その11 彼は食わず嫌いです。
オレはベッドに寝転がりながら、先輩から借りた本を読んでいた。
小説など読むのはいつ以来だろう。中一か中ニか? 忘れた。
だいたい教科書に出てくるものでさえ眠くなる。
まるまる一冊なんて無理だ。
なんて思っていたのに……。
なんだコレ。やっべ、面白すぎ!
オレは次々にページをめくる。
『君に合うと思うの。読んでみて』
そうだよ、別に本が嫌いなわけじゃなかった。小学校の時はよく読んでいたし。
課題図書を感想文書くためだけに読まされるのが嫌だった。
テストでいい点を取るためだけに読まされるのが嫌だった。
教師たちのあの押し付けがましさが嫌だった。
読書ってそういうものじゃないだろう。
そうしてオレはいつしか本を読まなくなっていたのだ。
おっと……。
予定のページ超えちゃったよ。終わりに……したくない。
あー、続きが気になる。読みたい。
でもなあ、ルールってか約束ってか言われたからなあ。
『いい? 一日に読むページ数を決めておくの。5ページでもいいし20ページでもいい。それをきっちり守るの。どんなに続きが気になったとしても、それ以上は読まないこと。できる?』
あの時はなんだそんなことって思ったけど、なんだよこれ、拷問かよ?
あー読みたい。続き読みたい。でもなあ……。できるって言っちゃったんだよなあ。
オレは枕に顔を埋めて「読みてえ」とつぶやき、息を吐き続ける。
そしてそのまま息をとめること1分ちょっと。
ブハァッ!限界に達したところでオレは諦めて本を引き出しにしまう。
出ていると絶対読んじゃうからな。
オレはここで一つ確信する。
先輩はぜったい”S”だ。
ふぅ。それにしても、これってどんな意味があんだろ? 今度聞いてみよう。




