迷爆走中
『六花彩湯国』の第三の首都の『紫陽花』。
「久々だな。箕柳が粉々になるの」
「箕柳さんは自力で元の姿に戻れるので、治癒魔法はかけませんよ」
「ああ」
芽衣と聖月は膝を抱えて、地面の上で大小様々粉々に砕け散った箕柳を見下ろした。
拳を振るう度に氷漬けの全身が粉々になっていたのだが、修行の賜物により、今は時折しかそうならない箕柳に、その時折が訪れてしまったのだ。
「まさか、野盗集団が束になって襲いかかって来るなんてびっくりだよな」
「わたくしたちを知らないなんて、よほど山奥に籠っていたのでしょうね」
「ああ。そういや言ってたな。山奥でしか盗みを働かなかったけど最近になって町に下りて来たって。覚えてろよって言ってたから、また俺に挑みに来るだろうな。わくわくすっぞ」
「あれはただの捨て台詞ですよ。本当に芽衣さんに挑みに来るわけないじゃないですか」
「ええ゛っ!? なんってやつらだ。闘いを挑んでおきながら負けてまた挑みに来ないなんて。生物としてあるまじき行為だ。俺、ちょっと警察に行って、また来いよって言ってくる」
「止めておきなさい。野盗たちには芽衣さんくらいの暑苦しさをぶつけ続けて苦しめばいいですが、今はそんな事をしている暇はありません。無駄な時間を使わないで下さい」
「分かった。乱斗捜しが最優先だもんな」
「違うぞ。芽衣。聖月。俺たちの最優先事項は過去への行き方だっ!!!」
粉々に砕け散った氷の状態から元の姿に戻った箕柳は駆け走り始めた。
「まだあれ、続くんだな」
「行きますよ、芽衣さん」
「おうっ」
芽衣は聖月を背負うと迷爆走する箕柳の後を追ったのであった。
(2025.1.28)




