第96話
第96話です。
持ち帰った情報を
ギルドマスターへ報告しに行きます。
情報共有は大切ですよね。
では、楽しんでください。
部屋に入りソファーに腰掛けて慶次が話す。
「とりあえずは山の主に会うた。」
「え?ケルヴァーンにですか?
それは貴重な体験をされましたね。
という事は話をされたと。」
慶次は頷く。
「ケルヴァーンは
凶暴化したドラグニスやドレイクが
襲って来て困っておると。」
「え?あの山にドラグニスやドレイクが
来ているという事ですか?
それは確かに厄介ですね。
あの神獣がいる山奥に行く冒険者は
あまり居ないと思いますが、
迷って入り込んでしまう事もあります。
対策を考えないと駄目ですね。」
「俺もケルヴァーンからの話ではそう思っとった。
しかし、その後山を降りて
ルファゼルの群れに会うた。」
「はい。あの草原はルファゼルの狩場ですから
珍しくは無いと思いますが…。」
レオナはエルネーゼの顔を見る。
エルネーゼは首を振る。
レオナは益々、混乱した。
「えっと、ルファゼルの群れから
情報を得られたという事ですか?」
慶次は頷く。
「ルファゼルのリーダーの話では
凶暴化した魔物は知らないと。
聞いた事も無いそうだ。
まぁ、聞いたことも無いのは
魔物同士で話さんからだろうが。」
「え?どういう事でしょう?
ルファゼルの移動距離はかなりの広範囲です。
その魔物が知らないとは、どういう事でしょう?」
「それが分からないから厄介だな。」
レオナは暫く考えて
「そうですか。
ここ周辺の山や草原では出現し
あの草原や山は居ないという可能性があると。」
「そうだな。それしか考えられん。
それが何を意味するかは俺には分からん。
レオナ殿は今日の情報を得てどう考える。」
レオナは暫く考えて徐に立ち上がる。
机に地図を広げる。
「エルネーゼ、ケルヴァーンにあった山は
どこ辺り?」
エルネーゼは地図を見てその場所を指す。
レオナは地図に印を付ける。
「という事はルファゼルに会ったのは
この草原ですね。」
地図の草原を指差す。
「そうです。その草原の端、山近くです。
ルファゼルは山から降りてきた様でした。」
レオナはその場所にも印を付ける。
「地図だけを見ればルファゼルの移動距離に
あの山は入っています。
ただ、ケルヴァーンが居るので
避けている可能性はあります。
魔物と言えど、動物とあまり変わらないのです。
基本的には無駄な争いは避ける。」
エルネーゼは頷く。
「という事は、あの山に原因が有ると?」
慶次が尋ねる。
「それは早計です。
先日帰って来た冒険者達が討伐に向かったのは
もっと先の山だったはずです。
確か、この山でした。」
レオナが地図に印を付ける。
「この山はルファゼルの移動距離としては遠いか?」
「そうですね。
本当に食べ物が無ければ行く可能性がありますが、
ここ最近は無いと思います。
災害が無かったので
魔物も動物も豊富に居るはずです。」
「なるほどな。という事は
出現する場所が限られておるやもしれん
という事か?」
「そうですね。
今の情報だけだとそう思えますが、
もう少し調査が必要ですね。
この数日の情報だけでの判断は危険です。」
「確かにな。
俺の情報収集も始めたばかりだしな。
考えを固めるのは早計だな。
今までの凶暴化魔物の出現場所と
俺が出会ったモノを記してくれるか。」
レオナは地図に印を付けていく。
『《空蝉》これを覚えておけ。
今後の情報収集にも使うからな。』
『分かったよ。でも、変だよね。
それぞれの王国の近くが多いよね。
最初はエクザリアでしょ。
それから、それぞれの王国の周辺が
出現場所として上がってるよ。』
地図を見て慶次も同じ事を思った。
『確かにな。
しかし、それも早計かもしれんからな。
色々な情報を仕入れた後に考えてみるか。』
『そうだね。この凶暴化の記録は
5年前の記録だからね。』
慶次はレオナに尋ねる。
「これは5年前からの記録か?」
「そうです。5年前からの記録です。」
「なるほどな。
では、これも情報として受け取ろう。
《空蝉》の見解は早計すぎる故、ここでは話さん。」
レオナは頷いた。
「そうですね。魔物達の話が聞ける様になったのも
今日からですから、固定観念にとらわれない様に
するのが今の時点では大切ですね。
では、また明日もお越しください。
目新しい情報が無くても
私が話を聞いた方が良いと思います。
今日の話は陛下にも報告します。」
「そうだな。些細な事でも情報共有が大切だな。
では、また明日来るとしよう。」
慶次達はレオナの部屋から出た。
慶次はエルネーゼに
「今日は助かった。
色々な魔物の情報が《空蝉》に記録出来た。
明日もよろしく頼む。」
「あ、はい。よろしくお願いします。
慶次はこれからどうしますか?」
「今日か?クリムゾンファルで夕食だ。
俺は家では夕食は要らんと
言うておるからな。」
慶次達は受け付けに寄った。
ギルドの中は帰って来た冒険者達が来ていた。
受け付けで
「マエダ様、商人ギルドにも寄ってくださいね。
昨日の報酬が貰えると思います。
今日の分は明日に商人ギルドで
報酬が受け取れますよ。エルネーゼもだからね。」
「そうか、分かった。」
慶次達は商人ギルドに寄った。
「あ、マエダ様。お帰りなさい。
昨日の報酬が決まりましたのでお知らせします。」
「そうか。オズワルドに伝えてくれるか?
金の管理はオズワルドに頼んでおるからな。」
「分かりました。今後もその方で良いですか?」
「そうだな。そうしてくれるか?
まぁ、商人ギルドにはエルネーゼと一緒の時は
帰ったら寄るがな。」
「分かりました。その様に手配します。
あ、それからエルネーゼの今日分は明日で大丈夫?」
「大丈夫よ。いつも様に手続きしておいてくれる?」
「分かったわ。
じゃ、いつもの様に分割して渡すわね。」
商人ギルドの受け付けを終え
「エルネーゼも商人ギルドで
お金を受け取らんのか?」
「あ、そうですね。
昨日は活動していないのでお金は貰えません。
取り分の半分を寄付していますので、
その手続き後の受け取りになります。」
慶次は驚いて
「それなら報酬は多い方が良いだろ?
何故、俺に言わん?」
エルネーゼは驚いて
「え?あ、すみません。
そんなに重要では無いと思ったので。」
「あぁ、すまん。怒鳴る事では無かったな。
今後はそれも重点事項だな。」
「そんな、私の事は大丈夫ですから。」
「それはいかん。
俺の都合で一緒に来てもらっておるのだから。」
エルネーゼは困った様に頷く。
慶次は《空蝉》に
『明日からは魔物の出現が最優先が課題だ。』
と告げる。《空蝉》も
『そうだね。こっちの依頼を重点にし過ぎたね。
分かったよ。』
慶次達はギルドを後にした。
いつも読んでいただきありがとうございます。
5年前からの出現情報と今日の情報。
考えられる話はまだまだ早計ではありますが、
随分と見えてきたかもしれません。
次回はいつもの様に呑みます。
では、次回を楽しみにしてください。




