第110話
第110話です。
レオナへの報告も無事に終わりました。
不可解な出来事。後手に回っているもどかしさ。
不満は呑んで忘れます。
では、楽しんでください。
慶次グリムゾンファルに向かった。
「さて、今日のおすすめが楽しみだな。」
慶次はワクワクしながら店に入る。
クスクスと笑いながら、
エルネーゼも《松風》達と一緒に店に入る。
入って直ぐに声をかけられた。
「慶次。待ってたましたよ。一緒に呑みせんか。」
カインがチームのメンバーと立っていた。
「おぉ、カイン。一緒に呑むか。」
慶次達はカイン達とカウンターに行く。
「今日向かった草原は
いつに無く魔物や動物が多くて驚きました。
昨日の事が嘘の様でしたよ。」
「そうか。俺達は中々大変であったわ。
峠向こうのヴェルシアという町が
凶暴化した魔物に襲われた。」
慶次のその言葉に店内が騒めく。
「グラネイドの商人が
冒険者ギルドに居るなとは思ったんだ。
報告をしに来ていたんだな。」
「そうだ。その商人が峠下の村に知らせたらしい。
町の中もほぼ壊滅しておった。」
カウンターで料理と酒を注文する。
テーブルにつき、話しを続ける。
「町が壊滅?人々は大丈夫でした?」
「町長はやられたと言っておった。
半数の人は生き残っておる。
明日にも支援物資を送る手筈になっておるそうだ。」
「町が壊滅して半数も生き残った?」
「そうだと言うておったな。
で、カイン一つ確認だが。
先の討伐で倒れた冒険者に
魔物が襲いかかったと言うておったな。
襲って来た者を倒したという感じか?」
「えっと、そうですね。」
とカインは少し考え込む。
「例えばだ。逃げる者を追いかけて
倒すなどあったか?」
「いや、魔物を倒す時に
逃げる奴なんかいないでしょ。
いや、あいつ。誰だったか?
Aランクになったばかり奴が
動けなくなってたよな?」
「あぁ、そういえばそんな奴いたな。
ん?でも、アイツも怪我をしていただろ?」
「そうだったか?覚えてないな。」
カイン達が話し合っていた時、後ろから
「そういえば、無傷の奴が確かにいたな。
それがどうした?」
その声の方をカインが見る。
「え?ヴィクトルじゃないか。
今日から討伐の依頼があるとか言ってなかったか?」
「そうだったのだが、
ドラグレイヴの冒険者が
向こうで引き受けたらしい。」
「またか。いつも横から掻っ攫って行くな。
あっちが優先だという事か。」
カインが不満そうに話す。
「どういう事だ?」
慶次が不思議そうに尋ねる。
「あ、ドラグレイヴの暴走は知ってますか?」
慶次は頷く。
「その暴走が起きない様にと
依頼でこっちと向かうがかぶると
向こうに依頼がいくんですよ。
こっちには暴走が無いだろうというのが
向こう優先の理由らしいです。」
カインがため息を吐く。
「あ、それはそうと。無傷のやつが居たか?」
ヴィクトルも当然の様に席に着く。
「居たよ。宵闇の蒋の
ゴードンとかいう奴。
あれは確か戦いに参加出来ていない。
詠唱も出来ずにガタガタと震えていた。」
「ほぅ。という事は戦っていなかったと。」
「あ、マエダ様。カインと一緒だったのですね。
そうです。
言われてみれば、あいつの横のレオは
魔物に攻撃されて瀕死の重傷を負ったはずだ。
カトリーナが半狂乱で魔物を倒したと聞いたぞ。」
「カトリーナは怒ると怖いからな。」
カインは苦笑いした。
「ふむ。
という事はヴェルシアの町人の話しと一致するな。」
ヴィクトルは怪訝そうな顔をした。
「どういう事です?」
慶次はヴェルシアの話しをする。
ヴィクトルはダリウスと顔を見合わせる。
ダリウスが
「という事は。
戦わなければ襲われないという事でか?」
慶次は頷く。
「ヴェルシアの町人の話しを聞く限り
そういう事になるな。
それから、先の討伐での話も踏まえてだがな。」
みんなが困惑の表情を浮かべる。
「それはどういう事ですか?」
「ん?魔物は襲わなければ
襲って来ないという事だろ?
通常の魔物はどうなんだ?
そういう事はあり得るか?」
みんなは顔を見合わせ首を振る。
「あり得ません。
確かに、魔物によりけりとは思いますが、
好戦的な魔物相手だと
逃げればチームの全滅は免れません。
だから、冒険者はどんな魔物でも逃げないのです。」
「なるほどな。
では、この凶暴化した魔物の行動はどう見る?
俺は誰かに操られておるとしか考えられん。
ヴェルシアでも、壊滅と言うても
助かった人も居るし、
建物も全てが壊されたわけでは無い。
普通の戦さでは考えられん。
攻め入った町は全てを焼き尽くすのが通常。
それは人も同じ事。
だが、オークもゴブリンも途中で町から出た。
これは戦さ場ではありえん事だ。
残すと遺恨が残るだろ?そんな事、戦さではせん。」
慶次の言葉にみんなが納得する。
「確かに、そうだな。では、何故?」
ヴィクトルが呟く。カインが
「魔物が操られていたという事はドラグ…。」
と言いかけて止めた。
店内にゾロゾロと
ドラグレイヴの冒険者が入って来た。
「カイン、何か言いかけていたな。俺達が何だ?
何か俺達に聞かれたらマズい話しでも…。」
話している最中に慶次がその口を塞ぐ。
「お前、五月蝿いな。」
その手を振り払い
「お、お前は誰だよ。何しやがる。」
と慶次に向かってくる。
「ちょ、お前。止めとけよ。その人は…。」
仲間に慶次の顔を知っている者が居た様だ。
その言葉を遮り
「あぁ〜。何だよ、お前…。」
その言葉を遮り慶次が店の外に連れ出す。
「店に迷惑がかかるだろ?
さぁ、ここなら許可されておる。やるか?」
ドラグレイヴの冒険者が
「お前、いい度胸だな。
泣いても許さんが良いのか?」
その言葉を聞いて慶次が嬉しそうに
「最近、後手に回っておったから
苛々しておった。丁度良い。やるか?」
カインが慌てて店から出てきて
「慶次。止めてくださいよ。
俺がまた怒られますよ。」
それを聞いた冒険者が慶次の顔を見て
「アッ。す、すまん。俺が悪かった。」
と言ったが遅かった。
慶次は相手の足を祓いバランスを崩した体を
持ち上げて投げ飛ばす。
落ちた冒険者を慶次は締め落とした。
「もぅ、慶次…。本当に参ったな。」
カインが渋々、冒険者を縛る。
しばらくすると兵士がやって来た。
「あ、マエダ様。ありがとうございます。
カイン、ご苦労様。」
兵士にニヤニヤ笑われて苦笑いをする。
「慶次、勘弁してくださいよ。
後片付けが大変だって言いましたよね?」
「憂さ晴らしには良いだろ?」
「いや、憂さ晴らしは慶次だけですよ。
もう、本当に困った人だな。
さぁ、呑み直しましょう。」
いつも読んでいただきありがとうございます。
討伐の話しもゴーレムの話しも
ヴェルシアの襲撃の話しも
何だかガッチリと型にはまりません。
苛々はやはり慶次ならではの解消法ですね。
次回も呑みます。
呑んで話します。
では、次回も楽しみにしてください。




