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神滅者  作者: おまめ
神話
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16/39

無限

神とは、絶対である。

触れることすら許されない存在。

だが――それを滅ぼし、力を奪う“例外”が現れた。

そのものは止まらない。

ただ前へ進み、神を越えていく。


そして今――


その先へ踏み込む

そのものは、すでに数多の権能を保持していた。数としては常識外れ。単一の神であれば到底保持しきれない量を、その身に宿している。


だが――それでもなお、足りない。位階が、届かない。

神域の最奥、そのさらに先。神界へ至るために必要な“高さ”に、わずかに届いていなかった。

そのものは停止する。思考。これまでと同様に、権能を奪い続ければいいのか。答えは否。


すでに限界へと達している。これ以上、どれだけ権能を積み上げても位階は上昇しない。器そのものの上限に到達しているからだ。


ならば必要なのは“量”ではない。“上限の拡張”。

そのものは結論へ至る。位階の上限を引き上げる方法は、ただ一つ。

極めて低確率で人間に発現する例外的な権能


『Renforcer l'espace sacré』。


それは通常の権能とは根本的に異なる。干渉するのは外界ではない。自身そのもの。肉体、精神、存在構造――そのすべてを“神の領域”へと引き上げる。


人間でありながら神の器へと変質する権能。それは“上位権能”。名にフランス語を冠するものはすべて例外であり、通常の法則から外れた存在である。


だが――この権能には決定的な問題があった。

発現したとしても、誰もそれに気づかない。発動条件が曖昧であり、変化も極めて緩やか。自覚する前に一生を終える。

つまり――発見不可能。


だがそのものにとっては例外だった。理解している。構造も、存在も、兆候も。ゆえに――探すのではない。“作り出す”。


そのものは神の園へと向かう。人間が神を崇め、祈りを捧げるための地。長い年月をかけて神性に近づいた場所。

そこでは、ごく稀に特異な権能を持つ子が生まれる。

そのものは迷わずそこに立ち、即座に実験を開始する。


『再現』を発動し、人間の赤子を生成する。構造、成長性、可能性――すべてを再現し続ける。


一体、二体、十、百。感情は介在しない。ただ精度だけが存在する。

数が増える。二百、三百、五百。異常はない。すべて同一の枠内に収まる。


だが――六百を超えた時、変化が現れる。


一体の赤子。極めて微弱だが、確かに異質な“揺らぎ”を持っている。他と比較しなければ気づけないほどの差異。

しかしそのものには明確だった。それは“上位権能”の兆候。

そのものは即座に行動する。『剥奪』。

本来、上位権能は奪えない。構造が異なり干渉が成立しないためだ。だが例外がある。発現直後の未成熟な状態。

完成する前であれば、強制的に引き剥がすことができる。

そのものは迷わず実行する。存在の核から、権能を引き抜く。


その瞬間、『Renforcer l'espace sacré』が流れ込む。


内側から構造が書き換わる。器が拡張される。限界が引き上げられる。


位階が――上昇する。

これまで届かなかった領域へと踏み込む。神界への侵入条件が満たされる。


そのものは止まらない。次の行動へ移る。

神域への再侵入。そのための媒介を求め、神殿へと向かう。


発見した神殿に刻まれていた名は――『無限』。


終わりなき供給、枯渇しない出力、制限という概念を持たない力。


そのものは即座に判断する。これを使う。

『超越』と『解放』を同時発動。身体能力を極限まで引き上げる。


踏み込み、石板へ到達し、破壊。神が顕現する。


その瞬間、そのものは動く。間合いを詰める。だが届かない。


相手も脅威を理解しているため距離を取る。逃げではない、最適化された回避。

速度は互角。攻撃が成立しない。


そのものは『封緘』を発動。相手の速度を抑制し、わずかな差を作る。

その隙を突いて距離を詰める。攻撃に入る。だが――当たらない。


回避される。無尽蔵の身体能力。『無限』によって供給され続ける動き。

削れない。そのものは理解する。通常では届かない。


ならば――上位へ。


『Renforcer l'espace sacré』を発動。自身の存在そのものを引き上げる。


“格”が変わる。


速度、精度、到達性――すべてが一段上へと押し上げられる。


その結果、回避を上回る。攻撃が届く。


一撃。それだけで終わる。


『無限』の弱点。それは攻撃を受けること。本来は成立しない条件。


だが成立した瞬間、終わる。


神は崩壊し、消滅する。


同時に『無限』が流れ込む。尽きることのない供給。その力が内側に定着する――


その瞬間だった。


すでに内在していた『超越』『解放』が反応する。三つの権能が共鳴し、境界を失い、融合していく。

拒絶はない。むしろ自然に結びつく。

限界を越える力、制限を解き放つ力、無限に供給される力。それらが一つに再編される。


――『凌駕』


それは単なる強化ではない。あらゆる上限を越え、あらゆる制約を無視し、あらゆる不足を成立させる権能。


そのものはそれを当然のように受け入れる。


そして――それを媒介にする。

神域への侵入。もはや拒絶されない。無視する必要もない。“超えている”。


空間も、干渉も、境界も。そのすべてを凌駕し、そのまま通過する。

そのものの存在が再び神域へと入り込む。


だが以前とは違う。位階が違う。存在の質が違う。


そしてその先。

神域のさらに奥。神界へと続く領域が、確かに視界に入る。

そのものは進む。


止まる理由は、もう存在しない。

第16話いかがでしたか?


摩訶不思議な権能がそのものの手中に入りました


次回もお楽しみに‼︎

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