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無職は今日も今日とて迷宮に潜る【4巻8/20出版決定!】【1巻重版決定!】  作者: ハマ
本編終了後の話

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412/414

救済9

【無職は今日も今日とて迷宮に潜る4巻】絶賛販売中!!!!!!!

既刊1巻〜3巻下巻もよろしくお願いします!

活動報告に表紙を載せております。

口絵も載せております!是非見てください!

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『先に言っておくけど、元通りには出来ないよ』


 キューレは告げる。


 聖龍の魔力は地球の龍脈に流れており、分離することは不可能だという。

 地球が抵抗していれば、まだ可能性はあったかもしれないが、すでに馴染んでしまっていて元通りにはならないそうだ。


『私が出来るのは、これ以上混ざらないようにすることくらい。それ以上を望むのなら、あなたがやって』


 そう言うと、キューレは地上に手を翳して思念を送る。


 すると間もなくして、聖龍の骨から魔力が萎んで行く。

 まったく無くなったのではなく、感じ取れる最小限まで少なくなってしまった。

 それから、世界にも変化がある。


 地上を覆っていた大量の魔力が空へと上がり、俺に向かって来た。


 何で?


 そう思うよりも早く、大量の魔力は俺の中に飛び込んで来る。

 悲しいことに、この魔力は俺によく馴染む。

 イルミンスールは聖龍から生み出された存在。その肉体の一部を使って造られた俺の体も、聖龍の魔力がよく馴染んでしまう。


 うぅー……。

 力が増大するのを感じる。


 これで、一気に強くなることはないけれど、いろいろと変化があった。

 鎧を取って腕を見ると、肌に鱗が浮かんでいる。

 魔力を込めてみると、白色に変わって聖龍の色に近付いてしまった。


 ……マジ?


 これなら、前の方がマシじゃん。

 銀髪になってあれはあれでカッコよかったし、あれで良かった。というか、姿だけならあれが良かった。

 なのに今度は爬虫類?

 ちょっとそれはないっすわー。


 魔力を引っ込めると、鱗は消えて元通りの腕に変わる。

 見てないけれど、もしかしたら顔も変化している可能性もある。


 これは流石に勘弁して欲しい。

 デブの次は爬虫類? もう人生に絶望してしまいそうだ。


 半目になって嫌だなーと思っていると、キューレにも変化があった。

 偽りの肉体が崩壊を始めたのだ。

 これは、聖龍の骨との繋がりを絶ったからだろう。


 そこまでする必要はないだろうと訴えたくなるが、俺の思いを察したキューレが先に発言してしまう。


『消えるのは怖くないの、元々居なくなっているはずだったから。でも、あの子が不幸にならないかだけが心配。あの子を幸せにしてあげて、お願い……』


 寂しそうに微笑むキューレ。

 その笑みは、母性に溢れていて、我が子のことだけを思っているかのようだった。

 もしかしたら、これを言うためだけに、ここにこうして顕現したのかもしれない。


 何故か、そう思ってしまった。


 会話が途切れたタイミングで、オリエルタがやって来る。


『キューレ……』


『うん』


 呼び掛けると、キューレは普通に反応した。

 殺そうとはしていなかったけれど、何度も殴打した奴とは思えない態度だ。


『すまない。私は、ヒナタを……』


『うん。オリエルタなら、あの子を幸せにしてくれると思ってた。私を恐れなかったように、あの子も受け入れてくれると思ってた』


『……すまない』


 キューレに責められて、オリエルタは目を伏せる。


『悔しいけど、私達はあの子を幸せに出来なかった。あの子を守れなかった。私達って親失格だよね』


『そんなことはない‼︎ あれは私がっ‼︎ 君はヒナタを守ったじゃないか‼︎』


 強く訴えてもキューレは納得しない。

 それどころか、首を振って否定する。


『一緒にいてあげられなかったら同じだよ。私はあの子を幸せにしてあげられなかったから』


 悔しそうにするオリエルタを見て、キューレは言葉を続ける。


『でも、あの子は幸せを感じてた。捨てられたのも含めて、感謝していた。あそこで育つより、あの子はのびのびと生きていた。私達より相応しい親を見つけたんだよ』


 視線が俺を向く。

 なんかいい感じに話が終わろうとしているけれど、それどころじゃないからね。

 俺の身体、大変なことになってるからね。


 そりゃ、今生の別れになって大変だろうけど、俺も大変だからね。


 そんな風に頭の中で思っていると、キューレが頭を下げた。


『あの子を幸せにしてくれて、ありがとう』


 ……おう。


 短く返すと、キューレの崩壊は本格的に進んでしまう。


 キューレは最後にオリエルタを見る。


『オリエルタ、私は幸せだったよ。一緒にいてくれてありがとう』


『キューレ‼︎』


 オリエルタは崩れ落ちていくキューレを抱き締める。


 治癒魔法を使って繋ぎ止めようとするけれど、崩壊は止まらない。

 聖龍の骨との接続が切れてしまっていて、もう保てなくなっていた。


 これは、俺でも救えない。

 肉体を維持するのも不可能。

 自動人形を作り出したとしても、キューレの依代には出来ない。


 出来るとすればイルミンスールだが、今ここにはいない。



 俺は、どこまでいっても無力だな……。



 消える寸前、キューレは優しく微笑む。


『オリエルタ、またね』


 そう愛しい者に告げて、キューレは消えてしまった。




_____




 キューレが消えて、地球の完全なダンジョン化は止められた。


 止められただけで、状況は変わってはいない。

 世界各地でモンスターが出現するようになっており、森羅万象を解けば人は襲われ、少なくない被害が出るだろう。


 それは俺の望むところではない。


 なら、何とかするしかない。



  “どうするつもり?”



 一連の出来事を見ていたイルミンスールから問われる。


 どうもこうもない、モンスターの出現を限定させる。


 そう答えると、無茶苦茶ねと呆れられた。

 力技でしか解決出来ないのだから、こうするしかないだろう。


 不完全なダンジョン化。

 これは、はっきり言って最悪の状況だ。


 強いモンスターの出現は抑えられたけれど、モンスターを倒して強化されるレベルアップという現象は起こらない。

 それに、スキルなんて特別な能力も手に入らない。あれは、メシアが人を強化する為に作り出したシステムだ。残念ながら、地球には適用されない。


 そんな環境で生きていけるのは、ごく一部の奴らだけだろう。


 それは許さない!


「リミットブレイク・バースト‼︎ 森羅万象だおらー‼︎」


 モンスターが出現するのは、魔力が溜まった箇所から。

 魔力の流れを操り、溜まる場所を一箇所にする。


 溜まる場所は……うんまあ、今度謝っておこう。


 その場所に穴を掘る。

 深く深く複雑に、壁を強化して作り上げる。


 擬似的なダンジョン。

 強力なモンスターは出現せず、強い固体でもオークが精々の強さ。

 あそこにいる奴なら、朝飯前に片付けてしまえる。



  “酷い“



 酷くない。

 せっかく力を付けているんだから、利用しない手はない。

 前々から大変なことになるって話はしていたし、いざとなれば大道が手を貸してくれるだろう。


 何より、世界樹の枝があるんだ。

 ユグドラシルも気に掛けているだろうし、見捨てないはずだ。


 うん、まあ、でも、やっぱり謝っておこうかな。



 こうして、世界のダンジョン化は避けられた。


 だけど後日、ミンスール教会の本部の引っ越しが決定したらしい。


 なんか、ごめんってなった。

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― 新着の感想 ―
ちゃんと成仏できてよかったのかもしれない それにしても最後wwそりゃ酷いって言われるわなw
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