腕組み と 水仙畑
『六花彩湯国』の王都の『水仙』。
「まったく。わたくしに余計な力を使わせないで下さいよ。芽衣さん。二人も瀕死状態にするなんて。あなたはご自身の力をもっと自覚してください。あなたは武力だけで命を絶やせる力を持っているんですよ」
「悪かったって。でも、俺が命を奪うなんてそんなもったいない事をするわけがないだろ。命を奪ったらそいつの強くなる機会を奪う事になる。瀕死状態にするだけだ。死に際を味わうと生物は思いもしない力を会得できる事があるからな。へへっ。雪花も七愛ももっともっともっと強くなるといいな!」
「胸を張って言う台詞ですかもう」
「悪かったって」
「誠意を感じられません」
「え~~~。こうやって、負ぶって移動してやってるんじゃないか」
「当然の行動です。わたくしは治癒の力を使って疲労困憊しているのですよ」
「え~~~。だったらどうすればいいんだよ~~~」
「考えて下さい」
「う~ん。よし。じゃあ、俺と闘おう」
「誠意ではなく悪意を感じます」
「え~~~。え~~~。じゃあ。移動する時は俺がいつも負ぶさろうか?」
「結構です。疲労困憊している時だけで。あなたは急に修行だ闘いだと走り出すので、安心して負ぶさっていられません。走り出さないで下さいよ」
「大丈夫だって」
「奏斗さん。箕柳さん。絶対に芽衣さんの腕から腕を離さないで下さいよ」
「うん」
「任せろ」
芽衣に背負ってもらっている聖月は、左右から芽衣の腕に腕を絡ませている奏斗と箕柳を見て言った。
奏斗と箕柳二人がかりでも走り出す芽衣を止められるかどうかは怪しいが、何もしないよりは安心であった。
「よし。じゃあ、このまま横に並んで仲良く次の都市に行こうぜ!」
「うん」
「安全に移動して下さいね」
「魔王の情報も得られなかったしな」
(2025.1.17)
『六花彩湯国』の王都の『水仙』。
「望んでいた光景は見られたって事で。まあ。役に立ったから。吸収しないでおくかな」
水仙畑から少し離れた小さい丘にて。
水仙畑を眺めながら温泉用の衣を身に着けて温泉(野天風呂)に入っていた七愛と雪花を眼下に納めては、ほくそ笑んでいた謎の人物は、次は『藤』かと呟いた。
「さあって。次は何が引っかかるかな?」
(2025.1.17)




