第54章:血脈の覚醒
いつもの学校生活に満ちていた静かな五月の日々は、厚生労働省の中央分析アーカイブから「新暁学園」の学園長の端末へ、義務化されたDNAスクリーニングの最初の暗号化データが届いたその瞬間に終わりを告げた。隠れた疾患を発見するために構築された最先端の分子遺伝学システムが、長野ゆりの血液検体を解析した際、突如として重大なアクセス拒否のシステムエラーを叩き出し、そのデータを国家最高機密プロトコルのもとに封印してしまったのである。自動解析アルゴリズムが彼女の染色体セットの中に検出したのは、日本の宮内庁の非公開台帳にのみ保管されているものと完全に一致する、絶対的な遺伝的純血の固有マーカーであった。国家機関によって即座に開始された緊急の政府調査は、わずか数時間の内に、戦後に偽造された長年の書類を根底から覆した。この瞬間まで、ひ孫の代にあたる自らの家系の本当の起源を知らなかったゆりの両親さえも預かり知らぬところであった大いなる秘密が、ついに暴かれたのである。ゆりの慎ましい一族は、かつて途絶えたはずの山階宮(やましなの宮)家の、密かに生き延びていた正統な直系の一派であった。彼女の先祖たちは、アメリカ軍の占領下にあった一九四七年、一族を完全な滅亡と政治的圧力から救い出すため、敢えて歴史の影に隠れて平民の身分を受け入れ、後世の子供たちの安全のために、あえて何ひとつ知らせぬまま日常を過ごさせていたのだ。翌朝、一年A組の教室の空気は跡形もなく変貌していた。予鈴が鳴る数分前、教室の入り口から学園長自らが姿を現し、その背後には、金糸で菊の御紋の刺繍が施された伝統的な高級スーツをまとった宮内庁の二人の高官が厳かに従っていた。静まり返った生徒たちや、窓から必死に覗き込んでいた瞳とさやかが唖然として見つめる中、学園長は、長野ゆりを最古の主権王座の正統な継承者として認定する、復元された系譜宣誓書を公式に読み上げた。ゆりは自分の席に座ったまま、顔を青ざめさせて激しく動揺し、厚手の桃色サテンの下で心臓が破裂しそうなほど脈打つのを感じていた。佐藤や南をはじめとする仲間たちは完全に言葉を失い、目の前で起きている事態の桁外れのスケールに、ただ驚きで両手で口を覆うばかりだった。竜之介は、静かに席から立ち上がった。彼の冷徹な視線が廊下のスノブどもを射抜き、「スラムの女の子」などという愚かな侮蔑の記憶をその脳裏から永遠に焼き尽くすと、彼は確かな足取りでゆりの元へと歩み寄り、自らの姫の前で、恭しく片膝を突いて頭を垂れた。ゆりは驚きと嬉し涙でその瞳を瑠璃色に輝かせ、彼の肩に優しく触れた。今や「新暁学園」のすべての格式が自分たちの足元に平伏し、ドレスのこの上なく柔らかい瑠璃色の絹の裏地が、もはや単なる大切な幼馴染としてではなく、公式に認められた高貴な君主としての彼女の身体を温めているのだということを、少女は深く理解していた。そして、竜之介との間に結ばれた決して壊れることのない不朽の世界は、今まさに、千年の時を超える神聖な威光を宿したのである。
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