吸血鬼
『六花彩湯国』の第三の首都の『紫陽花』。
汐桜の三角建物の根城にて。
「奏斗の肉体に注ぎ込まれた吸血鬼の血を取り除いてから、奏斗を生き返らせればいいべっ!!!」
むっふん。
二階の琥紺の自室のベッドで寝かされ、琥紺の魔法によって小さくされたままの奏斗の傍らの椅子に座ったまま、琥紺は胸を大きく反らして声高々に言った。琥紺と横に並んで椅子に座っていた汐桜は鼻で笑った。
「何でこんの素晴らしい提案を笑うんだっ!?」
「吸血鬼の血ってのは肉体だけに注ぎ込まれるんじゃない。魂にも精神にも注ぎ込まれるんだ。だから、吸血鬼は吸血した生物に血を注ぎ込んで操る事もできるんだ。肉体だけなら問題はない。だが、魂と精神に注ぎ込まれた血はどうやって取り除くんだ?」
「んんんんんん゛」
「分かっただろ。麿たちにできる事はない。諦めろ。琥紺」
「嫌だっ」
「ふん。嫌だと言い続けていれば解決できると思っているのか? そろそろエルフが幻影魔法に気付いてもおかしくはない。そして奏斗を奪いに来るのも時間の問題だろうよ」
「追い返せばいいべっ!」
「できるもんならやってみろ。そち一人でな。麿は関係ないと言うからな」
「んんんんんん゛」
「いいじゃねえか。星の守り手であるエルフの役に立つんだ。勇者冥利に尽きるだろ」
「んんんんんん゛。やってやるべっ! わたす一人でやってやる!」
琥紺は大粒の涙を流しながら汐桜に宣言した。
勝手にしろ。
汐桜は椅子から離れると飛翔しては一階へと下りて行ったのであった。
(2025.1.28)




