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第43章:別れの桜と永遠の絆

三月が、目まぐるしくも鮮やかな暖かさとともに東京へと突入し、校庭を瞬く間に淡い桜色へと染め上げた。「三年A組」の生徒たちにとって、三年前には遥か彼方に思えたその日――中学校の卒業式がついに幕を開けた。厳かに彩られた体育館には、切なくも温かい、晴れやかな名残惜しさが満ちていた。竜之介とゆりは、見慣れた区立中学の制服を身にまとっている。それは、厳しい鍛錬と勉学の日々の中で、すっかり彼らの肩に馴染んだ黒の詰襟(学ラン)と紺色のセーラー服(セーラー服)だった。入学式の時と同じく、全卒業生を代表して「答辞とうじ」を述べる大役を射止めたのは、やはりこの二人だった。会場が水を打ったような深い静寂と敬意に包まれる中、竜之介とゆりは舞台の両袖から同時に登壇した。二人の息の合った、完璧な四十五度の礼に、最前列の教師陣は誰もが深く頷き、微笑みを浮かべた。二人は和紙の原稿を広げ、一文ごとに言葉を交わしながら、掛け合いの形で答辞を読み始めた。かつてよりも大人びた、深く力強い二人の声が、見事なまでに美しい調和ユニゾンを奏でていた。「本日、私たちは、三年間私たちの拠り所であったこの学び舎のページをめくります」ゆりが清々しく、響き渡る声で口開いた。「私たちは知識だけでなく、この壁の中で培われた価値観への不変の忠誠を胸に、旅立ちます」竜之介が平然と、深く言葉を継いだ。「尽きることのない忍耐で導いてくださった先生方、そして、この道のりの一日一日を互いに手を取り合って歩んでくれた友人たちに、心から感謝いたします」答辞の結びは、三年前と同じく、完全に一つの声となって重なり合った。二人は前をしっかりと見据え、静まり返った会場の奥へと声を届けた。「そして、新しい道がどのような未来へ続いていようとも、私たちは志を清く保ち、己の義務に忠実であり続け、自らの大切なものを最期まで守り抜くことを、ここに誓います」割れんばかりの拍手の嵐が会場を包み込んだ。式典という厳粛な時間の後、「三年A組」の教室では感動的な別れの時間が流れた。担任の先生を抱きしめてお約束のように号泣する佐藤くん、そして校庭での終わりのない記念撮影を終え、卒業生たちにはようやく自由な時間が訪れた。道を挟んだすぐ向こうにある、小さくも温かみのある小学校の校舎――そこへ、最初の担任であった山田先生を訪ねようという提案が持ち上がった。向かったのは、単に竜之介やゆりの親しいグループだけではなかった。教室の敷居をまたいだのは、かつて「一のA」から「六のA」までを共に駆け抜けた、あの懐かしくも固い絆で結ばれた仲間たち全員だった。中学校で別の学区やクラブチームへと散っていった面々が、この日、再び一つに集ったのである。小学校の教室には、今もチョークと子供たちの絵の匂いが漂っていた。両手に卒業証書を抱えた、見違えるほど大人びて立派になった教え子たちの姿を見て、年老いた女教師は衝撃のあまり両手で頬を覆い、その目には瞬く間に喜びの涙が溢れた。単なる日常的な「ありがとう」の代わりに、生徒たちは次々と頭を下げ、深く洗練された敬意の言葉(敬語)を捧げた。「小学校での先生の手厚い支えがあったからこそ、私たちはすべての困難を乗り越え、無事に中学校を卒業することができました」ゆりは全員を代表して、非の打ち所のない丁寧な一礼をした。「山田先生、本当にありがとうございました!」「先生が私たちの規律の基礎を築いてくださいました」田中がメガネを直しながら、端然と言葉を添えた。「突然押し掛け、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」「お堅いのはナシですよ、先生! 俺たちを見てください!」佐藤が楽しげに叫び、自分の証書を掲げて見せた。「俺たちの成長を自慢しに来たんですから!」一同は競い合うように、山田先生へ向けて「最初の大人としての報告」を始めた。佐藤と南は、この三年間いかに野球部と陸上部で死力を尽くし、学校にトロフィーをもたらしたかを熱っぽく語った。田中と麻衣は、地域のオリンピック(大会)での勝利を淡々と報告した。そしてゆりは、自分の書道が芸術展で最優秀賞に輝いたことを誇らしげに付け加えた。小学校時代の旧友たちは、誰がどこの名門校へ進学するのかという話に興じ、騒がしくも互いを称え合っていた。しかし、山田先生を文字通り絶句させた最大の驚きは、彼らの「中心核」たるメンバーたちの進路だった。受験はすべて終わり、もはや隠す理由などどこにもなかった。「先生、私たち五人、完全特待生として、新設された超エリート私立高校『新暁しんぎょう学園』に招待されたんです!」ゆりは、手の中の金の封筒を大切そうに抱え、幸せに満ちた笑顔で報告した。 「田中くんと麻衣ちゃんは学問の天才として、佐藤くんと南ちゃんはトップアスリートとして、そして私は個人指名型の特別奨学金をいただいたんです!」「それに、もちろん朝香くんも一緒に行くわよ」南ちゃんが、昔の「一のA〜六のA」の仲間たちの賛同のどよめきを背に、先生に向かって悪戯っぽくウィンクしてみせた。山田先生は、視線を竜之介へと移した。十五歳になった少年はゆりの一歩後ろに立ち、その首元には相変わらずサファイアブルーのマフラーが巻かれ、顔立ちは彫刻のように端正で厳かだった。彼は、自身の最初の恩師に向かって、礼儀正しく敬意を込めて一礼した。先生は、今日ばかりはゆりが隠さずに指に嵌めている指輪に目を留め、それから竜之介を見た。その顔に、すべてを悟った、限りなく優しい微笑みが浮かんだ。砂場にいた頃から二人を見守ってきた先生には、よく分かっていたのだ。この美しい御伽話おとぎばなしをあらゆる嵐から守り抜いたのが、誰の目に見えぬ力と執念であったのかを。「分かっていました……あなたたちが信じられないほどの高みへ到達することは、ずっと前から分かっていましたよ」山田先生は誇らしさの涙を堪えながら、ゆりと麻衣を愛おしそうに抱きしめた。「高く飛び立ちなさい、私の可愛い子供たち。『新暁学園』は、あなたたちの偉大なる旅路の、ほんの始まりに過ぎないのですから」「先生、真ん中に立って! 記念写真だ!」佐藤が遠慮なしにスマートフォンを取り出し、教室を覗き込んでいた朝香家のリムジンの運転手に手渡した。小学校時代のメンバー全員が、大好きな恩師の周りにぎゅっと集まり、誇らしげに中学校の卒業証書を掲げた。その中央に、竜之介とゆりの姿があった。カメラのシャッターが切られ、この完璧で幸福な瞬間が永遠に切り取られた。区立中学という名の「子供時代」は、ここに公式に幕を閉じた。来る四月には、超エリート校「新暁学園」の門が彼らを待ち受けている。そこには上流階級の全く新しい掟と、大人の生活が待っている。しかし、春の風の静かな戦ぎ(そよぎ)と優しい微笑みの中で、若き王道の一対と彼らに従う忠実な軍勢は、来たるべき未来のどんな嵐をも迎え撃つ覚悟を、ここに固く結託したのだった。

面白い、つづきが読みたいと思ってくださった方は、ぜひ下にある【▼】から評価やブックマーク登録をよろしくお願いします! 励みになります!また、この第43章をもちまして、主人公たちの「中学校編(ミドルスクール編)」がすべて完結いたしました!ここまで物語を温かく見守り、一緒に歩んでくださった読者の皆様に、心から感謝申し上げます。皆様の応援があったからこそ、ここまで書き進めることができました。本当にありがとうございます!次回からは、いよいよ超エリート校「新暁学園」を舞台にした、波乱に満ちた新章・高等部編がスタートします。大人たちの社交界、新しい掟、そして「龍」と「百合」が率いる仲間たちのさらなる躍進を、ぜひお楽しみに!引き続き応援のほど、よろしくお願いいたします!

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