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冒険者 傾奇者  作者: 豊葵 月


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第107話

第107話です。


町の被害状況を確認しに行きます。

どの程度の被害になっているのでしょう。


では、楽しんでください。

店を出て慶次《松風》に跨り、

エルネーゼもヴェンに跨る。慶次は

「ゲイル」

と詠唱する。慶次達の周りに風が取り囲む。

風の渦の中に慶次達は入っている。

「慶次?これは?」

「いや、少しでも早く行くのに少し試したい。

村に着いた時にエルネーゼに

今の状態を聞くからどんな些細な事でも

俺に言うてくれ。」

「分かりました。では、向かいましょう。」

『《松風》ヴェンと共に一番早く走ってくれるか?

その速さに耐えられれば

町までかなりの速さで行けるはずだ。』

『分かりました。では、参ります。』

ヴェンと《松風》は競争する様に山を降りる。

慶次達の下山は下山している人には

強風が通り過ぎた様に感じている様だ。

下の村まで数秒で着いた。

「これは驚きました。

私、風になったのかと思いましたよ。 

楽しかったです。」

「身体的に何か変化はあるか?」

「大丈夫です。楽しかったです。」

「それならば、町までもこの形で移動するか。

帰りも使えば日暮れ近くに帰れるだろう。

では、村長に会いに行くか。」

「そうですね。

手遅れにならないうちに話しをしに行きましょう。」

慶次達は村へ入り村長に話しをする。

村長や村人は安心した顔で慶次達を歓迎した。

自分達がヴァルシアに向かう代わりに

エグザリアへの報告を頼んだ。

村長は村一番の馬の乗り手を報告に選び、

慶次達はヴェルナシアへ向かった。

ヴェン達のおかげで夕方前には

ヴェルナシアに着いた。

ヴェルシアの門は半分が吹き飛び、大破していた。

エルネーゼはその様子を見て立ちすくむ。

「エルネーゼ、大丈夫か?

無理ならここでヴェンと待っておれ。

俺が町で人々に話を聞いてくる。」

この言葉にエルネーゼはハッと我に返り

「大丈夫です。あまりの事で驚いてしまって。」

ヴェンが心配そうにエルネーゼに寄り添う。

「本当に大丈夫か?無理はするな。

誰でもこの状態を見ればそうなるのだからな。」

「はい。本当に大丈夫です。

とりあえず、入りましょう。」

慶次達は壊れた門の中から町中へ入った。

町に入ると家や店は殆ど崩壊していた。

立っている建物も家の中に入れない様だった。

慶次は辺りを見渡した。

「この惨劇で死人が少ないのか?

あまり倒れている人が居らんな。

まぁ、日にちも経っておるから

埋葬が済んでおるのかもしれんな。

しかし、人の気配は今のところ無いか。」

『《空蝉》人の気配を探れ。

当然だが、魔物の気配も忘れるな。』

『分かった。でも、人の気配は無いと思う。

あ、町の奥に人の気配が。

奥の建物は無事なのかも。』

慶次は《空蝉》が地図に印した場所へ向かう。

奥の建物は比較的被害が少なかった。

慶次は一軒一軒の家を覗いていく。

が、誰も居ない。

一番大きな建物の中を覗くと

人々がその家の中に数人の男が居た。

慶次はドアをノックして声をかける。

「俺はエグザリアの冒険者だ。

この町の長は居るか?」

家の中の人々が驚いて慶次を見る。

恐怖で顔が引き攣っている人も居た。

1人の男が慶次の前に立つ。

「町長はこの間の魔物の襲撃で死にました。

私は町長の息子婿です。シエルと言います。

冒険者の方がこの様な場所に何かご用ですか?」

「被害状況を見に来た。

山の下の村人にはエグザリアの冒険者ギルドへの

報告を頼んだ。詳しく話してくれまいか?」

シエルと名乗った男は

「実は、3日前にいきなり魔物が

この町を襲ったのです。

魔物はゴブリンとオークが居たと思います。

他にも居たと思うのですが、急な事で分かりません。

この町では魔物の襲撃があるかもしれないと

自衛団を町人で作ってはいましたが、 

全く歯が立ちませんでした。

自衛団の者が言うには

いつもより魔物が強く感じた様です。

冒険者の様に戦いに慣れているわけではないので

自衛団の者は一瞬で倒されました。

生き残った人々が

とりあえず、この家に隠れて

魔物が街から出るのを息を殺して

隠れていたという感じです。」

「なるほど、ゴブリンとオークか。

エルネーゼ、この魔物達は手を組む事はあるのか?」

「いえ、無いと思います。

基本、魔物達は同じ種族では行動します。

でも、別種族は行動を共にしないのが普通です。

やはり、凶暴化したのでしょうか?」

「そうだな。

何が目的で一緒に居ったかは分からんが、

この町を襲ったのは紛れもない事実だからな。

もう少し調べる必要があるな。

で、怪我しておる人などはおらんか?

腹は空いておらんか?」

エルネーゼが薬草を慶次が兵糧丸を取り出す。

シエルが涙を流しながら頭を下げる。

「ありがとうございます。助かりました。

魔物はこの町を襲ってから

グラネイドの方へ向かって行きました。

グラネイドまでにはもう村はありませんから、

被害は出ないとは思いますが、

グラネイドが心配です。

聖女様の保護魔法があるのは分かっていますが、

あの国は戦う術が無い王国ですから。」

慶次はエルネーゼを見た。エルネーゼは頷き

「確かにそうですが、大丈夫だと信じたいです。

保護魔法があるので

凶暴化した魔物が王国を襲った事がありません。

でも、今まではという事ですし。

しかも、それぞれの王国は離れているので

もし仮にグラネイドが襲われたと聞いても

救助に行くには時間がかかります。

この町が襲われたという情報が

魔物が着くまでに入っている事を祈るしか。」

と唇を噛む。

「そうだな。

今の状況で、保護魔法を過信してはいかんな。

大丈夫だとは思うが、

村人に頼んだ情報をアシュレイン殿が

グラネイドに伝えてくれる事を祈ろう。

今はこの町の状況を把握して

エグザリアに持ち帰る事が大切だ。

で、シエル殿。

人々はどのぐらい残っておる?

この町から山の下の村への合流が最適か?」

「はい。この家とこの奥の家2軒に

生き残った町人が居ます。

半分以上は生き残っていると思います。

俺達はこの町を立て直して

生きて行こうと残った人々と

話をしたいたところです。」

「そうか。では、アシュレイン殿に

その様に伝えておく。

出来るだけの援助を伝えておく。」

「ありがとうございます。」

「しかし、今までも

この様な魔物の襲撃があったのか?」

「そうですね。

確かにオークやゴブリンなどが

襲ってくる事はありました。

しかし、数的にも少なく

自衛団でやり過ごせていました。

オークは倒せば食糧や素材にもなりますし、

ゴブリンは実は血が魔物避けになるのです。

なので、今回の事が信じられなくて。」

エルネーゼが驚いて

「ゴブリンの血は魔物避けになるのですか?

知らなかったです。」

シエルは

「はい。冒険者の人達は

魔物避けは必要無いでしょう。

だが、俺達は戦う術を知らないので、

先祖代々、色々と試行錯誤して

この方法に辿り着きました。

勿論、全ての魔物に効くわけではありません。

が、効力があったので、頼みの綱でした。

それが全く役に立ちませんでした。」

「あの時、俺は統制が取れておらんと言うたが、

統制が取れた魔物の軍があるやもしれんな。 

まぁ、俺は戦っておらんし、

決め付けるには早すぎるかもしれんが。」

慶次は《空蝉》に

『とりあえず、

この情報を入れてお前の考えはどうだ?』

と聞く。《空蝉》も

『そうだね。

まぁ、情報が少な過ぎるし、

偏った考えは今は駄目だと思う。

ここの人達は戦い方を知らないからね。』

『そうだな。

魔物が襲ってきたという情報は

あるにしてもそれは戦い方を

まとめるには役には立たんな。ふむ。』

「自衛団で生き残った者はおるか?」

慶次がシエルに尋ねる。

「あ、はい。かなりの怪我をしておりますが、

数名は生き残ってくれました。」

「話しを聞ける状態か?」

「えっと、あぁ。奥の家に1人だけおります。

あの家は殆ど被害を受けなかったので

ベッドが使えたので。」

「案内を頼んでも良いか?」

「はい、こちらです。」

慶次はシエルについて奥の家に入った。

奥の家には子供や女性が多く居た。

慶次の顔を見て子供達は

傍に居た女性にしがみつく。

慶次は気にせずにシエルの後ろをついて

自衛団で戦った人が寝ている部屋に入った。

部屋に入ると数人がベッドや床に寝かされている。

「これは、持って来た薬草が足らんかもしれんな。」

シエルが

「大丈夫です。私達も薬草ぐらいは作れますから。

ただ、外に出るのが怖くて

出て行けないのが現状でして。」

慶次は《松風》に

『ヴェンにエルネーゼと

薬草を採りに行ってくれる様に頼んでくれ。』

『分かりました。』

《松風》がヴェンに伝えた。

「エルネーゼ、ヴェンと

薬草を採りに行ってくれるか?」

「分かりました。食べられる物も探して来ます。」

「そうだな。よろしく頼む。

あぁ、《風月》も連れて行ってくれ。

何かあれば《風月》が

俺に知らせる様にしておこう。」

それを聞いた《風月》は

エルネーゼの肩に止まった。エルネーゼは

「では、行ってきます。」

と町の外へ向かった。 


いつも読んでいただきありがとうございます。


町に被害は冒険者であるエルネーゼが

驚く様な状況だったみたいですね。

逃げ惑う町人の話しでは

情報には乏しい様です。


次回は自衛団の町人の話しを聞きます。


では、次回を楽しみにしてください。

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