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勇者から秘湯屋に転職します  作者: 藤泉都理
参 第一の首都の藤篇
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藤色の温泉




 『六花彩湯国りっかのさいゆこく』の第一の首都の『藤』。


「ひいえええええええっ」


 たまたま通りかかったのか、はたまた後を付けて来たのか。

 緩く巻いた白い包帯で全身を隠した妖しい人物。

 三樹矢みきやと名乗るその人物は、髪の毛が藤の花や葉、蔓に変化した聖月せいげつを見るや否や腰を抜かしてしまった。


「あんだけ藤色の温泉に入っちゃいけねえって言ったのに入っちまったのかあああ!?」

「聖月。すぐに治癒魔法を使わなかったのか?」


 芽衣めいは未だ絶叫し続ける三樹矢を無視して聖月に話しかけた。


「治癒魔法を使ったのですけど、効果が全くないのですよ」

「三樹矢殿。何故藤色の温泉に入ってはいけないのかお尋ねしてよろしいか?」


 聖月の言葉を受けた箕柳みやぎは膝を曲げて、地面に腰を落として両頬に両手を強く押し付けては、口を縦に長く横に狭く開ける三樹矢に目線を合わせた。


「あんだけっあんだけっあんだけっ言ったのにいいいいい!!!」

「三樹矢殿」

「ひぃいいいいいい!!!」

「落ち着いて」

「あぎゃあああああ!!!」

「話を聞かせて下さい」

「ぽうわあああああ!!!」

「その包帯野郎、うるせえだけだから気絶させるか?」

「止めてあげて」


 三樹矢に近づこうとする芽衣の前に立って制止させた奏斗かなと。箕柳が三樹矢を落ち着かせるまで別の人に情報収集しに行こうと芽衣の腕を取って歩き出したのであった。











(2025.1.18)




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