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第40話潮風香る夜の海岸で 前編

第40話 潮風香る夜の海岸で 前編

1

完全に酔ってしまった二人をローナと協力して、ホテルの寝室まで運ぶ事に成功した後、彼女が散歩に出かけたいと言ってきたので、二人で夜の海岸を散歩することにした。

「お前から散歩しようって言い出すなんて珍しいな」

「さっき寝たから全然寝れないの」

「そっか。今日は散々はしゃいだもんな」

「パパも人の事言えない」

「それはお前も一緒だろ」

「それは言えてるかも」

思えばローナと二人だけで歩くなんて初めてかもしれない。今までは彼女が俺を拒むことが多かったが、今日の一件でだいぶ距離が縮んだのかもしれない。勿論親子としてだけど。

少し歩いた後、なかなか会話をしようとしないローナを見て、仕方がなく俺から話題を出してあげる事にした。

「で、わざわざ散歩に出た本当の理由はなんだ? 眠れない以外に理由があるだろ?」

「別に他に理由なんて…」

「嘘をつく必要なんてない。お前の性格上余程大切な話じゃないと二人だけで散歩しようだなんんて言わないだろ?」

「うっ…」

どうやら図星らしい。二人で散歩がしたいと彼女から切り出した時から分かっていたが、どうやらローナは俺だけに話しておきたい事があるらしい。

「それともルシアも呼んだ方がよかったか? 酔っ払っているけど」

「ううん」

「じゃあ時間がかかってもいいから話してくれ。その為に俺を誘ったんだろ?」

「うん…」

再び黙るローナ。まだ彼女が子供だからって甘やかすわけにはいかない。話したい事があるなら自分の口からちゃんと話してほしい。

それからしばらくした後に、ローナが口を開いた。

「あ、あ、あのね」

「何だ?」

「ぱ、パパは、お姉ちゃんの事をどう思ってるの?」

「ルシアの事を? そりゃあ一人の大切な家族として思っているけど」

彼女の質問に当然のような答えを返す。今更聞かなくても彼女は大切な家族だ。勿論ローナだって。

「そ、そうじゃなくて…」

「そうじゃなくて?」

「ひ、一人の女の子としてどう思ってるのかなって」

「へ?」

思わずポカンとしてしまう。そりゃあそうだ。ローナの口からそんな言葉が出てくるなんて思ってなかったから当然の反応だ。

「お、お、お姉ちゃんは多分ね…ぱ、パパの事が、す、す、好きなんだと思う」

「それは俺が父親だから…じゃなくて?」

「うん。家族としてじゃなくて、一人の女の子として…だと思う」

「そ、そんな事突然言われてもな…」

流石にどう答えればいいか分からなくなる。だって俺は千代の事が好きで、自分の将来の夢を叶えられたら、またやり直そうって約束しているわけで…。

それにルシアと俺ってまず年の差が…。

「それなら心配ないと思う」

「どういう事だ?」

「だって多分、パパよりお姉ちゃんの方が年上だと思うから」

「え?」

ルシアの方が俺より年上?

いや、何となくそんな気がしていたけど。

「じゃ、じゃあルシアって今何歳くらいなんだ?」

「お姉ちゃんは多分八十歳は越えてると思う。 私ももう3三十歳はは越えてるし」

「は、八十? てかローナも俺達より年上じゃないか」

「あ、そうなんだ」

「な、何だそれー!」

子が親より年上って、聞いた事がないぞ?!

続く


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