救済1
【無職は今日も今日とて迷宮に潜る4巻】
8月20日に出版されます!
既刊1巻〜3巻下巻もよろしくお願いします!
活動報告に表紙を載せております。
口絵も載せております!是非見てください!
地球のダンジョン化。
それを聞いた時、こいつは何を言っているんだろうと思った。
ダンジョンを作り出したメシアから、その権限は奪っているし、ほぼ無力化しているので、勝手に侵食を早めることは出来ない。
それで、どうやってダンジョンを広げるのだろう。
だが、違っていた。
勘違いしていた。
アミニクが言ったのは、地球がダンジョンと同じ環境になるという意味だった。
地球に魔力が満ちると、魔力を扱える生物が生まれ始める。
そいつらはとても強く、他の生物を排除しようとする。
これが、モンスターと呼ばれる奴らの出現だ。
この兆候が、すでに現れている。
数は少ないが、魔力を宿した個体が現れており、縄張りを広げるために他生物を排除しているという。
そして、それは人にも見受けられる。
日向は例外として、子供の中に生まれながらに魔力を保有している子もいるそうだ。
では、どうしてこうなったのか?
それは、ネオユートピアの一件まで遡る。
奈落と繋がった大事件。
あれのせいで、世界中にダンジョンが出現してしまった。
ただこれは、今回の出来事とは関係無い。
ダンジョンは、イルミンスールの指示によって、始まりの二箇所を除いて無くなっているのだから。
ならば、何が原因なのかというと……。
『ハルト様、これに見覚えはありませんか?』
渡されたのは、ト太郎の魔力が宿る白い物体。
そうこれは、あの日、俺とヒナタで砕いた聖龍の骨だった。
砕いた骨の半分は、大気圏で焼け落ちたそうだが、ある程度の大きさの骨は世界中に散らばっているという。
ト太郎改め聖龍の骨は、そこにあるだけでかなりの魔力を発している。これが、周辺をダンジョン化させる下地を作ってしまっていた。
そう下地だ。
これだけでは、世界の法則が変わったりはしない。
何者かの意思によって、それは成される。
この世界を漂っていた何者かには、意志は無かった。
肉体を失い、耐えられるような肉体も見つからず、ただ漂っていた。
その何者かが、聖龍の骨に触れた。
意識は無かった。
意志もほとんど残っていなかった。
でも、夢は見ていた。
かつて暮らしていた世界。
母なる世界樹に守られた世界で、仲間達と共に幸せに過ごす日々。
大切な彼がいて、新しい生命を授かった。
そんな夢を、かつて英雄になると期待されていた天使キューレは見ていた。
_____
カズヤに話しした内容を、大道にもした。
驚いていたが、割と冷静に対策を考えていた。
カズヤは一も二もなく、胸ぐらを掴んで「どういうことだ⁉︎」と怒っていたのだけれど、大道の場合は受け入れているようにも見えた。
なので、ダンジョンになっても問題無いのか? と尋ねると、いずれダンジョンに取り込まれるのなら、今から全人類が準備しておくのも良いのではないかと考えたそうだ。
それを聞いて、馬鹿野郎この野郎! ってなった。
俺達が何の為にメシアを無力化して、イルミンスールが主導権を握ったのかまるで分かっていない。
ダンジョンに取り込まれるにしても、地球をこのまま残す為だ。
その後に取り込まれるであろう世界も、同じように残すんだ。
ダンジョンを弱肉強食の世界ではなく、様々な文明が発展する世界にするんだ。
そんな脳筋理論なんか、こっちから願い下げだボケ。
こんなんなら、カズヤみたく取り乱してくれた方がマシだ。
怒った俺は大道にデコピンして、意識を刈り取ってしまった。
あっやべ、手加減したつもりだったけど強過ぎた。
そう後悔した瞬間、巨大な剣が振り下ろされる。
その場を飛び退いて避けようかと思ったけど、それだと被害があまりにも大きいので、真剣白刃取りを敢行してみる。
スキル【見切り】により、剣がどう動くのか手に取るように分かる。
こんなの朝飯前と、簡単に剣を受け止める。
次の瞬間、剣からたくさんの棘が生えて手がスプラッタになった。
いでーーーーっ⁉︎⁉︎
即座に治癒魔法で癒して、こんなことしでかした奴を睨む。
そいつは龍をモチーフにした鎧の姿で、プシューっと気炎を上げている。
そう、こいつの名はドレイク。
俺が創造した自動人形だ。
おいテメー‼︎ なーにぃ創造主様に手ぇ上げとんじゃ⁉︎
主君に手を出すなって?
何が主君だ⁉︎ そんな時代錯誤な奴いるか⁉︎
えっ、大道? こいつを主君と崇めてるって?
いや、でもよ、俺に手を上げたら最悪消されるかもしれないんだよ?
それも本望?
主君の為に死ぬのなら誉れって?
ええー……武士なの?
そうだって頷かれてもなぁ……。
どうしよう、扱いに困る。
俺は、武士みたいな奴は嫌いじゃない。なんて思ってたけど、実際に目の前にいると融通が効かなくて面倒くさそうだ。
無関係な奴なら、あっそうすかー……でスルーするのだけど、これ、俺が創っちゃてるからなぁ。
大道に迷惑掛けてないかな?
治癒魔法を掛けて、大道を強制的に起こす。
それで、こいつは大丈夫かと聞くと、どうやら大変満足している様子だった。
言うことを聞いてくれるし、トラブルがあってもドレイクが立っているだけで解決するらしい。
そりゃ怯えてるだけだ。
なんてツッコミはやめておく。
大道は、ドレイクが主君と慕っているのを知っているのだろうか?
知らないのなら、知らないままの方がいいような気もするし、黙っていようかな。どっちにしても、大道にはマイナスにならないだろうし、そうしよう。
そう勝手に決めていると、大道が聞いて来る。
お前はどうするんだと。
そんなの決まっている。
地球のダンジョン化を止める手段を探す。
これまでやってきたことを台無しにしてたまるか。
日向が安心して暮らしていける世界を壊されてたまるか。
そもそも、この現象なんて誰も望んでいない。
やらかしている張本人だって、認識すらしてないで起こってしまっている。
なら、止めるしかないだろう。
俺の無駄に強くなった力。
これは、こういう事態を解決する為にあるのだから。




