第22話 ただ守りたくて
第22話 ただ守りたくて
1
文化祭の前日も休むことなく準備をし続け、あっという間に夜になってしまった。でもできる限りの準備は出来たから、もう思い残すことはない。それよりも皆お腹が減っているということで、文化祭前日の団結式を含めて、俺の家で軽い食事会をすることになった。
「んじゃ、本番はいよいよ明日って事で、団結の意を込めて乾杯!」
『かんぱーい』
場所は勿論俺の家。前日の準備にも参加できなかったルシアも含めて、皆でやりたいという事で即決した。
「明日本番なんですから、程々にしてくださいね」
「分かってるって」
皆が騒いでいるのを眺めながら、ルシアとまったり会話をする。
「なあルシア、お前明日はいけそうか? 文化祭」
「今のところ回復は良好なので、多分明日は参加できると思います」
「無理はするなよ」
「パパにだけは言われたくありません」
そうは言うものの、やはり俺は彼女のことが心配だった。下手したら明日倒れてしまうかもしれない。そういう不安もある。だけれど、参加したいという意志が彼女にある限り、俺はそれを邪魔することができない。
「雄一君、ちょっといいかな」
そんな俺を見たからか、千代が俺を呼んだ。
「ん? どうした?」
「少し外に散歩にいかない? 私雄一君に聞きたいことがあるの」
「聞きたいこと?」
「うん」
「分かった。ただし陽介達がいるから少しだけな」
「うん」
ルシアに散歩に出かけると伝え、俺と千代は外に出た。
2
「それで聞きたいことってなんだよ」
少し歩いた後、彼女から話を切り出さないので、俺の方から話を振った。
「私ここ一週間の事を思い出して思ったんだけどね」
「うん」
「雄一君、私達に何か隠し事してない?」
「隠し事? そんなの…」
しているに決まっている。あの嵐の日の事、彼女達の母親の事。決して関わるべきではないことに俺は関わり始めている。だけど関わるのは俺だけでいい。千代や陽介、柚木は巻き込むわけにはいかない。確実に命に関わることだからだ。
「やっぱりしてるんだ」
「いや、だから…」
「どうせ雄一君の事だから、私達を巻き込みたくないと思っているんだろうけど、もうあの姉妹に出会ってる時点で巻き込まれてるの。分かる?」
確かに正論だった。もう三人が関わっているのは事実だし、この先も関わっていくだろう。けど…
「悪い千代、これ以上の事を知るのは俺だけでいいんだ。彼女達の父親を引き受けてしまった以上、関わる所まで関わるのは俺だけでいいんだ。だからお前達には…」
「馬鹿! どうしてそう言う事を言えるの? まるでそれだと、私達はまるっきり他人だから関係ないみたいな言い方じゃない。そっか、雄一君はあんな事を言っておきながら、私をそんな風にしか思ってなかったんだ」
「そういうわけじゃねえよ。俺はただ…」
「もう知らない!」
「おい、千代!」
千代は走ってどこかへ行ってしまった。
俺はただお前達を守りたいだけなんだよ…。だから…。
「ったく、あいつどこへ行ったんだ」
確実に家の方向じゃない方に走って行ったので、俺は走って彼女の姿を追う事にした。
続く




