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第11話 夏の幕開け

第11話 夏の幕開け

1

七月に入り、本格的な暑さが始まった頃、俺が通う大学ではあるイベントの準備で、盛り上がりをみせていた。

「なあ雄一、俺去年からずっと思っていたんだけどさ」

「何だよ」

「何でわざわざ夏休みに文化祭なんてやる必要があるんだ?」

「夏だからじゃね?」

「いやいや、答えになってないからな」

「そうか?」

そう、文化祭。この大学は、夏休みの三日間を使って行うということで大変珍しい文化祭だ。出し物や店も各々好きな人と組んで取り組んでいい仕組みになっている。ちなみに俺は陽介と柚木の三人で、クレープ屋をやろうかと思っている。

「ねえねえ雄一、私も一つ聞きたいことがあるんだけど」

「ん? お前まで何だよ」

「クレープ屋をやるにしては、人が少なすぎると思んだけど」

「その辺は心配するな。強力な助っ人が三人もいる」

三人とは勿論ルシアとローナと千代だ。クレープが作れなくても、客寄せならできる。なんせルシアは意外に美人さんだし、ローナは…まあ何とかなるか。

「三人って、一人多くないか?」

「どこが?」

「だって俺の知る限り、助っ人になってくれそうなのはあの姉妹ぐらいだぞ?」

「ああ、そっか。まだ二人に説明していなかったっけ」

俺は六月にあった出来事をザックリと説明した。すっかり忘れていたが、もう一匹増えたことも。

「お前の家はいつの間に大家族になったんだよ」

「好きでなったわけではないけどな」

「私雄一に幼馴染が居るなんて、聞いたことがないんだけど」

「あ、えっとそれはな…」

こればかりは説明しづらい。簡単に話せるようなレベルじゃないからだ。

「まあそれは、本人に会って聞けば分かることだし、さっさと屋台を作ろう」

聞くつもりなのか? 千代に。

「多分答えてもらえないぞ」

「だったら無理やりでも…」

「お前だとやりかねないからやめてくれ」

彼女が元カノだって話さなくって良かった…。話が更に面倒臭い事になりかねないので、俺と彼女の関係を話さないでおこう。

「さあ、作業を始めるぞ」

2

「クレープ屋ねえ」

その日の晩、文化祭の助っ人を頼むために、クレープ屋をやる事を三人に話した。

「クレープって、あの甘いやつですか?」

「ああ、あの甘いやつだ」

他にも甘いやつは沢山あるが、そこは話を合わせておこう。

「面白そうだわそれ。 あなたの新しい友達という二人にも会ってみたいし」

「私も柚木さん達と作業をやりたいです」

「二人は決定か…後は」

ローナの居る方に目を向けると。一番の問題はこいつだ。

「私は…」

少し悩むローナ。お、少しは考えてくれるのか?

「やって…みようかな…」

「え? 今なんて?」

聞こえていたがわざとらしく聞き返す。

「だから…私もやってみようかなって…思ったの!」

『おおっ』

皆が声を上げる。彼女の性格を知っているから、この驚きは当然だ。

「じゃあ手伝ってくれよローナ」

「う、うん」

こうして全員が協力することが決まり、俺達の夏が幕開けした。

続く

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