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無職は今日も今日とて迷宮に潜る【4巻8/20出版決定!】【1巻重版決定!】  作者: ハマ
本編終了後の話

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393/414

その後の日常3

【無職は今日も今日とて迷宮に潜る4巻】

8月20日に出版されます!

既刊1巻〜3巻下巻もよろしくお願いします!

活動報告に表紙を載せております。

 昨日の夜は、兄ちゃんと姉ちゃんの家族もやって来て、宴会を開いた。

 俺が帰って来たのを喜んでくれているようで、何というかくすぐったい気持ちになった。


 寿司やピザを注文して、ビールを片手に楽しんだ。

 これまでどこにいたのとか、誰も聞いて来なかったのも楽しめた理由だろう。もし聞かれていたら、海外で事業を始めていたとか言って、滑り散らかしていただろうから。


 何も聞かずに、ただ一言。


「まっ、元気で良かったよ」


 そう兄ちゃんに言われた時は、不覚にも泣きそうになった。


 守れて良かったと、心の底から思った。



______



 日向は大きくなった。


「オヤジー‼︎」


 と呼んでは、高い所からダイブしようとする。

 ハラハラして仕方ない。


 奈落にいたあの頃は、この年齢から剣を振っていたけれど、この世界では必要無いから平和に生きて欲しい。でも、危険なことをするのなら、ある程度教えておいた方がいいだろうか?


 どうしよう、先に魔力の扱い方教えて、空くらい飛べるようにしといた方がいいかな?


 父ちゃんどう思う?


「絶対教えるなよ」


 ……だよな。


 ユグドラシルの加護で魔力の暴走は無くなったけれど、その分肉体に止めているので、魔力の器自体が大きくなっている。

 直ぐにという訳ではないけれど、日向の魔力量は天使並にまで膨れ上がるだろう。そうなると、マジで人外の領域に入ってしまう。


 人として生きて、人生を全うして欲しい。

 それが難しいなら、せめて人に留まっていて欲しい。


 その為にも、魔力を定期的に排出させたい所だ。


 まあ、その方法はおいおい考えよう。


 それより問題なのは、自動人形の方である。


 水と一緒に空中に浮かんでいる、人魚の自動人形。

 こいつが、乾燥ワカメをボリボリと食べつつスマホをいじっている。


 どうやら、母ちゃんからマリンと名付けられており、絶賛ニート状態だ。


 おい、ちゃんと働けよ。

 そんな寝転んでたら、お前作った意味無くなんだろうが!

 え、働いてる? あたいの役割は家を守ることだから、立派な自宅警備員になってるって?

 いやいや、俺はフウマがこっちに居ない間の警備を頼んだだけで、自宅警備なんて指示してないぞ。

 ん? フウマが帰って来たから、やることが自宅警備しかないって?

 ……確かに。


 母ちゃんからフウマの活躍は聞いている。

 それだけの働きをするのなら、やることが無くなるのも仕方ない。


 そうか、じゃあもう用済みなんだな。


 俺はマリンに手を掲げて、収納空間に入れようとする。

 自我が芽生えているとはいえ、無生物には違いはない。だから、問題なく収納空間に収めることが出来る。


「待ち待ち⁉︎ 主様待ち⁉︎」


 焦ったように訴えて来るニート。

 何だよと尋ねると、自分自身をプレゼンして来た。


「あたい美人だよ! いるだけで華になるよ! 自宅警備なんて完璧だよ! これまで侵入しようとした奴ら血祭りに上げてるから! 人外の相手だってお手のものだよ! 今度ファッション雑誌の表紙だって飾るから! フウマパイセンが居ない時なんて活躍するから! マジ任せて欲しいんだけど‼︎」


 もう途中から何を言っているのか訳分からん。

 人外ってのはモンスターか? ファッション雑誌って何だよ? 意味わかんねーよ。


 そう困惑していると、母ちゃんが説明してくれる。

 どうやらマリンは、人の姿でモデルとしても活動しているそうだ。雑誌にも取り上げられていて、偶にテレビにも出演しているらしい。


 何だろう。

 俺が居ない間に、俺以外の奴らが大いに活躍してんだけど。

 疎外感が凄くて辛い。


 ついでに言うと、日向からも待ったが掛かった。


「マリンちゃんいじめちゃダメ!」


 らしかった。

 どうやらマリンは、子供の心も掴んでいるらしい。


 何をやって日向の心を掴んだのか、参考程度に聞いてみる。


 すると、水の階段を作り出し、天井付近から「とうっ!」と水の中にダイブしていた。


 日向が空を飛ぼうとする原因を発見した。


 どうやら、こいつが犯人のようだ。


 待ち待ち⁉︎ と焦るマリンを、容赦なく収納空間に入れようとする。だが、手応えがおかしい。


 ……あれ? 入らないんだけど。


 何度も入れようとするのだけど、一向に入らない。

 生物じゃないんだからさっさと入らんかい! と力を込めるが、残念ながら無反応だった。


 どういうことだとマリンをトレースすると、あることが判明する。


 ……こいつやりやがった。


 自動人形の中に魂が宿っていた。

 自我が芽生えた時は、まだ魂は無かったはずだ。

 てっきり、無い物だと思っていたのだけれど、後からでも魂は宿るようだ。


 付喪神。

 そんな言葉が浮かんでしまった。


 収納空間に入れられないと悟ったのか、マリンはニィと勝ち誇ったように笑う。

 そして、「え? 無理な感じ? 何だ主様でもこんなもんなんだ〜」と笑いながら煽って来た。


 破壊してやろうかと思った。


 とはいえ、日向の前でやるわけにもいかないので、後で対処しよう。


 父ちゃんが仕事に出掛けると、俺も準備をする。

 何の準備かというと、日向を幼稚園に送り届ける準備だ。


 いつもは、母ちゃんかフウマが連れて行っているそうだが、今日から俺の仕事になる。


 んじゃ行くか。

 そう声を掛けると、日向は返事をして靴を履く。

 それから手を握って、俺を見上げて満面の笑みを浮かべていた。


 一緒に歩いて幼稚園に向かう。

 フウマは用事があるらしく、俺達が出ると同時にどこかに飛んで行ってしまった。


 二人で歩いていると、同じように幼稚園に向かっている保護者を見かける。

 お母さんだけじゃなく、お父さんの姿も多くあり、年齢は俺に近そうだった。


 俺ももう、三十手前か……。


 自分の年齢に気付いて、ちょっと怖くなる。

 この前、二十歳になったばかりだと思ったら、もう三十路だ。

 時間の流れが早い。

 二十歳をピークに、時間の流れが急激に早く感じるようになると聞いたことあるけど、ここまであっという間とは思わなかった。


 日向も直ぐに成人して、恋人とか連れて来るのだろうか?


 ……まるでその姿が想像出来んな、どうしてだろう?


 日向は贔屓目抜きにして、かなり可愛い。

 この先、美少女になって多くの男を侍らせることも可能だろう。

 それでも、天使だったヒナタの姿を思い出してしまって、そりゃ無いわぁ〜っと否定してしまう。


 将来、好きな人が出来て、幸せな家庭を築いて欲しいな。


 そう願っていると、幼い声で「ひなたちゃん!」と呼ぶ声が聞こえた。

 どうやら日向のお友達のようで、名前を呼んで友達に向かって駆け出した。


 あちらの親御さんに頭を下げて挨拶すると、首を傾げながらも挨拶してくれた。

 恐らく、俺の顔を初めて見るから戸惑っているのだろう。


 と思ったら違った。


「あれ? 田中君だよね?」


 そう呼ばれて気付いた。

 このお母さん、中学の同級生だ。


 あまり話したことはなかったけれど、クラスが三年間同じだったから覚えている。


 自己紹介して来る同級生に、覚えてるよと返事をしつつ、本当に同級生がいるのかと遠い目をしてしまう。


 同級生に日向のことを聞かれて、妹だと答えると驚かれた。

 日向が俺を「オヤジ!」と呼ぶので、今度は混乱していた。


 そんな会話をしつつ、幼稚園に到着した。


 千里は幼稚園の門に立っていて、園児達をお出迎えている。大勢の子供達は、元気に挨拶をして園に入って行く。


 とても可愛らしい光景だ。


 その中に、日向とそのお友達も加わって、幼稚園の建物に向かって駆け出した。


 転ばないか心配して見ていると、日向は足を止めて振り返る。


「いってきます!」


 そんな元気な日向に、手を振って応えた。


 日向の姿が見えなくなると、千里に向き直る。


 昨日の夜は、電話をして話をした。

 今は、恋人もおらずフリーな状態らしい。


 俺はきっと焦っていた。

 だから、変なことを口走ってしまった。


 千里、結婚しないか?


 すると千里は、思いっきり顔を顰めて、


「いきなり、何言ってんの?」


 そう、呆れた言葉をいただいた。

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― 新着の感想 ―
雑すぎるプロポーズで笑った もっと雰囲気考えよ? 日向にはみせらんねぇよ…
主に似たなぁマリンwいやこの家全体がそんな感じかー?w
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