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勇者から秘湯屋に転職します  作者: 藤泉都理
弐 王都の水仙篇
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32/199

タイプ




六花彩湯国りっかのさいゆこく』のどこか。


(わらわは何を見せられているのかしら?)


 ゴーレムを動かせなくなった七愛ななみの憤怒に満ち満ちた表情からして、流血は避けられない苦悶に満ち満ちた闘いに突入する展開になる。

 理瑚りこはそう予想していたのだが、そうはならなかったのだ。


(わらわたちの支配からは解放されたからかしら。でも、あいつの支配下にはまだあるはずなのに。勇者の力でいつの間にか、七愛をあいつの支配から解放させた? もしくは、わらわたちと同じで不要だと判断してあいつ自身が解放した)


 思考を巡らせる理瑚の瞳に映るのは、奏斗かなとと七愛の闘いであった。

 だがしかし果たして。

 勇者の剣と土属性の魔法の闘い、ではない。

 剣と剣でもなければ、拳と拳でもない。

 ただひたすらに並んで走り続けている、とても友好平和的な闘いである。


(意味もなく大語で叫びながらただずっと並んで走り続けるって。並んでって言うか、お互いに負けまいとした結果、並んでいるだけでしょうけど。なさけな。奏斗。勇者でしょ。手を抜いているようには見えないし。無意識に闘う相手の実力に合わせるタイプなのかしら? はああああ。もったいな。ぜんっぜん。自分を有効活用してないじゃない。むだむだ。眠らせたままなんて。ああもう。吸収できてれば。ああやめやめ。できないんだからしょうがないでしょ。だったら。はあ。あいつみたいに裏から操る方がいいんだけど。操れないんだったらしょうがないわよね。表に出るしか)


「はあ。めんどくさっ。うるさっ」


 理瑚は尖りに尖らせていた耳を通常の尖がり耳へと形を戻しては、尖がり耳に手を強く押し当てたのであった。











(2025.1.17)




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