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勇者から秘湯屋に転職します  作者: 藤泉都理
伍 第三の首都の紫陽花篇
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95/199

?????




「要らないってばもう」


 幼い少女の声が耳元で強く響いて聞こえる。

 否。耳元ではなく、頭の中だ。

 頭の中で強く響き渡る。


「要らないんだってばもうっ! しつこいっ! わ、俺は武闘家になるのっ! だから精霊は見えなくていいのっ!」


 高いその声音に、聞き覚えがあるような、ないような。


「ああもうっ! 奏斗かなとっ! あな。てめえ、勇者だろっ! このうるさい精霊たちを追っ払えよっ!」

「できないよ。芽衣めいちゃん。僕、まだ、勇者じゃないもん」


(奏斗と芽衣だとっ!?)


 箕柳みやぎは現状に混乱を極めた。

 恐らく、否、確実に、眼前に居るのは、幼い頃の奏斗である。

 箕柳が初めて出会った時の、幼い奏斗であった。


(いや、もう少し。幼い。か? 俺が初めて奏斗と芽衣に会った時、二人とも確か七歳だったはず。目の前のこの奏斗は若干幼い。ような。五歳。くらい。か? いや。いやいやいや。そもそも。何故俺は推定五歳くらいの奏斗と目線が同じなんだ? しかも。芽衣の名を呼んでおきながら、俺をじっと見ているのは何故なんだ? まさか俺が芽衣になったわけでもあるまい。し)


「そんなよわきだから村のみんなに莫迦にされるんだよっ!? しっかりしろ!!」

「う………うう。よわむしでごめんなさい」

「すぐにまるっこくなるんじゃねえっ!」

「うううううう」


(………芽衣の声が頭の中で響き渡る理由、は。俺が。芽衣の。中に居る。から。か? よもや、これは時間移動したのか? しかも精神だけが時間移動を果たしたが、過去の俺ではなく、過去の芽衣の中に入り込んだのか????? それに追体験できるだけか????? うむ。芽衣の身体の主導権は当然だが、芽衣にある。うむ。追体験するだけだ。意味が分からん)


「ほら。行くぞ。特訓だ。泳ぎに行くぞ」

「うううううう」

「ほらもう! 自分で歩けよな」

「引きずらないでよ芽衣ちゃん~~~」




(意味が分からんぞーーー!!!???)











(2025.1.29)




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