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十和の時  作者: 樹月
8/10

二日目。嫉妬。

「おぉ!かわいいじゃん!」

「正志?当ったり前じゃん!でも理恵のほうがかわいいとか言うんじゃん?」

「当たり前だろ〜。ネー理恵」

「ネー」

相変わらずラブラブな二人。

わざわざ理恵のメイドさんを見に来たらしい。

たしかにかわいい。

「ちょっと十和働いて!」

せっせと働きながら、さぼっている十和を叱る依織。

しっかりものだ。

それにしても、すごい列を作っている。

相手をするメイドさんたちは、クラスの中でも選ばれた10人。

かわいい子がそろっている。


ドタバタして、ほとんど休憩も取れなかった十和。

今イツキがどこで何をしているかも分からない。

もうすぐ3日間ある文化祭、1日目が終わる。

他の恋人たちは、休憩時間を長めに取り、二人で文化祭を楽しんでいる中、

十和は一人だった。

依織も、彼氏が他校の為に一人だった。


これで、文化祭一日目は終了。



文化祭二日目。

今日は遅刻することなく、いつもの時間にいつもの場所にいた。

登校のときにイツキはいなかった。

もしかしたら雅先輩もいないかも。


雅先輩が来る時間をすぎても

雅先輩が通ることはなかった。

文化祭二日目でも実行委員は忙しいのだ。

十和とは違って。

十和は気をまぎらわせるために、バイトしたり

忙しくしてみる。

でも、寂しいのは消えず、

常にイツキのことを考えている。


十和は最近すごく不安定だ。

好きなことを伝えることもできず、

ただ待つだけ。

好かれてるかどうかも分からないのに、待つことしかできない。

考えたら泣けてきた。

誰もいない図書室で、十和の涙が落ちる音だけが聞こえる。

太陽に照らされ、生きているという実感だけを感じる。


「バンッ」

図書室のドアを思いっきり開けて、誰かが入ってくる。

何か言い争っている。

十和の存在には気づいてない。

気になって、言い合ってるのを聞いてみる。

イツキの声だ。

ソーっとのぞいてみる。

イツキと、相手は立花先輩だ。

「なんで?!いいじゃん!!彼女いないんでしょ?!付き合ってよ!!」

立花先輩がイツキに向かって怒鳴っている。

告白しているようだ。

ただ、イツキが拒んでいるのか?

だだをこねるように立花先輩が言う。

「だから、ゴメンナサイ。付き合う気はありません」

イツキが冷静に答える。

「なんで?!なんでよ!!」

泣きそうになりながら、立花先輩がイツキに抱きつく。


やめて!!!


飛び出していきそうになる十和。

イツキが、胸元にいる立花先輩に小声で何かを言った。

十和には聞こえなかったが、

立花先輩は泣きながら図書室を出て行った。

「カタン」

のぞいてた十和が、後ずさりをしたとき

本棚に足をぶつけた。

「誰?」

イツキが近づいてくる。

逃げようがない。

ただ、立ちすくんでいる。

「十和・・・。おはよう」

「ゴメンネ。聞いちゃった・・・」

まだ目には涙をため、かすれた声で言う。

「泣いてるの?」

イツキは十和を覗き込む。

「他の人・・・さわんないで・・・」

「うん・・・。ごめん・・・。おいで」

イツキは十和の腕をつかみ、自分の方へと引き寄せる。

抱きしめてみて、十和がまたやせたことに気づいた。

イツキの腰ぐらいまでの高さの本棚に、十和を座らせる。

「十和。今日一緒に文化祭、まわろう?」

十和を見上げながらイツキが言う。

久しぶりのイツキに、十和はまた抱きつく。

たまにこうやってかまってくれるだけで、

十和は満足して、またイツキがかまってくれるのを待つ。

振り回されてることに気づきながらも、

好きだから仕方がないと思う。

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