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十和の時  作者: 樹月
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気づいた変化

「今日もいい天気だな・・・」

少しけだるそうに、図書室のいつもの場所に座った。

すでにイツキには朝会った。

ただ、すれ違っただけかな。

あとは雅先輩を見るだけ。

「いつもはやいな。十和は」

「・・・。」

「何か待ってるのか?」

山田先生の目を見て、また外を見た。

日が出て、図書室はぽかぽかだ。

外は少し寒そう。


しばらくして、雅先輩が登校してきた。

少し寒そうに、背中を丸めて歩いている。

疲れているようにも見える。

いつもはまっすぐ背筋を伸ばし、堂々と、

敵はどこにもいないっていう雰囲気をかもし出している。

今日の雅先輩は少し変だ。

風邪でもひいたのか。


何もできないと知りながらも、何かをしてあげたいという気持ちは

おさまらない。

十和が話しかけることなんて不可能に近い。

風邪薬をいつでも渡せるように、とポッケに入れたが

雅先輩とすれ違うことすらできないだろう。

すれ違ったとしても、話しかける勇気はない。


教室へもどろうと立ち上がった。

「もう、用は終わったのか?」

山田先生が話しかける。

目を見てそのまま通りすぎる。

十和は教師の間では、扱いにくい生徒だ。

何を考えてるかも分からない。

何も話してはくれない。

授業中あてても絶対口をひらこうとしない。

人形のようにしか見えないのだ。


「きゃっ!!ごめんなさ・・・」

「ごめんね。大丈夫?」

突然の出来事に十和は息ができなくなった。

廊下の角でぶつかった男性は雅先輩だった。

呆然と座りこむ十和。

小柄な十和に180cmほど身長がある雅先輩がぶつかったのだ。

こけるのは当然。

雅先輩は、手を差し伸べるが、十和は硬直している。

息もできない状態だ。

「どうかしたんですか?雅先輩」

雅先輩の大きな体の脇からイツキが顔を出す。

イツキも175cmと大きいほうだが、雅先輩には負ける。

座り込む十和を見て、イツキがとっさに十和をかかえ、立たせようとした。

それまで硬直していた十和は、

大好きなイツキの顔を見れたのと、久しぶりの感触に、抱きついた。

「イツキ・・・」

数秒そのままの体勢。

われに戻った十和は抱きかかえられていた

腕から下に下りた。

「抱き合うならよそ行けよ〜」

雅先輩にからかわれるように言われ、

雅先輩は歩き出した。

「待ってください!!」

とっさに呼び止めた。

「あの、風邪ですか?だるいんですか?薬もってますか?」

勢いよく質問攻めにした。

雅先輩は一歩後ずさりをした。

「あの、これあげます!!」

雅先輩がうなずいたので、さっきポッケにいれた薬を渡す。

押し付けると言ってもいいぐらいに。

後ろではイツキが寂しそうな顔で十和を見ていた。

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