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神滅者  作者: おまめ
神話
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15/39

過剰

神とは、絶対である。

触れることすら許されない存在。

だが――それを滅ぼし、力を奪う“例外”が現れた。

そのものは止まらない。

ただ前へ進み、神を越えていく。


そして今――


その先へ踏み込む

人間界――そこで暴れている神々の数は、想定よりも大きく下回っていた。理由は単純。神々同士で争っているからだ。


本来、神域では下剋上は成立しない。位階の高い者が絶対であり、低い者は従うしかない。逆らうという概念すら成立しない構造だった。だがここは人間界。位階という枷は機能しない。命令は絶対ではなくなり、強制力は消え、序列は崩壊する。


その結果、抑え込まれていた不満が一気に噴き出した。位階の低い神々は、これまでの鬱憤を晴らすかのように、上位の神へと牙を剥く。従う理由が消えた瞬間、関係は崩れ、暴力だけが残る。衝突は連鎖し、混戦となる。


その余波は人間界へと降り注ぐ。制御されていない力が空間を裂き、大地を抉り、都市を消し飛ばす。空は歪み、地は崩れ、風は刃となり、炎は意思を持つかのように広がる。意図の有無など関係ない。ただそこに在るだけで災厄となる。


人間は抗えない。ただ巻き込まれ、消えていく。


だが――そのものは気にしない。


目の前にいる神を、順に滅ぼす。それだけだった。

神同士の戦いも、逃走も、干渉も関係ない。視界に入ったものを処理する。思考の余地すらない。ただ効率だけが存在する。


わずか三十七秒。二十を超える神が消滅する。


だが――違和感。


滅ぼしても何も流れ込まない。権能が、一切得られない。これまでならば必ず感じていた“流入”が存在しない。

そのものは一切の迷いなく結論へ至る。これは“本体”ではない。

視線を巡らせる。情報を拾う。違和の中心を特定する。そして最後に残った一柱へと向く。

その神だけが、静かに佇んでいた。

逃げない。戦わない。ただ観測するように、そのものを見ている。

次の瞬間、そのものは理解する。これまで滅ぼしてきた神々はすべて――“造られたもの”。


『再現』。


対象を理解していれば、その存在を再現し、実体化させる権能。目の前の神は、それを用いて神々を複製していた。構造だけをなぞり、中身を伴わない“殻”として生成していた。


ゆえに、どれだけ滅ぼしても権能は得られない。


そのものは即座に本体へと踏み込む。

距離は意味を持たない。『超越』によってその概念は破棄される。踏み込んだ時点で、到達している。


攻撃。


だが――滅びない。


手応えはある。命中している。だが終わらない。崩壊しない。

弱点は既に把握している。左目を潰し、その直後に腹部へ攻撃を与える。それで終わるはずだった。だが終わらない。


理由も、すぐに理解する。


“重なっている”。


『再現』の神は、これまで再現してきた神々の権能を保持している。単なる再現ではない。蓄積している。

その数――六十一。


平均三つの権能を持つ神が二十以上。それらすべてを内包している。


つまり、この神を滅ぼすには――六十一の弱点を同時に突く必要がある。

不可能。


解析だけで時間が尽きる。把握したとしても同時発動は現実的ではない。

そのものはそれを理解する。ならば――前提を壊す。


『封緘』を発動。


空間が固定され、流れが止まり、権能の発動が強制的に封じられる。六十一の力が同時に沈黙する。動きもまた拘束される。


続けて『剥奪』。


奪う。削ぎ落とす。重なっていた権能を一つずつ引き剥がしていく。剥がされた力が流れとなり、そのものへと収束していく。

流入。蓄積。変換。


だが――


一つだけ、動かない。

触れている。干渉している。それでも、剥がれない。


『assimilation』。


再現ではない。模倣でもない。取り込み、統合し、自らの一部として成立させる権能。


外在ではない。内在。

ゆえに――奪えない。


そのものは一瞬で理解する。同時に、勝機も見出す。

今、残っているのはそれだけだ。

六十一の権能は剥がれ落ちた。複雑に絡み合っていた構造は崩れた。


残ったのは――『assimilation』単体。


完全に露出した核。

その瞬間、そのものは勝利条件を確定させる。


『assimilation』の弱点。


それは――一度に大量の権能の効果を受けること。

統合する側であるがゆえに、過剰な入力には耐えられない。受け止めきれず、崩壊する。


そのものは、すでに六十一の権能を手中に収めている。

ならばやることは一つ。

すべてを、同時に叩き込む。


『封緘』を解除。


封じられていた六十一の権能が一斉に解き放たれる。暴走寸前の力。それを、そのものは制御下に置く。


『超越』を発動。


限界を無視し、同時並列処理を強制する。干渉。重複。衝突。本来共存しない力を、無理やり一つの流れへと圧縮する。

歪みが生じる。だが問題ではない。成立させればいい。

そのまま――撃ち込む。


『assimilation』へ。


受け止める。統合しようとする。だが処理が追いつかない。

六十一の権能が同時に流れ込み、内部で衝突する。

統合するはずの力が、逆に分裂を引き起こす。


“取り込む”という本質が、限界を超える。


耐えきれない。

内部構造が崩れ始める。

亀裂が走る。

拡大する。

止まらない。


そして――崩壊。


『assimilation』は、自らの性質によって自壊する。


神は、完全に滅びる。


静寂。

戦場は沈黙し、残響だけが残る。

その場に残されたのは、わずかな“断片”。


それはこれまでとは違う。外から流れ込むものではない。触れた瞬間、内側へと溶け込む。


拒絶がない。分離もない。


自然に――馴染む。


そのものは理解する。

奪ったのではない。


“取り込まれた”。


境界が、曖昧になる。

自分と他者。内と外。その区別が薄れていく。


そのものは変わり始めている。


奪う存在から――統合する存在へ。


神界へ至るための変質は、すでに始まっている。

そしてそれは――もう止まらない。


第15話いかがでしたか?


そのものは今回で権能を61個手に入れました 次回は神界への侵入ができるか?!


次回もお楽しみに‼︎



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