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放火
場所は変わり、リコリスの女たちの建築途中の家へ、ぞろぞろと松明の明かりは向かっていた。
村の男達だ。赤子をおぶった女もいる。村人総出のようだ。
松明の火が音を立てて燃える。揺らめく赤い光は、日焼けして荒れた肌をさらにどす黒く照らしていた。
「この家だな?」
「ああ。この家だ。白桜さまを斧で斬ったのはこの屋敷の女どもだ」
腰まで長い白髭を伸ばした翁がうなずく。――それが合図だった。
男たちは藁をドサッと家中の壁に立てかける。そしてなんの躊躇もなく火をつけた。
あっという間に火の手が回る。屋敷は一瞬にして燃え盛った。
村人たちはそれを、憎しみに満ちた表情で見上げていた。
「白桜さまを侮辱するもの、すべて灰にせねばならん」
翁は言う。白いヒゲを撫でながら。
村の男達は、屋敷から飛び出してくるであろう女たちを、切り捨てようと待ち構える。
炎は屋敷を燃やし続ける。
ふと、ひとりの男が首をひねった。
「・・・誰もいねぇのか? 悲鳴も聞こえないぞ」
「――妙な気配だ・・・」
翁は髭を撫でる手を止め、あたりを見渡した。




