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無職は今日も今日とて迷宮に潜る【4巻8/20出版決定!】【1巻重版決定!】  作者: ハマ
本編終了後の話

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394/414

その後の日常4

【無職は今日も今日とて迷宮に潜る4巻】

8月20日に出版されます!

既刊1巻〜3巻下巻もよろしくお願いします!

活動報告に表紙を載せております。

 いかん、幸せそうな同級生を見て焦ってしまい、変なことを口走ってしまった。


 おかげで、せっかく再会したのに、千里から冷たい視線を送られてしまう。


 これは嫌われたかと心配したが、週末は会ってくれるというので、とりあえず拒絶されるという心配は無さそうだった。


 というわけで週末である。


 痩せたというのもあり、着れる服が増えた。

 おしゃれしようと、収納空間にある服を引っ張り出すと、どれも大きいサイズか戦闘向けの防具服、オクタン君に貰った世紀末ファッションしかなかった。


 やばいな、服を買いに行こうにも、もう時間も無い。


 こりゃもうやるしかないと、大きいサイズの服を手に取り、スキル【裁縫】を使ってサイズを整える。

 久しぶりに裁縫を使ったけれど、かなり上手く行った。


 これで準備は万端。


 あとは出発するだけなのだが、日向が遊ぼうと誘って来る。


 ……どうしよう。

 遊んであげたいけれど、千里とも遊びに行きたい。

 視線をマリンに向けると、任せて! と返事が来たので任せてみる。


「いや! オヤジとあそぶの!」


 だが、残念なことにマリンは拒絶されてしまった。

 空を飛ぶ練習しようよと誘っても、日向は首を縦には振らない。


 次にフウマに視線を向けると、漫画に夢中でこっちを見ようともしない。

 どうやら、我関せずを貫くようだ。

 こいつとは、後で話し合いが必要だろう。


 最終手段と、母ちゃんと父ちゃんに視線を向けると、微笑ましそうに見ており助ける気は無いようだ。


 いやいや、あんた達の娘だよね?

 俺、オヤジとか呼ばれてるけど、日向は妹だからね‼︎

 父ちゃんなんて、どうせ母ちゃんと二人きりになれるからとか考えたんだろう⁉︎


 そう訴えると、冗談だと言いながら日向を抱っこしていた。

 本当に冗談なのか怪しいところだが、面倒を見てくれるのなら文句は無い。


 と思ったのだけれど、日向が泣き始めた。


 普段泣かないから、父ちゃんは驚いており、母ちゃんに任せていた。

 情け無いなおい。

 だけど、それでも泣き止まなくて、日向の魔力が膨れ上がる。


 おいおい、ユグドラシルの加護で制御出来てるんじゃないのか⁉︎

 このままじゃ、爆発してしまう⁉︎


 即座に母ちゃんの手から奪い取り、日向の魔力を散らせる。


 すると、魔力は空中へと溶けて日向の癇癪も治った。


 焦った。

 まさか、ユグドラシルの加護を越えて来るとは思わなかった。


 早めに、魔力を消耗させる方法を考えた方がいいかもしれない。


 まあ、それはともかくだ。


 日向、一緒にお出掛けするか?


「……うん!」


 花が咲いたような笑顔で日向は頷いた。


 もう仕方ないよね。

 とりあえず、千里には連絡入れておこう。

 日を変えたいって言われたら、今日は諦めるしかない。


 千里に電話して事情を説明すると、仕方ないねと言いながら、日向の同行も許された。


 これから回る予定を変更して、子供も楽しめる所にしておこう。


 スマホで良さげな場所を探して、日向の準備を待った。



____




 待ち合わせ場所は、地元の駅にしていた。

 この駅の前の大通りは、フウマが外国人を市中引き回しの刑に処した道路でもある。

 フウマの渾身の魔法でもあり、あれは流石に引いてしまった。


 そんなどうでもいいことを思い出しながら千里を待つ。


 日向はキョロキョロと辺りを見回して、あれ何? とか、知っている物を俺に教えてくれたりする。


 俺は説明したり、日向は物知りだなぁとか言って感心する。

 実際、最近の流行や物なんて知らないから、日向の話は驚いたりする。


「あっ、ちさとせんせいだ!」


 なにっ⁉︎


 日向が指差す方向を見ると、そこには千里がいた。

 だが遠い。軽く三百メートル以上は離れているだろうか。

 日向はよく見つけたもんだと頭を撫でてしまう。

 空間把握の範囲には入っているけれど、人が多過ぎて判別するのを拒否していた。駅に併設されている商業施設も範囲内なので、常時発動しているスキルを意識すると頭が疲れてしまう。


 と、そんなのはどうでもよくて、やって来た千里に手を上げて挨拶をする。


 おはよう。……えっと、その服似合ってるな。


 そう言うと、千里は「ありがとう」と微笑んでくれる。それから、日向と目線を合わせて、朝の挨拶をしていた。


 日向は挨拶をするのだけれどキョトンとしており、どうして千里がいるのか分かっていない様子だった。


 なので、これから一緒に遊ぶんだよと教えてあげると、口を開けて驚いていた。


「オヤジ、ちさとせんせいとデートするの⁉︎」


 おう、ちゃんとデートって言葉知ってたんだな。


 そう困惑する俺をよそに、千里が説明してくれる。


 これから俺と日向と千里の三人で遊ぶんだよと優しく告げて、「今日は一緒に楽しもうね!」と楽しそうにアピールしていた。


 それを聞いて、日向も嬉しそうにしているので、このまま三人で行っても問題無さそうだ。




 俺達が最初に向かったのは動物園。

 近場で、子供も楽しめそうな所がここしかなかった。


 移動手段に魔法を加えたらどこにでも行けるのだけれど、それは嫌だなと思ってしまい辞めておいた。

 この意見には千里も同意してくれて、あくまでも交通機関で行ける範囲にしようとなった。


 動物園に到着すると、周りには家族連れが大勢おり、思い思いに園内を回っていた。


 俺達も回ろうと足を進めると、変化は起こった。


 動物が動きを止めて、俺達をジッと見返して来るのだ。


「なんか見られてない?」


 そう千里が困ったように告げる。

 うん、これは俺か日向だろうな。


 試しに日向を千里に預けて離れてみる。


 すると、動物の視線は俺を追って来た。


 どうやら、本能で俺を異常だと感じ取ったようだ。


 魔力は抑えているし、力も感じ取れないようにしていても、イルミンスールから生まれた肉体までは隠せない。


 そこにあるだけで、生命を生み出す世界樹。


 その力を感じ取ったのだろう。


 日向は「オヤジすごい⁉︎」と興奮しているが、これだと動物園を楽しめなくなってしまう。


 動物園は、普段見ない動物が動き回っているのを見て楽しむ場所だ。それなのに、動きを止めてジッと見られていたら、何も楽しめなくなる。


 こりゃ、失敗だったかもしれん。

 この分だと、水族館とか行っても同じだろう。


 動物系の施設は、今後やめておいた方がよさそうだ。


 千里にごめんと謝ると、「気にしなくていいよ、次行こう」と言ってくれた。


 動物達に注目されながら園内を回る。

 触れ合いコーナーや、鳥が飛び回っているドームの中に入ると、俺に集まって来て他のお客さんの迷惑になってしまった。


 日向は大興奮だったけれど、服に付いた毛や羽根が凄いことになっていた。


 午前中を終えて、昼食を食べに向かう。

 そこにはお弁当を広げた家族や、フードコートで購入した物を食べている人達がいた。

 ここのフードコートのお店は大きくないので、持ち込みが認められている。それに、動物園から出て食事をしに行くのも可能なようだ。


 俺達はフードコートで軽食を注文して、出来上がるのを待つ。


 すると、声を掛けられた。


 それは先日会った中学の同級生、とその家族。

 旦那さんは見たことない人だったので、社会人になってから知り合ったのだろう。


 旦那さんが丁寧に挨拶してくれる。


 あっ、どうもどうも。

 日向がお世話になっております。

 えっ、日向のお父さんですかって?

 いえ、兄です。父ちゃんは今頃、母ちゃんといちゃついていると思います。

 年齢ですか? 俺は29になりますね。

 父ちゃん? もう還暦迎えるくらいだったと思います。あれ、もう過ぎてたか?


 何故か困惑する旦那さん。

 同級生も頭を捻っており、よく分かっていない様子だ。でも、それよりも気になるのか、千里に話し掛けていた。


 俺と千里がどういう関係なのかと、いろいろと尋ねている。


 恋人です! と言ってくれたら嬉しかったのだけれど、一緒に日向の面倒を見ていると誤魔化していた。


 間違ってはいないけれど、うんまあ、同級生は信じていなさそうだった。


 千里との久しぶりのお出掛けは、少しだけ賑やかで騒がしい時間になってしまった。

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― 新着の感想 ―
生命力ふれて、イルミンスールだし謎の安心感があったりそうだなぁ 公園に座ってるとハトまみれになりそう
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