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第八話 『決意の狼煙』



 「頼む……。

俺から生きる意味を奪わないでくれ。

そうでなければ、これ以上俺は俺を保てなくなる。アンタを、無理矢理にでも閉じ込めて……他の誰かに殺されてしまう前に。その息の根を……止めてしまいかねない」



 「それは、お断りします」



 「……そちらを選ぶということは、俺と心中も同義だぞ」


 「いいえ、謙信様も私も死んだりしません。

私が、貴方を守れるくらいに強くなりますから」



 「何を言ってるんだ」



 「貴方が私を頼れるように。

貴方を、孤独(ひとり)で生きさせないために。

……ずっと、二人でいるために。

そして、両親の仇を討つために」



 彼の傷だらけの手を握る梅歌。

 決意を宿したその眼差しは。どこまでも澄んでいて、ただ真っ直ぐだった。



 「私を貴方様の、唯一無二の家臣にしてください」



 「……!?嫌だと言えば……どうする」



 「赤星に頼んで、今すぐ首を刎ねてもらいます。もしくは、赤星に稽古をつけてもらい貴方を凌駕して止めてみせます。

……私は、そのくらいの覚悟なのです」



 「……もう、譲れないんだな」


 「はい」


 「……わかった。アンタはきっと、聞き入れてはくれないだろうしな……」


 「はい」


 「その代わり俺からも条件を設けさせてくれ」



 第一に、俺以外から絶対に稽古を受けるな。何が何でもだ。

 第二に、俺の目の届かない範囲に行くことを許さない。

 第三に、男と二人きりになるな。

 第四に、これからも俺は影から守り続ける。そのことを容認してくれ。        

 第五に、これらの約束を違えれば問答無用で幽閉待ったなしだ。



 「……いいな?」


 

 (この人という人は……本当にどこまでも自分に素直な方だ)



 謙信からの条件に、思わず心から微笑んでいた。


 どう考えても、ただの束縛が悪化しているようにしか思えない。

 でもそれが少しおかしくて、同時にそのあまりの純粋な彼からの愛情表現であることが心から嬉しくて心強かった。



 (この人が居てくれるなら、きっと私はどんな困難ものら越えられる)



 「わかりました。

謙信様、どうかこれからもよろしくお願いします!!」



 「あぁ、勿論だ。

……しかしまずは、俺のコアを取り戻さねばならないが……その前に」



 勢いよく開かれたドア。

 そこには頬を膨らませて拗ねた子供のような赤星が舞い戻って来ていた。



 「オレを誰も追いかけてこないのは、何なんだよ〜!!?この超絶優秀な武田信玄を、ぞんざいに扱うだなんていい度胸って……なんかスッキリしてんね二人とも。さっきより全然いい顔付きじゃん」



 「……あぁ、悪かった信玄。

これから梅歌を、俺の家臣として育てることに決めたんだ。

そこで、滅光軍の拠点に向かえないだろうか?」



 「やっーと、その気になったのかよ〜!

こちとら最初からそのつもりだっつーの!

それなら、善は急げだ!」


 

 両親の死を通して、梅歌は自身の弱さと向き合い謙信という愛する者を守るために、新たに決意を固くする。

 

 唯一無二の家臣を育てるために、謙信も心機一転。水を得た魚のように、



 戻ってきた信玄は、そんな二人に対してどこか嬉しそうに歩み寄る。




 「でもその前に、まずやることがあるよね?

 合戦前のアレやっちゃうでしょ〜!!」



 信玄は二人の肩を抱き寄せて、彼を中心に円陣を組んだ。



 梅歌の掛け声を皮切りに、掛け声を轟かせるーー。



 「せーの!!!」


 『えいえい、おう!!!

えいえい、おう!!!!

えいえい、おおおおおおう!!!!!』



 こうして、梅歌たち三人の決意の狼煙(のろし)は上がった。



 亡き者たちへ報いるために、そして白星を掴み取るように、決意を胸に拳を天高く突き上げた。





 ありがとうございます!!

 ハロウィン短編、ハロウィン過ぎましたがあげます!

 日付変わる前には、まず謙信バージョン投稿予定です!!

 よろしければ、是非よろしくお願いいたしますm(__)m

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