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第39話ローナの心を開け~結~

第39話 ローナの心を開け~結~

1

「本当パパとママはすぐなきますよね」

「馬鹿野郎、これは嬉し泣きに決まってるだろ。なあ千代」

「う、うん」

「? どうしたんだ?」

「い、いや何かちょっと恥ずかしくて」

「まだ恥ずかしがってたのかよ」

「だ、だって、そ、その、ま、ママだなんて呼ばれたことがなかったし」

「そりゃあ最初の内は恥ずかしいかもしれないけどな…。せめて食事中はやめてくれよ周りの視線がやけに痛い」

「ご、ご、ごめん」

あの後落ち着きを取り戻した千代を連れて皆で食事にやってきたのだが、先程から千代がこの調子なので、周りの視線が気になってしょうがない。気持ちは分からなくもないけど…。

「もうママったら恥ずかしがりすぎです」

「ああ、またママって呼ばれたぁ。わ、わ、私どうしよう雄一君」

「どうしようって言われてもな…」

こりゃあ慣れるまで時間がかかりそうだ。

「ね、ねえ、ぱ、パパ」

「ん? どうしたローナ」

ため息をつきながら二人の様子を眺めていると、ローナが恥ずかしそうに話しかけてきた。

「さ、さっき言った事なんだけど…」

「さっき言った事?」

さっき言った事とはローナが俺達に言ったあの言葉のことだろうか?

「あ、あれ私の、ほ、本心なの。もう誰とも関わりたくないと思っていた私を、パパは救ってくれたから、すごく感謝しているの」

「救ってくれたって言われる程のことを俺はやってないけどな。ただ単にお前と少しでも仲良くなりたいなって思っていただけだし、あの頃はまだお前たちの話を聞かされる前だったからな」

「私たちの話…聞いたの?」

「ああ少し前の話になるけどな」

二人のことは夏休みに入る少し前に、ルシアから直接聞かされたことがある。その内容は想像をはるかに越えていたけど…。

「どう思った?」

「どう思ったって言われてもな…。俺がどうとか言えるようなもんじゃなかったとしか…」

「でもそれが現実だから」

「現実…か」

こんなに小さい子が抱えている現実って、俺には想像できるようなもんじゃないよな…。

「ちょっと雄一君、せっかくの食事なのになんで元気がないのぉ」

「さっきまで恥ずかしがっていたお前が言うセリフかよ。てか何かお前口調が変じゃないか?」

「べぇつにぃ。私はなんも変らないよ」

「お前まさかと思うけど…酔ってるだろ」

慌てて彼女のテーブルを見るとそこには、明らかにジュースではない飲み物が一本置いてあった。

「ルシアなんでお前注意しなかったんだよ…って」

「なんですかぁパパァ~」

「お前もか!」

俺とローナが話している間になんでできあがってんだよこの二人…。

「ローナも一緒に飲みましょうよぉ~」

「実の妹にまで飲ませようとするな」

「ええ~、いいらないれすか~」

「いい訳あるか!」

「もう雄一くぅん、ノリ悪い」

「お前がノリよすぎるだけだろ!」

「お、怒らなくても…ひどい雄一君」

「わ、悪い。そんなつもりじゃあ」

「じゃあパパには罰ゲームとして一発芸やってもらひま~す」

「やるか!」

どうしてこうなったんだ…。

「パパも大変だね」

「お前の時以上に苦労しそうだよこれ…」

折角いい話をしていたのにこれじゃあ台無しだ…。

続く

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