3やっと離縁できる(ルキアス)
俺には好きな女がいた。従姉妹のセシリーナ・ファルソン男爵令嬢。伯爵家の縁せきで幼いころから一緒に遊んだりしてきた相手だ。
セシリーナは身体が弱くすぐに風邪をひくし熱も出す子供で、俺を頼って枕もとで行かないでって眦に涙をためて縋る様子にはいつも胸が痛んだ。
だから、俺は出来る限りセシリーナの助けになりたいと思うのは当然だろう。
そして年頃になったセシリーナはそれはもう可愛くて。
だが、父の思惑は違った。それに領地の事情が変わった。
思ってもいなかった経営破綻、そのせいで金が必要になった。
セシリーナと結婚したいと思っていた俺の気持ちは戸惑った。でも、貴族の政略結婚何てそんなもんだろう。と友人が言った。
愛なんかない。夫婦と言ってもお互い家同士のつながりの為。嫌な事はすべてのみ込んで平然とした顔で生きて行こうと決めた。
実際、マルティナと結婚して爵位を継いで事業は安定していった。
マルティナの実家シュタイアー家からの破格の援助、取引先からの優遇、輸送もシュタイアー辺境伯の縁せきと言う事で国境を抜ける道も使えて事業は面白いほどうまく行った。
マルティナが、文句を言っても少し強い態度に出れば大人しく引く。そしてほんのちょっと褒めてやるといくらでも仕事をしてくれた。
ちょろい奴だと思った。
こいつと結婚したのは案外良かったかもな。
それに何より母がもともとセシリーナを嫁にしたかった事もあって彼女との仲を邪魔するどころか応援してくれた。
最初の一年は度はマルティナへの遠慮もあったが事業がうまく回り始めると俺の実力だと思うようになった。金回りも良くなり堅苦しい夜会にはマルティナを伴ったが気軽な友人とのパーティーなどにはセシリーナを伴うようになった。
そしてセシリーナと深い関係になった。
2年目はそんな関係を知っていた母がうまく取り計らって領地と王都を行き来してセシリーナとの関係を続けた。
3年目になるとあからさまにマルティナが邪魔になり始め彼女に父の面倒をみさせて領地に行かせた。
だが、セシリーナとキスをしている所を見られた。
母がうまくとりなしてマルティナに3年経っても子供が出来ないんだから離縁されて当然だと言った。
マルティナも俺の浮気に気づいた事だし、そろそろ別れ時だろう。
事業はうまく行っているし、シュタイアー辺境伯にも子供が出来ないことを理由にすれば離縁の話もスムーズに行くはずだ。
俺は頭の中で以外にも自分の思っていた通りの展開になる事にほくそ笑んだ。




