第21話 再出発と心配事
第21話 再発進と心配事
1
ルシアが心配だからといって、いつまでも休むわけにはいかないので、翌日から文化祭の準備に合流した。
「もう大丈夫なのか?」
「ああ。千代とローナの看病のおかげでだいぶ楽になれた」
「へえ、ローナちゃんもたまにはいいところあるんだ」
「たまにじゃない…いや、た、ただいつまでも体調不良でいられると、準備が進まないから…こ、今回だけは看病してあげただけだもん」
相変わらずツンモードのローナ。もうそれに関しても慣れたので、軽くスルーする。
「よし、じゃあ始めるとするか」
『おー!』
文化祭まで残り少ない中で、どれだけいい物に作り上げていくかが今の課題である。不安な要素はいくらかあるが、今の俺達は団結している。人間という壁を超えて、俺達は一つのことを成し遂げようとしている。その喜びは全てが終わった後に味わえるはずだ。だから今は、目の前のことに全力を注ぐ。
「まずは屋台を作り直さなきゃならないから、木材探しだな」
「その辺は男の俺達がやるべきだよな」
「だな」
「雄一君、私達はどうするの?」
「千代達はとりあえずクレープの材料の買い出しに行ってくれないか? お金は大学側から出してもらえるから」
「分かった」
「んじゃ、行くぞ陽介」
「おう」
二人で自転車に乗って買い出しに行こうとする。だがどうした事か、急に目の前が歪み始めた。
「な、何だこれ」
「どうした雄一君?」
「お前らなんともないのか?」
「うん。私は大丈夫だけどどうかしたの?」
「え、あ、いや何でもない…」
が、それはすぐに治まったので、とりあえず再び自転車で走り出す。何だ今の…。
2
それからは更に忙しくなった。時間がなかったのが一番の理由だが、いかにいいクレープを作るか突き詰めて行くうちに、それが面白くなり、寝る間も惜しんでとにかく準備を進めた。
「パパ、朝ですよ」
「んん、もうそんな時間?」
「起きてください」
「ふわぁい」
文化祭を明日に控え、いよいよ準備も大詰めになったある日の朝、いつのまにかリビングで寝落ちしていた俺はルシアに起こされた。
「あまり無理しすぎて、当日に体調を崩すとかやめてくださいね」
「悪い悪い」
「本当に心配してるんですからね」
あの後ルシアは何とか体調を取り戻したが、まだ外には長くいられない為、文化祭も危うい。けれど彼女のおかげで文化祭が中止にならなかった。だからなんとかしてあげたいのも山々なんだけど…。
(また体調悪化されてもな…)
俺はルシアの事で、頭を悩まされ続け、本当に体調崩してしまうかもしれないと心配になってしまった。
続く




