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無職は今日も今日とて迷宮に潜る【4巻8/20出版決定!】【1巻重版決定!】  作者: ハマ
本編終了後の話

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411/414

救済8

【無職は今日も今日とて迷宮に潜る4巻】

本日発売です!!!!よろしくお願いします!!!!

既刊1巻〜3巻下巻もよろしくお願いします!

活動報告に表紙を載せております。

口絵も載せております!是非見てください!

Xでリポスト複製原画プレゼントキャンペーンも行っております。活動報告に画像を追加しておりますので、気になった方は見てみて下さい!

 オリエルタが斬られた。

 真っ二つではないが、かなり深く傷つけられている。

 それでも、死ぬほどではない。


 キューレは大剣を手放すと、拳を握りオリエルタを殴り付けた。


『どうしてあの子を捨てたぁ‼︎‼︎』


『キューレ……』


 怒りの咆哮。


 血に濡れ、落下しそうになるオリエルタを掴み更に殴る。


 殴打の衝撃が凄まじく、辺りの雲が全て吹き飛ぶ。


 オリエルタはキューレを見て何か言おうとしているが、追加の拳で意識を失いそうになっていた。


 それ以上は危険だ。

 だから止めようと思ったのだけど、どうしてだろう、体が動かない。


 なんか、スッキリする光景だなって、ずっと見ていられるような気がした。


 俺としては、このまま止めを刺してもらっても構わないのだけれど、事態はそれを許してくれない。


 世界に魔力が充満したせいで、動物に魔力が宿るだけでなく、何故かダンジョンのモンスターまで出現し始めているのだ。


 アミニクの話になかった事態が発生している。

 この状況を止めないと、俺はまたやらかしてしまうかもしれない。


 俺はキューレの拳を止めて、オリエルタを回収する。

 死にかけているオリエルタを治癒魔法で治すと、怒りに震えているキューレを見る。


 大人しい性格だと思っていたけれど、中身は妹のミューレと変わらないのかもしれない。


 そう思っていたのだけれど、キューレが震える声で俺に聞いて来る。


『……どうして、どうしてあの子を守ってくれなかったんですか?』


 ……守りたかったよ。

 でも、俺が弱かったから守れなかった。



 ヒナタを守るどころか、俺はヒナタに守られてしまった。

 俺がこうして生きているのは、ヒナタが命をくれたからだ。

 情けない、本当に情けない親だよ。


 そんな俺の思いを告げても、キューレは納得しない。

 そりゃそうだろう。

 命を懸けて守った大切な子供が、どこの誰とも知れない男の為に死んだのだから。


『ああああーーーーっ‼︎‼︎』


 感情の爆発。

 魔力が大気を揺らし、呼応するように地上の魔力にも変化が起こる。キューレの感情に反応して、強力なモンスターが出現していた。

 これはまずいと、森羅万象で世界中のモンスターを潰す。


 ツノウサギのような弱いモンスターでも、一般人からしたら脅威だというのに、それ以上が現れるとその被害は計り知れない。


 何とかする為に、俺は不屈の大剣を手に取り、守護獣の鎧を身に付ける。


 オリエルタを安全な方向に放り投げると、迫る大剣を受け止める。


『あなたなら守れたでしょう‼︎ 私見てたんだよ‼︎ 見てたんだからー‼︎』


 そうだな。

 本当にそうだよ。

 俺が油断さえしなければ、ヒナタは救えたんだ。


 感情をむき出しにした攻撃でも、恐ろしいほど鋭い。


 剣戟の中で魔法を放ち、それを魔力の波で打ち消しても、更なる魔法と剣技で攻めて来る。

 しかもそれだけではない。

 俺が魔法で仕掛けると、キューレは魔力の波を発生させて魔法を打ち消した。


 このわずかな間に、俺の技を真似た。


 流石は、英雄に選ばれるだけはある。

 戦闘センスは、これまで見て来た誰よりも優れている。

 ヒナタよりも、俺よりも上だろう。


 その強さが、聖龍や海亀に並ぶと言われていたのも納得だ。


 もし、黒龍との戦いに俺でなくキューレがいたのなら、あっという間に倒していただろう。


 何でこいつじゃなくて、俺だったんだよ。

 剣を合わせる度に、そう思わずにはいられない。

 おかげで腹が立ってしかたない。


 空を埋め尽くすほどの魔法が飛び、衝突する度に世界が震える。

 もし地上でやれば、天変地異を巻き起こして、黒龍の時以上の被害を出していただろう。

 一応、森羅万象を使って世界を守っているけれど、地上に向かって攻撃されたら防ぎ切れない。


 キューレが急上昇して、魔法を放つと同時に突っ込んで来る。

 魔法と並列して迫る様は、まるで自爆覚悟の特攻のよう。


 俺はチッと舌打ちをして、光属性魔法の出力を最大限に上げて放つ。

 単純な魔法だが、大抵の物なら消滅させる魔法だ。

 それに、これなら魔力の波も間に合わない。


 少なくとも、俺ならダメージは受ける。

 キューレだって例外ではないと思っていた。


 違った。

 キューレは、俺の予想を軽く上回る戦いの天才だった。


 光を切り裂いて、無傷のキューレが現れたのだ。


 どうやって⁉︎ そう驚いている間に接近されて、大剣を振り下ろされる。


 大剣を受け止めると、俺の魔力が弾かれる感触があった。

 それで、キューレが何をやったのか理解した。


 こいつは、魔力の波をその身に纏ったのだ。


 どういう理屈だ⁉︎


 意味の分からない技術に、頭を抱える。


 戦いは続く。


 戦えば戦うほど、俺が積み上げて来た全ての技術が吸収され、キューレ独自の物へと昇華されてしまう。


 最初こそ優勢だったのに、もう追い付かれようとしていた。


 俺の力は、メシアと戦った時よりも大幅に減退している。

 とはいえ、ウロボロスと戦えるくらいまでは戻っている。そんな俺の上を行こうとしているキューレは、文字通り化け物のような存在なのだろう。

 アミニクが怯えるのも納得の存在だ。


『返してよ! あの子を返してよ‼︎」


 そりゃ無理ってもんだ。

 お前も見ただろう?

 ヒナタはもう、転生して人として生きているんだよ。


『っ⁉︎ 何で⁉︎ 何で⁉︎ 幸せに生きていて欲しかったのに⁉︎ オリエルタなら、あの子を幸せにしてくれるって思ってたのに⁉︎⁉︎ どうして! どうしてあの子だけ酷い目に遭わないといけないの‼︎‼︎』


 すまんが、そりゃオリエルタに聞いてくれ。


 そもそも、ヒナタは酷い目に遭っていたなんて思ってない。もしそう思ってたのなら、そりゃ俺の責任になるな……。


 迫る魔法を全て避けて、キューレに接近する。

 ここで攻められると思っていなかったのか、キューレの反応が遅れる。


 不屈の大剣に、強烈な殺意と魔力を込めた一撃。


 キューレは大剣で受け止めるが、残念ながらそんな鈍らでは防げない。


 不屈の大剣は武器を砕き、魔力の波も切り裂き、キューレを斬る。


 才能も技量も間違いなくキューレが上だが、武器と防具の性能は段違いでこっちの方が上だ。


 キューレを斬ったが、血が出ることはない。

 今のキューレの肉体は、聖龍の骨と魔力で一時的に造られた物でしかない。その魔力も、俺が蘇生魔法で与えた分が大半。それも、もう使い果たそうとしている。


 このままだと、キューレは消えてしまう。


 もう死んでいるのだから、楽にさせてやるのが一番いいのだろう。

 でも、それじゃあ困る。


 崩れ落ちそうなキューレを掴んで、わずかだが魔力を与える。


 回復した瞬間、腕を振り切ろうとするが離す気はない。


『離して、私はあなた達を許さない』


 ああ、それでいいよ。いくらでも恨んでくれて構わない。

 でも、このお願いだけは聞いてくれ!

 頼む、世界を元に戻してくれ!

 ト太郎の骨と一体化しているお前じゃなきゃ無理なんだ。

 お願いだ! 日向が平和に暮らせる世界であって欲しいんだ!

 魔法とかモンスターとか、ダンジョンとか無縁な世界で生きて欲しいんだ!

 どうか、どうかお願いします!



 キューレに向かって頭を下げる。

 俺に出来るのは、お願いすることだけだ。


 残念ながら、俺は破壊することは出来ても、世界を守ったり元に戻したりなんてことは出来ない。

 それどころか、大切な人達の平穏の為に他人を頼らないといけない。


 情けない限りだよ、まったく。


『……』


 無言のキューレは、俺を見るだけで襲って来ようとしない。

 ただ、俺を見て目を瞑り、少ししてオリエルタを見ていた。


 そこに、どのような感情があったのか俺は知らない。


 でも、天使キューレは大剣を消して頷いてくれた。

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― 新着の感想 ―
キューレがすごい強そうに見えるけど、これ、森羅万象を使いながら片手間で相手してんだよな…
ずっと見てるしかなかったんだから鬱憤もすごいしそりゃ爆発するよね。特にオリエルタなんかさぁという
キューレの気持ちも分からんではないが、死んでしまってその場に居なかった人に責められてもね 何処までも八つ当たりでしかないんだよな ヒナタを守りたかったなら、運命に抗ってでも生き続けるしか無かったと思う…
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