第十章 最初の授業
「1年A組」の最初の本格的な登校日は、チリンチリンと鳴り響く澄んだ鐘の音で始まった。幼稚園から上がってきた賑やかな一味は、席に着くと一瞬にして静まり返った。竜之介と百合ちゃんは、当然のように窓際の一番左の列に並んで座った。竜之介は、自身の「百合」を一秒たりとも視界から外さないよう、彼女のすぐ後ろの席を陣取っていた。小奇麗な眼鏡をかけた温厚な担任の山田先生が、クラスに向かって優しく微笑み、何も書かれていない緑色の黒板をチョークでトントンと叩いた。「皆さん、おはようございます! 今日は初めての算数の授業です。ただ数字を数えるだけではなく、楽しい数字のクイズを解いてみましょう。数字を、小さくて可愛い小人さんたちの『お家』だと想像してみてくださいね」先生は黒板に、屋根に「5」という数字が書かれた家のアウトラインを素早く描き出した。「見てください、このお家には5人の小人さんしか住めません。多くても少なくてもダメです」山田先生は身振りを交えながら、分かりやすく説明を続けた。「一階には、すでに2人の小人さんが引っ越してきています。では、お家をぴったり5人でいっぱいにするためには、二階にお友達の小人さんが何人遊びに来ればいいと思いますか? 小人さんを助けてくれる勇敢な人は誰かな?」クラス中に、ざわざわと活気ある囁き声が広がった。最前列の佐藤くんは、一生懸命に指を折り曲げ、熱心のあまり可笑しそうに舌を突き出していた。他の子供たちは戸惑ったように互いを見合わせていた。昨日まで砂場にいた大半の六歳児にとって、このような簡単な抽象概念であっても、理解するにはそれなりの時間と労力が必要だった。百合ちゃんは興味津々で黒板の絵を見つめていた。机の上の鉛筆に手を伸ばすと、彼女のきれいに結ばれたツインテールが可愛らしく揺れた。鋭く活発な頭脳を持つ彼女にとって、この問題は面白いゲームのように感じられたのだ。一方、竜之介は完璧に背筋を伸ばし、貴族のような美しい姿勢で座っていた。彼の視線は黒板ではなく、百合ちゃんの頭頂部に注がれていた。先生の小人さんに関する説明は、六歳の朝香家の跡取りにとって、かすかな退屈さを覚えさせるものに過ぎなかった。自宅の家庭教師たちから、すでに基礎的な代数学まで叩き込まれていたからだ。しかし、百合ちゃんがノートの上で熱心に鉛筆を構えた瞬間、彼の瞳に純粋な闘争心が燃え上がった。自分の百合ちゃんが、この問題を一番に解こうとしていることを瞬時に察したのだ。「さあ、誰か分かる人はいますか?」山田先生が、静まり返ったクラスを見渡しながら問いかけた。百合ちゃんは自信に満ちた様子で、真っ直ぐに高く手を挙げた。「山田先生! 二階に必要なのは3人の小人さんです。2人と3人を合わせると、5人になるからです!」「その通りです、百合ちゃん! なんてお利口さんなんでしょう!」先生は心から感心した様子で、家の窓に「3」という数字を書き込もうと振り返った。しかし、チョークが黒板に触れるよりも早く、後ろの席から、冷静で、恐ろしいほどに平坦で明瞭な竜之介の声が響いた。「そして、5つのお家から2つの階層を引き算すれば、3が残ります。もし小人さんたちを一部屋に一人ずつ分散して配置すれば、5つの均等な部屋が出来上がります」山田先生はチョークを掲げたまま硬直した。彼女はゆっくりと振り返り、初日のカリキュラムを明らかに逸脱した専門用語を口にした六歳の少年を、驚きの眼差しで見つめた。クラスの男の子たちは一斉に「おぉーっ!」と湧き立った。佐藤くんたちは、やっぱり竜くんは何をやらせても半端なくカッコいいのだと、改めて確信した。百合ちゃんは後ろを振り返り、勝ち気でいたずらっぽい視線を竜之介に投げかけた。竜之介はそれに応えるように、口元をかすかに綻ばせた。これは、彼らにとってまだごく初期の、子供らしい小競り合いに過ぎなかったが、極めて重要な知性の火花だった。まさにこの瞬間、小人さんと数字の「5」を巡る授業の最中に、のちに学校全体を震撼させることになる、あの偉大なるライバル関係の幕が開けたのである。
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