根性なしっ
『六花彩湯国』の第二の首都の『蓬』。
「おい! あの僧侶のガキは恐ろしいなっ!」
「聖月だろ! 俺たち勇者一行の中で一番強いと思うぞ!」
「ふはははははははっ! だろうなっ! わしとおめえを閉じ込めちまうなんて恐ろしいガキだっ!」
「聖月のおかげで思いっきり闘えるんだ! 聖月に感謝しろよ!」
「おうっ!」
聖月が創った形の定まっていない結界内にて。
充満する白い湯煙と蓬の香りに物ともせず、芽衣は乱斗に従属する魔物である沢茨へと攻撃を続けていた。
「ふははははははっ! しっかしおめえ本当に鈍感だな! この窒息しそうな湯煙と蓬の香りを実は何も感じていないのではないか?」
「ちゃんと感じてるぞっ! 元気が出るって感じだっ!」
「ふははははははっ! 化け物めっ! わしは自分で噴出させておきながら眩暈がしてきたぞっ!」
「休息を取るかって!?」
「おう! 頼むっ!」
「分かった!」
芽衣は聖月からもらった結界解きの札を、形を変え続ける結界に張ろうとした。結界に避けられた。張ろうとした。避けられた。張ろうとした。避けられた。張ろうとした。避けられた。
「おいっ! 沢茨っ! 結界からまだ出られそうにないっ! 根性で噴出を止めろっ!」
「おうっ! 芽衣っ! おめえだけでも結界から出ろっ! おめえが傍に居ると興奮するっ! 噴出が止められねえっ!」
「いやだから出られねえって言ってんだろうが!」
「ああ簡単に諦めんなっ! 根性なしっ!」
「誰が根性なしだっ!」
「やるかあ!?」
「おうっ!!」
(2025.1.26)




