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勇者から秘湯屋に転職します  作者: 藤泉都理
弐 王都の水仙篇
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30/199

くるくる




六花彩湯国りっかのさいゆこく』のどこか。


(でも。流石はあいつを倒した一行の一人ってだけはあるわよね。水仙の葉もゴーレムもちゃんと動きを見極めているし)


 理瑚りこは飛翔して奏斗かなとから距離を取ってはゴーレムの花びらに腰を下ろし、奏斗を観察していた。


(ほんと。一撃必殺を身に着ければ、誰もが認める勇者になれるのに。ちまちまちまちま。早いけど小さい動きばっかり取って。攻撃を怖がっているのかしら。はあ。情けない。わらわたちが有効活用してやろうってのにもう。吸収できないじゃ、しょうがないわよね。放っておく。う~ん。でも。七愛ななみも使い物にならないみたいだし。七愛もねえ。素質があると思ったんだけど。あいつに乗っ取られそうなんて。どうしようかしら? 別に七愛如きがあいつ側につこうが大した脅威にはならないだろうけど。念には念を入れて………あっは。あ~、恐い怖い。流石は勇者様ってところかしらね。殺気に反応しちゃってもう)


 七愛へと身体を向けようとした理瑚はしかし、動かずに座り続けた。

 気付かなかったが、七愛、ゴーレム、水仙に加えて、奏斗の警戒相手に加えられていたらしく。

 そうして加えられたが最後、自由に動く事は叶わない。らしい。


(なるほど。ね。七愛が動かないの、疑問だったけど。奏斗の視線で動きが縫い留められていたってわけ。つまり、水仙もゴーレムも動きを鈍くさせられている可能性があるって事、か。まあ。あいつを倒したんだもの。わらわたちが想像もできない修羅の道は通って来たわけよね。う~ん。どうしようかしら?)


 理瑚は足を前後に振りながら、奏斗の対処方法を考え始めた。


(吸収は無理。多分、あの三人も無理。だったらもう素直に話して、協力を仰ぐ? ああでも)


 くるくるくるくるはらり。

 理瑚はウェーブのかかった深い水色の長髪を人差し指に巻いては解き放つ動作を繰り返した。


(仲間に裏切り者が居る。なんて。ううん。裏切ってはいない。か。殺そうと考えているわけじゃないし。ただ、あんたを欺いているだけ。なんて。信じるわけがないわよね)


「ああもう。困ったわね」











(2025.1.16)



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