タイプ
『六花彩湯国』のどこか。
(わらわは何を見せられているのかしら?)
ゴーレムを動かせなくなった七愛の憤怒に満ち満ちた表情からして、流血は避けられない苦悶に満ち満ちた闘いに突入する展開になる。
理瑚はそう予想していたのだが、そうはならなかったのだ。
(わらわたちの支配からは解放されたからかしら。でも、あいつの支配下にはまだあるはずなのに。勇者の力でいつの間にか、七愛をあいつの支配から解放させた? もしくは、わらわたちと同じで不要だと判断してあいつ自身が解放した)
思考を巡らせる理瑚の瞳に映るのは、奏斗と七愛の闘いであった。
だがしかし果たして。
勇者の剣と土属性の魔法の闘い、ではない。
剣と剣でもなければ、拳と拳でもない。
ただひたすらに並んで走り続けている、とても友好平和的な闘いである。
(意味もなく大語で叫びながらただずっと並んで走り続けるって。並んでって言うか、お互いに負けまいとした結果、並んでいるだけでしょうけど。なさけな。奏斗。勇者でしょ。手を抜いているようには見えないし。無意識に闘う相手の実力に合わせるタイプなのかしら? はああああ。もったいな。ぜんっぜん。自分を有効活用してないじゃない。むだむだ。眠らせたままなんて。ああもう。吸収できてれば。ああやめやめ。できないんだからしょうがないでしょ。だったら。はあ。あいつみたいに裏から操る方がいいんだけど。操れないんだったらしょうがないわよね。表に出るしか)
「はあ。めんどくさっ。うるさっ」
理瑚は尖りに尖らせていた耳を通常の尖がり耳へと形を戻しては、尖がり耳に手を強く押し当てたのであった。
(2025.1.17)




