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冒険者 傾奇者  作者: 豊葵 月


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第6話

第6話です。

いよいよ、慶次がこの国の世界観を

少しだけ感じ始めました。

知らない世界での楽しみや苦労を

慶次は自分の中で

どんな風に感じるのでしょうか。


昼食が終わりミレーナが

食器を下げて部屋を出て行った。


「では、マエダ様。

簡単ではありますが、

魔物の事をお教えしますね。」

「よろしく頼む。」

「この世界には魔物という生物が

各地に生息しています。

実は魔物は、ドラグレイヴ王国の国民には

無くてはならない生物なのです。

勿論、我が帝国でも違う意味で

必要ではあるのですが、

ドラグレイヴ王国の国民の為に

絶対に必要な生物で

全てを排除する事が出来ません。

一言に魔物と言っても様々で、

凶暴化しているのは

大半が強いと言われている魔物です。

そして、魔物は

倒すモノと使用するモノがおります。」

「無くてはならない?

魔物が凶暴化して困っておると聞いたが。

一つの國の為に他の國が

我慢をしているという事か?

使用するとは?何に使うんだ?」

慶次は少し驚いた。

「驚かれて当然かと。

我慢と言われると少し違う感じがしますね。

先程も言いましたが、

この国にも魔物は必要な生物なので、

凶暴化はどうして起こるのかを

解明したいのが本音ですね。

魔物の詳しい事は

やはりギルドで聞かれるのが、

一番納得できるかと思います。

それでは、話を元に戻しましょう。

スライムは先程、説明させていただいた様に

ゴミや排泄物を食べるのです。

そういう意味では、我が国も他国でも

無くてはならない魔物の1匹です。

そういうわけで訳で、我が帝国には

街の中の至る所にスライムがいます。

そして、スライムは

食べさせすぎると巨大化するので、

1ヶ月か2ヶ月毎に今いる個体を逃がして、

新しい個体と交換するのです。

繁殖力も凄いので、そのぐらいの頻度で

スライムを交換しないと

街中にスライムがあふれかあってしまうのです。

他にも使役獣として

人の為に働く魔物がおります。

スライムと異なり人と一緒に行動します。

先程、マエダ様が仰られていた、

農耕にも使います。

使役獣は、その者に一生仕えます。

勿論、戦闘の補助にも有益です。」

「戦さに魔物を使うのか。

驚いたな。実際に見てみないと

理解出来ない事だな。

魔物は人の言う事を聞くのか?

猪や鹿は無理だぞ。」

「スライムは別ですが、

使役獣は頭のいい個体が多いです。

人の言葉を理解して行動します。」

「魔物が人の言葉を理解?」

「驚かれるのも当然です。

農耕に使う使役獣は

そこまで頭は良くはありませんが、

強い魔物になればなるほど、

人の言葉を理解し、言葉を使う事も可能なのです。

そんな強い魔物は個体数も少ないので

そこまで、出会う事はありませんが。」

「理解し難い話だな。

人の言葉を理解し、話せるとは。

これはもう実戦あるのみだな。」

「そうですね。

最初は簡単な依頼を受け、

それをこなしていき、経験を重ねる。

まずはそこからでしょうね。

ギルドでも冒険者や魔物についての

説明はあります。

なにぶんにもマエダ様は魔物という存在を

知らない世界から来られたのですから。」

「そうだな。魔物を倒すか。

ふふっ、楽しみだな。」

慶次はワクワクしていた。

この高揚感は何にも代え難い。


ユリウスは暫く考えてから話し始めた。

「今日は時間があまりありませんし、

魔物の何について話しましょうか?

マエダ様がこれから採取したり、捕まえたり

もちろん倒したりする魔物からはじめましょか?」

「そうだな。

とりあえずはすぐに出会える魔物の事を

聞かせてもらおうか。

採取とは植物にも魔物がおるという事か?」

「そうです。植物にも魔物はありますが、

採取依頼は魔物では無いはずです。

薬草などの事かと

詳しくはちょっと分からなくて、すみません。

明日の冒険者ギルドでの説明で

聞いてもらうのが一番かと。

なので、とりあえず、

スライムの事から始めましょうか。

私達の中では一番身近な魔物ですから。

ちょっと待ってください。

図鑑を持ってきます。」

「図鑑とは?」

「魔物の生態などを書き記した本です。

この国の子供達が

魔物について学ぶ時には

図鑑を見て魔物の事を学び始めます。

魔物の危険性や生態は

きちんと幼い頃から

学んでおくべき事なのです。

街の外には魔物以外でも

危険が沢山あるので、

まずは自分達の身近にいる

魔物の事をきちんと覚える事が大切です。」

ユリウスは図鑑を持って戻って来た。

「俺はこの本が読めるのか?

読めるな。

そう言えば、気が付かなかったが、

普通に話せておるな。」

慶次は図鑑を眺めながら話す。

「それはこの世界に

すぐに馴染める様に読み書きは

この国でもできる様になっているからだと。

それをスキルと言います。」

「ほぅ、スキルとな?」

慶次は図鑑から目を離す。

「はい、ちょっと脱線しますが、

スキルについて少しお話しいたします。

スキルも冒険者として大切な事で

理解し活用していただく事が必要です。

明日の、ギルドに行かれた際に

マエダ様の今のステータス。

ステータスとはマエダ様の今の状態、状況です。

その時にどんなスキルがあるかも調べます。

スキルとは技能や技術の事です。

スキルは本当に色々とあるので

マエダ様が持っているスキルを

ギルドで説明してもらう方が

理解がしやすいと思います。

あと覚えていただくのは、

捕まえたり狩ったりした時に

その魔物からどんな素材が取れるかとか、

ご自分の戦闘能力などが

どれくらい上がるのかという事です。」

「覚える事がかなりあるな。」

「そうですね。

確信ではありませんが、

マエダ様なら魔物と戦えば戦うほど、

色々な事が自然に身につくと思います。

当然ですが、この国での生活もです。

マエダ様の居られた国で出来た事が

そのままこの国でも

使う事の出来るスキルを

持っておられると思います。」

「なるほど、俺の國でやってきた事が

そのままこの世界で通用するという事か?」

「そうですね。

どこまで移行されているかは

私にも分かりません。

明日のギルドでの判定の結果次第かと。

では、本題に戻りましょう。

まずは、スライムですね。

基本は先程説明させていただいた

排泄物などを処理する魔物です。

が、スライムには種類があります。

スライムは3種ですね。」

ユリウス場合図鑑のスライムの絵を

指差ししながら説明する。

「1種目はゴミなどの処理用の魔物です。

この種は殺さず生きたまま捕まえる事が大切です。

そして、後の2種は素材として倒す対象です。

倒して素材を手に入れます。

この種のスライムを倒すと

1種目の素材は治療薬に使えます。

そしてもう1種は毒薬に使用します。」

「毒薬や治療薬の素材に魔物が?

植物ではないのか?」

「植物でもそういう物がありますが、

効力が違うのです。

魔物の方が効果は絶大です。」

「なるほどな。

魔物の方が、よく効くと。」

「そうです。

まぁ、全ての薬の素材に

スライムや他の魔物から出た素材が

適応する訳ではないので、

植物もおざなりには出来ません。」

「そうなのか。

本当に知る事は大切だな。

明日からは本当に大変だな。」

嬉しそうに慶次は頷く。


「そうですね。

まぁ、魔物の種類などは狩ったり、

捕獲した時に覚えていただくのが、

一番の早道だと思います。

採取依頼も同じです。

城の周りには基本的に強い魔物は

居りませんから、

弱い魔物の事を覚えていただいた後に

強い魔物の事を覚えていただく事で

解決できるかと思います。

マエダ様の言う実戦あるのみですね。

マエダ様に鑑定スキルがあると

そこまでかまえていただく事なく

狩りや捕獲、そして採取が出来ると思います。」

「鑑定スキルとな?」

「はい。

鑑定とはその物が

どんな物なのか調べるスキルですね。

これは魔物以外にも使えるので

かなり欲しいスキルではあります。」

「なるほど、鑑定スキルか。

あれば日々の生活にも役立ちそうだな。」

「そうですね。

私自身が持っておらず、

そこまで詳しくないのでよく分かりませんが、

他のスキルと一緒に使ったりすると

それぞれの効果が大幅に上がると

聞いた事があります。」

「そこもまた実戦という事か。」

慶次はニヤリと笑った。

ユリウスは苦笑いしながら答えた。

「そういう事になります。

私がそういった事が全く出来ないもので、

書物や図鑑で学んだ事と実際に使用した人の

聞いた話を話しているにすぎません。

やはりご自分で経験していただく、

経験者から話を聞く、

これに尽きると思います。」

「それは致し方ない。

経験していないものは不確かでも致し方ない。

それこそ、適材適所という事だろう?」

慶次は真顔に戻って答えた。

「そういう事ですね。」

ユリウスは慶次に言われた言葉を噛み締める。

(こういった何気ない言葉が嬉しい。

出来ない事の多い私は今まで肩身が狭かった。

マエダ様はそれを知らない。

そんな中でのあの言葉は素直に嬉しいな。

素晴らしく気遣いのできる方なのだな。)


いつも読んでいただきありがとうございます。

いいねもありがとうございます。

本当に励みになっています。

魔物の生存理由を少しだけ書きました。


次は部屋を出て場所を移動します。

他の部屋での出会いはどんな感じになるのでしょうか。

次回もお楽しみにです。

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