表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
図書室と先輩~ネオ!~  作者: にま
彼の憂鬱、彼女の鬱憤
15/102

その15 彼に明日はない、です。

 そして……。

 おお、見詰め合っている。いや睨み合っている、と言ったほうがいいのか?

 この場面だけ見たら、すぐにでも取っ組み合いが始まると思っちゃうな。

 先輩が左手の甲を口元に寄せながらコロコロと笑う。

 なんだろうなこの人。会うたびにまるで別人になる。


「たいした意味なんてないって言ったら怒るかな?」


「そんなことはないと思います」


 たいしたもんだなあ。張り合っているよ。オレには無理。


「ねえ、寺山君? 新開さんってかわいいわね」


 視線は彼女に向けたままオレに言ってくる。そうでしょそうでしょ。


「先輩! からかわないでください!」


 あ、まずい。せっかちモードだ。これはいくら先輩といえど気を付けて……。

 って、なんです、それ? なんで仁王立ちしてるんすか? 

 何したいんだ、この人?

 たぶん時間にすれば5秒ほど。 


「うぅ、やっぱりおっぱいでは負けてるわ」


 そう呟くと、先輩はいきなりリカウンターに両手をついてがっくりとうなだれた。

 それか、それに張り合っていたのか! 何考えてんだあ!

 彼女は? と見てみると。

 おお、この間と同じリアクションだ。両手で胸を隠して顔を真っ赤にしている。


「先輩!」


 彼女は機先を制され、ものの見事に毒気を抜かれている。

 あーあー。さすがにオレにモミジつけたようにはいかないか。


「だってさ、毎日牛乳たくさん飲んで頑張っているんだよ。それなのに……」


 先輩は本当に泣きそうな顔を上げ彼女に向けて言い放つ。


「かわいいしおっぱいおっきいし、新開さんてずるいよぉ!」


 彼女は呆然。オレ唖然。


 何なんだ、この展開。

 うーん、そんなに気にしていたのか。

 それとも情緒不安定なアノ日というやつなのか? 

 どちらにしろ、下手なことは言えないなあ。


「あ、あの先輩。えーと、胸のことはひとまず置いといてもらえませんか」


 彼女はどうにか持ち直し話題の軌道修正を図る。最初のケンカ腰もくだけたようだ。

 だが、先輩のいじけっぷりは止まらない。


「私、小っちゃいから置けないもん、のっからないもん」


 ぶっ! あ、ツボった、マズイ、

 リアルに映像化できてしまった。

 そのままカウンターに両肘ついて胸を乗せようにもスルリ。

 その場でへなへなーっとへたり込む先輩。

 いけない、笑ってはいけない。いけないんだけど……。

 あ、ダメだ、止まらない。

 あわてて顔を背けるも、オレはついにその場にしゃがみこんで腹を抱えて笑い出してしまった。

 くぅくっくっくっく!

 下手に我慢しようとしたから腹筋がよじれそう。

 鼻の奥も痛くなってきた。

 二人の存在を忘れ、しばし笑いの世界でオレは身悶えしてしまう。



「ねえ、こういう人ってどう思う、新開さん?」


「最低、ですね」


 えっ? 

 少しだけ落ち着いてきたところで、背後から不穏な会話が始まった。


「少しお灸が必要かしら」


「むしろたっぷりのほうがいいんじゃないですか?」


「そうよね。優しくしすぎたって反省してるわ」


 えっ?

 オレはしゃがみこんだまま、そーっと振り返る。

 うわっ、二人とも仁王立ち。

 オレは自分の中でサーッっと何かが引く音を聞いた。 

 あー、オレに明日はなくなったな、うん。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ