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第14章 白い紙の上の御伽噺

九月一日、それは一年生の第二学期の始まりを告げる日だった。「1-A」の教室は、いつもの賑やかさと夏の名残の慌ただしさに包まれていた。人生で初めての長いお休みを経て、六歳の一年生たちはすっかり学校が恋しくなっていたようだった。佐藤さとうくんとその仲間たちは相変わらず騒がしく竜之介りゅうのすけの机の周りに集まり、女の子たちは競い合うように百合ゆりちゃんに秘密話を打ち明けていた。国語の授業における山田やまだ先生からの最初の本格的な課題は、休み明けの伝統である「夏休みの思いなつやすみのおもいで」という作文だった。「みんな」先生は列の間を歩きながら、大きなマスの入った真っ白な原稿用紙を机の上に配り、優しくクラスに語りかけた。「あなたたちは学校の門をくぐったばかりで、これが人生で最初の学校の夏休みでした。この紙の上に、あなたたちの夏の中で一番輝いていた、一番温かい日について教えてください。胸が一番ドキドキしたことを書いてみてね」教室は一斉に鉛筆の走る音に包まれた。佐藤くんは可笑しそうに額にしわを寄せながら、おばあちゃんの田舎で大きな緑の蝉を虫取り網で捕まえたことを思い出し、一生懸命に文字を綴り始めた。他の男の子たちは、川遊びに行ったことや、新しいプラスチック製のロボットの模型について書いていた。百合ちゃんは窓際の席に座っていた。九月の初めの柔らかな太陽の光が、彼女の綺麗なツインテールを優しく照らし出していた。彼女が紙の上で鉛筆を動かそうとした時、その唇には夢見るような、この上なく幸せそうな微笑みが浮かんだ。少女は何一つ創り出す必要はなかった。彼女の目の前には、東京湾に打ち上がったあの記念の花火のきらめき、巨大で幻想的な火山、そして友達の肩に寄り添って心地よく眠りについた涼しいリムジンの車内が、瞬時に鮮やかによみがえってきたのだ。彼女は書き始めた――子供らしい純粋さのすべてを一つ一つの言葉に込めながら、勢いよく、流れるように。百合ちゃんはアトラクションのこと、水面を流れる巨大な船のこと、そして自分の六回目の誕生日がどれほど心に残ったかを詳しく書き綴った。彼女の用紙の上には、「竜ちゃんのおかげで本物になった、テレビの中の魔法のお城」についての行が次々と生まれていった。すぐ後ろの席に座っていた竜之介は、まったく異なるスタイルで筆を進めていた。自宅での長時間の稽古によって研ぎ澄まされた彼の達筆な文字は、非の打ち所がなかった。しかし、百合ちゃんがパークそのものについて書いていたのに対し、浅香あさか家の幼き跡取り息子の作文は、ただひたすらに彼女一人のことだけに捧げられていた。彼はアトラクションのことや、夕方に向かった会員制レストラン「クラブ33」については一切書かなかった。彼の「夏休みの思い出」は、別の細部によって満たされていた。彼は、百合ちゃんの瞳の中に夜のパレードの光がどう映り込んでいたかを書いた。彼女の笑い声が、どのように蝉の鳴き声を打ち消していたかを書いた。そして、彼女の小さな願いを叶えることができて、自分がどれほど嬉しかったかを書いた。竜之介にとってこの作文は、学校の義務などではなく、自分の家族の持つすべての威光や富は、自分の「百合リリア」が微笑んでいる時にこそ初めて意味を成すのだという、声なき告白にほかならなかった。次の授業で、一年生たちの作品を採点し終えた山田先生は、二枚の原稿用紙を手に持って教壇の前に立った。その表情は、この上ない愛おしさと驚きに満ちあふれていた。「みんな、全員の作品を読みましたよ。本当によく頑張りましたね」先生は優しく言った。「ですが、このクラスの中で二つの作文が、本当に特別なものになっていました。書かれている内容はそれぞれ違いますが、一緒に読んでみると、まるで一つの美しい物語の二つの片割れのようにお思えるのです。百合ちゃん、竜之介くん、二人の作品は満点です」山田先生がその用紙を掲示板に留めると、クラスは驚きでざわめいた。百合ちゃんの作文には、お城と花火の鮮やかな子供らしい絵が添えられており、竜之介の作品は端正でエレガントな佇まいを見せていた。しかし、最も驚くべきことは別にあった。文字の数、文章の構造、そして総合的な評価が、またしても一ミリの狂いもなく完全に一致していたのだ。一年生における彼らの大いなる知的な競い合いは、一ミリの譲歩もなく、一歩も引かぬ同点のまま続いていた。百合ちゃんは後ろを振り向くと、自分の机を手のひらでぽんと軽く叩きながら、悪戯っぽく竜之介を見つめた。少年はそれに対し、仕立ての良い制服のポケットに手を忍ばせながら、唇の端をほんのわずかに押し上げて応えた。二人の秘密の誓いと、二人の共有する御伽噺は、今や一年生の掲示板の上に、公式の記録として刻まれていた。

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