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第23話 本心

第23話 本心

1

五分後、近場の公園のベンチでうずぐっている千代の姿を見つけた。

「何で追いかけてきたの? 一人にしてほしかったのに」

「こんな時間に女子一人を放置するわけにはいかないだろ?」

「その原因を作ったのは、どこの誰?」

「ごめん…」

未だに顔をあげようとしない千代の隣に腰かける。

「さっきは誤解するような言い方して悪かった」

「謝らなくていいよ。どうせそれがあなたの本心なんだから」

「そういう訳じゃない」

「だったら何なの? 雄一君は私にとって何なの?」

千代の語尾が少し強くなる。やっぱりまだ怒っているか…。でも彼女の疑問にはちゃんとした答えを出せる。それが正しい答えなのかは分からないが、今言えるのはこれしかない。

「千代は俺にとって誰にも大切な人だよ。一度縁を切ってしまったとはいえ、お前が俺にとって大切な存在なのは変わりない。だから俺は、お前を守りたかったから、あんな事を言ったんだよ」

「それは…私を傷つけない為の言葉?」

「いや違うよ。俺の本心だ」

「だったら関わらないでなんて言わない。私達はもう家族みたいなものなんだよ? だからこれは、私達家族の問題であり、雄一君一人の問題じゃないの。家族の問題は家族で乗り越えるのが本当の家族ってものなの。前に雄一君は私に教えてくれたじゃない。もっと両親を大切にしろと。その言葉が私を救ってくれたんだよ、覚えてる?」

そういえばそんな事があったような気がした。彼女は一時期反抗期になりすぎて、自分の居場所を探し続けていた。それを見た俺は彼女に救いの手を差し伸べたんだ。

『家族』が自分の居場所だって事を。だったらその家族が抱える問題は家族で乗り越える事が普通なのかもしれない。俺はもっと人を頼らなきゃいけないんだ…。

「分かったよ千代、お前には全部話す」

「本当?」

「ああ」

2

家に戻った頃にはもうパーティは終わっており、陽介達は帰ってしまっていた。

「二人とも、いくらなんでも帰ってくるの遅すぎです」

「悪い悪い」

「ローナがすごく心配してましたよ」

「お、お姉ちゃん!」

「心配させて悪かったなローナ」

「うー」

相変わらずの様子のローナの相手をしながら、後片付けをする。千代はというと、玄関で立ち止まったままだった。

「どうした千代」

「私決めた」

「何を?」

「私この子達のお母さんになる」

『え?』

「お、お前今なんて言った?」

「だからこの子達を守る為にも、私がお母さんになる」

「まじか!」


文化祭の前日は、千代の驚愕の発言と共に終わりを告げた。

続く

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