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魔法チートのなれのはて  作者: ナベのフタ
ダンジョン編
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第4話 川の中の宝箱

「いやっ! だからさっ! 川の中って誰も入らないから宝箱がある場合絶対放置されているだろ!?」

「それは…そうですけど…」


 俺の天才的閃にシャラは呆れ顔だ。分かるよ、「こいつ何言ってんだ?」って顔に書いてあるもん。


「あのね~ラウス様、宝箱が川の中にあるとしてどうやって取りに行くのよ。水の中では魔物に襲われたらおしまいだし、川の底まで行くのに息も持たないわ」


 セノビアが問題点を挙げてくる。だが解決策を用意していない俺ではないぜ!


「俺に考えがある。いいか? ………」

「「………」」


 俺は自分の思いつきを話してみる。

 話を聞いたあとは二人共納得したようで俺に任せてくれた。



「よっしゃー! 宝箱ーっ! サルベージ!!」


 一時間で全ての準備を終えて俺の『川底お宝サルベージ作戦!』が開始された。


「いくぞ! 視界はどうだセノビア?」

「問題ないわ」


 右目を閉じたセノビアがグッドサインを出す。


「ロープはしっかり結んだかシャラ!」

「はい! できました!」

「よしっ! それじゃあいけぇっ! クリスタルゴーレム一号!!!」


 俺の命令でクリスタルゴーレム一号が川へと潜っていく。


「凄いです。本当に動いてます」

「へへ。この魔法チートの俺様には朝飯前だ!」

「本当にすごいわよこれ。ラウス様はやっぱり最高ね♡」


 二人共俺をベタ褒め。

 よせやいっ照れるぜ!


 今回の俺の提案は川の中にある宝箱を見つけることだ。どうすれば川の宝箱を回収できるか考えた結果、俺は魔法で作ったゴーレムに捜索を命じることにした。


 魔法で作ったゴーレムなら水に流されることも呼吸の心配もない。

 問題点があるとすれば魔物の攻撃を受けることと、水中のゴーレムを上手く操作できないことだ。そこで俺が考えたのはこの『ブルーホール』のダンジョンにあるクリスタルでゴーレムを作ることだ。


 このダンジョンの川の底には当然クリスタルも生えており、ダンジョン内と同じクリスタルで作ったゴーレムなら魔物からも襲われることはない。

 水の中での操作問題もセノビアとゴーレムの義眼をリンクさせることでリアルタイムの川底の状況が分かる。川底はクリスタルの発する光で見えないこともないだろうが万全を期して頭に【マジックライト】を装着しておく。

残る問題としてはゴーレムに込めた俺の魔力が結構大きいということと、ゴーレムの稼働時間にも限界があるということだ。


 クリスタルゴーレム一号の可動限界時間は一時間!

 これを過ぎるとただの動かぬクリスタルに戻ってしまうのでその前に回収して魔力を再び込める必要がある。


「どうだセノビア?」

「ええ、問題ないわ。ちゃんと川の底が見える」

「私は魔物が来ないか見張っていますね」


 今回の各々の役割はセノビアがクリスタルゴーレムの目となり、俺が操縦する。シャラはその間俺たちを魔物から守る役割だ。


「あっ! コケ鰐が来たわ!」

「よし、クリスタルゴーレム一号停止!」

「「…」」


 クリスタルゴーレム一号の動きを止めてしばらく無言で待つ。

 

「…いったわ」


 ホッ。

 セノビアの報告を受けて再びゴーレムに探索をさせる。


「それにしても凄い迫力ね。目の前をコケ鰐が通り過ぎていったわ。心臓が止まるかと思っちゃった!」


 そう言う割にセノビアは楽しそうだ。

 いいなー、俺もそのアトラクション体験したい。

 俺も自分の義眼手術をできるようにならないと。


 クリスタルゴーレム一号、探索から…40分経過。


「あっ、あったわ!」

「本当か!?」

「え、ええ! 間違いないわ! 宝箱よ!」

「いよっしゃーーー!!」


 見つけたぜ宝箱!!

 途中魔物と遭遇してハラハラドキドキのスリルを味わって楽しそうにしているセノビアにどれだけ嫉妬したことか!


「見つかったんですか!?」

「おう! クリスタルゴーレム一号の稼働時間は残り二十分。のんびりはしてられねぇ。

 セノビア確実に行くぞ!」

「わかったわ」

「頑張って下さい!」


 シャラに応援されながら俺はセノビアの支持通りにゴーレムを遠隔操作する。


「そう、そのまままっすぐ…そこよ!」

「掴めクリスタルゴーレム一号!」

「掴んだわ!」

「でももう時間が!」

「よしっ! 引き上げ開始だ!」


 クリスタルゴーレム一号がここまで戻るのに残り十五分では間に合わない。

 なので俺はあらかじめクリスタルゴーレム一号を結んでおいた丈夫なロープを自慢の戦闘用アームで引っ張っていく。


「どっこいせー!」


 ロープをどんどん引いていくと急に重くなった。


「大変よ! コケ鰐がクリスタルゴーレムに噛み付いたわ」

「ちっ! こいつは大物だぜ!」


 ルアーじゃねぇんだから釣れてんじゃねぇよ!

 宝箱の守護者でもないくせに粘るなや!

 ここまで来てお宝を取り逃すなんて死んでもゴメンだ。なんとしても釣り上げてやる!


「ぬおおおおおおおぉぉっ!!」

「頑張って下さいご主人様!」

「いいわ! その調子!」


 フルパワーでロープを引いていく。

 もう少しだ…。


「ぬおおおぉぉっ!! フィッーシュ!!」


 掛け声とともにクリスタルゴーレム一号とコケ鰐が水中から飛び出した。

 クリスタルゴーレム一号の両腕にはしっかりと宝箱が掴まれている。

 やったぜ! 釣ったどー!


「俺のお宝―!!」

「ちょっとラウス様! 一人で突っ込まない!」

「うおぉー! 邪魔だ鰐野郎!」


 クリスタルゴーレム一号から俺に狙いを変えたコケ鰐を火魔法を纏わせたジェットパンチでぶっ飛ばす。

俺の宝箱に対する思いは誰にも止められない。


「はぁー、もう! 小娘、貴方は周囲の警戒をしながら来なさい。私は川の方を警戒するわ」

「分かりました」

「ぐへへ! 俺のお宝!」


 俺は宝箱ちゃんを抱きしめる。


「ほらっ! ラウス様。魔物とクリスタルゴーレム一号は回収したから安全な場所まで移動しましょう。

 ここじゃあゆっくり宝箱の中も確認できないわ」

「う、うん。そうだな!」


 宝箱はアイテムポーチに入れて運んだ方が楽なのに俺はわざわざ両手で持って移動した。途中ですれ違う冒険者にドヤ顔で宝箱を見せつけてやる。

 微笑ましい顔で見られたのがムカつく。

 悔しがれや!












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