第26話 お化けより怖い者達
第26話 お化けより怖い者達
1
散々争った結果、皆で楽しもうという事になり、全員で回る事になった。
「ちぇ、雄一がさっさと決めてくれないから悪いのよ」
「俺のせいなの?」
「そうですね。パパが悪いです」
「雄一君の役立たず」
「だらしない男」
「待て待て、どさくさに紛れてローナまで言うな!」
と、悪口を言われながら皆で文化祭を見て回る。最初にやって来たのは、小さなお化け屋敷。
「い、いきなりハードル高くない?」
「ん? 柚木ってお化け苦手だっけ?」
「べ、別にそういう訳じゃ…」
「じゃあ入ろうぜ」
そう言って入ろうとするが、腕を柚木に組まれてしまう。
「せ、せめて、こうさせて」
「いいけど…」
ちょっと恥ずかしいが、本人が相当怖がりなのは知っているので、そこは拒まない。
だがそれを許さないのが、他の女子達で…。
「ああ! どさくさにまぎれ紛れて何をやってるんですか柚木さん!」
「それなら私だって…」
逆の腕を千代に組まれる。これだと歩きづらい上に、周りからはすごい目で見られている。
「パパは私達より、二人を取るんですね」
「その言い方だと、すごい誤解を招くからやめてくれないかな!」
「パパ、大っ嫌い」
「こういう時だけ『パパ』って言葉を使うお前もどうかしてるぞ!」
もう、本当に何なんだよ…。助けを陽介に求めたくても、今はこの場に居ないし…。
「と、とにかく入るか」
俺はお化け屋敷に入る前から、別の恐怖を味わう羽目になってしまったのであった。
2
五分後、お化け屋敷から出てきた俺達は、顔面蒼白状態だった。
「ううっ、意外に怖かった…」
「大学生が作ったとは思えないクオリティだったな」
「わわわ私は、そんなに怖くなかった」
「そういう割には震えてるぞ千代」
お化け屋敷のクオリティが意外に高かったため、まともな会話をすることができない。男の俺ですらビビってしまう程で、今日の夢にも出て来そうだ。
「あ、あ、あ、もうお化け屋敷なんて、い、い、行きたくありません」
「……」
初めて体験したお化け屋敷に、体を震わせているエルフ姉妹。ローナに至っては、さっきから何も喋っていないし、ルシアお化け屋敷でかなりの悲鳴をあげていた。
「今日は皆で寝るか…」
夢に出てこられては本当に困るので、今日は四人で寝る事を決めたのであった。
その後俺達は色々な場所を見て回り、食べたり遊んだりして文化祭を楽しんだ。去年も文化祭はあったのだが、今年は大勢の仲間が居るという事で、大はしゃぎな一日になった。
「ねえ雄一君、ちょっといいかな」
そんな文化祭もあっという間に終わりを告げ、今は後夜祭。皆で会話を楽しんでいると、千代に招かれて二人きりになった。
「どうしたんだよ千代」
「あのね雄一君、昨日わたしが言ったこと覚えてる?」
彼女が昨日言ったこと、それは二人の母親になるって言ったことだろうか?
「あれ冗談だって思った?」
「まあ半信半疑だったけど、本気なんだろうなとは思った」
「そっか」
「まさか冗談だったとは言わないよな?」
「そんな訳ないでしょ」
これで冗談だったら困るけど、どうやら本気らしい。
「私あの二人の親になろうと決めたのには、ちゃんとした理由があるの」
「理由?」
「私実は親と縁を切ったの」
続く




