
慶次は再度、上から《風牙》を
振り下ろす。
ワイバーンは風に煽られ下に叩きつけられた。
ワイバーンは地面で蠢く。
慶次は《風牙》を上から振り下ろす。
ワイバーンの群れは無惨にも
地面にも叩きつけられ
《風牙》の最後の一刀で力尽きた。
『慶次、やり過ぎ。
まぁ、ワイバーンはそこまで影響無いけどさ。
皮も肉も大切な素材なんだよ。
ここまでやられて傷が少ないのが
やっぱりワイバーンだよ。』
エルネーゼも驚いて固まっている。
「ふぅ。鬱憤ばらしにもならんな。」
「慶次、これはドライクの事を
非難するのは間違っていますよ。」
エルネーゼは困惑しながら話す。
「ん?そうか?話しが通じない相手は
叩き潰すしかあるまいて。
とりあえず、このワイバーンは全て持って帰ろう。
本来ならオークを食べたという
ドライクが欲しかったがな。」
「それは?体への影響を受けているか
見たいという事ですか?」
「そうだな。調べて貰うには良いと思わんか?
凶暴化した魔物でも安全だと言えると思ったのだが。
居ないのなら仕方あるまい。」
慶次はワイバーンをアイテムBOXに入れた。
「とりあえず、
エルネーゼの報酬はこれで大丈夫だな。
俺の依頼もオークを回収出来たから良いと言えるな。
さて、もう少し調べるか。」
慶次達は山の奥へと入って行った。
いつも読んでいただきありがとうございます。
オーク達は無惨にもやられていました。
凶暴化した魔物の調査が
中々思う様に進みませんね。
地道にコツコツと調べましょう。
次回はもう少し山奥に入ります。
では、次回を楽しみにしてください。




