表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者から秘湯屋に転職します  作者: 藤泉都理
弐 王都の水仙篇
PR
31/199

ちっぽけな




六花彩湯国りっかのさいゆこく』のどこか。


(とりあえずは、と)


 理瑚りこは腰を下ろしていたゴーレムの花びらを三度叩いては、ゴーレムとゴーレムに寄生する水仙の葉の動きを止めさせた。


「ちょっとちょっともう。その怖い目を向けるの、止めてくれない?」


 理瑚は目尻を人差し指で持ち上げては吊り目を作って奏斗かなとの目を真似てのち、奏斗との適度な距離を保った位置まで飛翔してその場に浮き続けた。


「勇者の剣をわらわに固定するのも止めてくれない?」

「おまえが七愛ななみさんを狂わせたのか?」

「半分は。もう半分はあいつが狂わせた」

「あいつ?」

「そう。あいつ………心強い仲間が居ないと不安なのかしら? 柄にもなく狂気を放っちゃってる。どうどう。落ち着きなさい。わらわは敵ではないから」

「僕の命を有効活用するとか吸収させろとか言ったおまえが敵じゃないって?」

「そう。敵じゃないわ。敵だったら、あんたの命なんかどうでもいいでしょ。ただの遊び道具。暇潰しに使うだけ。無駄に使うだけよ。わらわはそんな勿体ない事はしない。有効活用するの。だから、敵じゃないわ。ね? 安心しなさい」

「………いや。全然安心できないんだけど」

「ゴーレムも水仙の葉も動きを止めてあげたでしょ。何が安心できないのよ?」

「最初から攻撃しないで、敵じゃないって手伝ってほしいって言えばよかったんだよ」

「だって最初はゴーレムに吸収させる予定だったから仕方ないじゃない。でもあんたがちょこまかちょこまか逃げ続けてできないって分かったから、予定を変更して、話し合いで解決しようとしてるんでしょ。はあ。何が不満なのかしら? 全然分かんないんですけどお」

「何この僕が悪いみたいな空気。どう考えてもおまえが悪いよね?」

「まあまあ。どっちがいいとか悪いとか言い出したらキリがないわよ。いいじゃない。あんたが望む展開を今迎えてんだから、それでよしとしなさいよ。ね。って事で。はい。勇者の剣を鞘に納めて納めて」

「だめだ」

「………ああ。そう。そうね。納めるわけにはいかないか」


 理瑚は奏斗に背を向けて七愛へと身体を向けた。

 すれば、瞳に映るのは、愛らしい笑顔ではなく、


「私のゴーレムが。私の、ちっぽけなすべてが、」


 すべてを引きずり込むような憤怒に満ち満ちた表情だった。











(2025.1.16)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ