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印籠
『六花彩湯国』の第一の首都の『藤』。
水仙、藤、蓬、紫陽花、向日葵、撫子、彼岸花、蒲公英の植物が彩られ、国王からそれぞれに直接手渡された通行許可物である印籠を検問所の役人に見せてのち、王都の『水仙』から、第一の首都の『藤』に無事に入る事ができた勇者一行を待ち受けていたのは。
「いいかい。藤色の温泉には入っちゃいけねえよ」
緩く巻いた白い包帯で全身を隠した妖しい人物だった。
「いいかい。藤色の温泉に入ったら。おお。恐ろしい。口にするのも憚れるくれえ恐ろしい事が待ち受けているからよ。いいかい。藤色の温泉に入っちゃいけねえよ」
「だってよ。気を付けろよ。奏斗」
「気を付けてくださいね。奏斗さん」
「何が起こっても俺たちは見捨てはしないが、気を付けるに越した事はないからな。奏斗」
「うん。気を付けるのはみんなだからね。僕だけじゃないからね。って言ったでしょうが」
奏斗は腕を組んで足を大きく広げた状態で立っては言った。
それぞれ自由行動に出てのち、約束の時間から少し遅れて、髪の毛を藤の花や葉、蔓に変化させて集合場所にやって来た聖月に。
(2025.1.18)




