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俺が魔王じゃなければ誰が魔王だというんだ〜無属性と判定された王子と黒き薔薇のメイドたち〜  作者: 黒華レン
学園編

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96/119

そして屋敷へ…

レイの屋敷で事情を説明します。

 その場を重苦しい沈黙が包んだ。


 セレスティアの口から告げられた「亡命」という言葉は、それほどまでに重い意味を持っていた。


 レイは静かに紅茶を口へ運び、一度カップを置く。


「つまり……アストレア王国へは、もう戻るつもりはないんですね」


 セレスティアはゆっくりと頷いた。


「はい。このまま帰国すれば、私も母と同じ運命を辿る可能性があります」


 ミオも真剣な眼差しを向ける。


「犯人の目星はついているんですか?」


「犯人は……目星はついています。ですが、証拠もなく断定はできません」


 セレスティアは首を横に振った。


「ですが、母が亡くなってから王宮は大きく変わりました。母に忠誠を誓っていた者たちは次々と地方へ左遷され、反対派の貴族たちが急速に力を持ち始めています」


 アイリスが続ける。


「王宮騎士団も以前とは様子が違います。誰が味方で誰が敵なのか分からない状態です」


 フィオナは悔しそうに拳を握った。


「証拠を集めようとしましたが、その前にこちらの動きを察知されたのでしょう」


「だから交流戦を利用したんだね」


 レイが静かに言う。


 セレスティアは小さく微笑んだ。


「はい、国外へ出られる唯一の機会でした。これを逃してはいけないと…」


 セレスティアがそう言ってから言いづらそうに続けた。


「それで、唐突で申し訳ないのですが私たちをしばらくこの屋敷においてはいただけないでしょうか。多くのお金持ち出すと怪しまれるため、数日程度を過ごせる分しか持ち出す事ができませんでした。幸い、アイリスとフィオナが大変優秀なので三人で冒険者などして金銭を得るつもりです。安定するまでで構わないのです。勝手なお願いだとはわかっているのですがお願いできないでしょうか?」


「「どうかお願いします!」」


 アイリスとフィオナも頭を下げて懇願する。


 するとミオが言う。


「別にいいんじゃない?部屋もたくさんあるしレイもたくさんメイド連れて女の子いっぱいだし」


「何かミオねぇの攻撃を受けた気がするけど…いいですよ、安定するまでとは言わずいつまででも!」


 レイがそういう時セレスティアたち三人はありがとうございますと喜びレイとミオにお礼を言った。


 ––コンコン


 入り口の扉がノックされる。


 「やっぱり、セレスティア王女の声だー」


 エルフィが言う。


「えっ、もしかして今までの話聞かれてしまいましたか?」


「はい、私たちがお茶の用意を持ってきたところ偶然耳に入ってしまいました」


 クロエが言った。


「聞こえちゃったにゃー」


 ニアも言った。


「あなたたちは私が講義室でレイ様とミオ様の事を話そうとしたら阻止してきた方々ですね、こちらのメイドの方たちでしたか」


 セレスティアが言った。


「このメイドたちは俺たちがルーヴェンにいる頃から世話をしてくれてる者たちで、もちろん俺の事情も知ってる。安心してもらって大丈夫だよ」


 レイがそう言うと、セレスティアが言った。


「あの後ろで子鹿のように足を震わせているあの方もですか?」


 全員の視線がセレスティアの指の先を見る。


「「「「「えっ?」」」」」


 レイ、ミオ、クロエ、エルフィ、ニアのみんなが驚きの声をあげた。


「え、えっと……」


 全員の視線が一斉にリリアナへ向く。


 リリアナは肩をびくりと震わせた。


「わ、私も……聞こえちゃいました……」


 応接間が静まり返る。


 リリアナは慌てて両手をぶんぶんと振る。


「ち、違うんです! 盗み聞きするつもりなんて全然なくて! お茶を運ぼうとしたら、中から『亡命』とか『王女様』とか聞こえてきて、その……そのまま入るタイミングを逃しちゃって……」


 どんどん声が小さくなっていく。


「それで、そのまま皆さんと一緒に聞いちゃって……」


 最後には今にも泣きそうな顔になっていた。


「ご、ごめんなさいぃ……」


「あなたはこの時間は別の場所にいるはずじゃ…」


 クロエが言う。


「いや、それよりうちでリリアナが働いてたの!?」


 レイが言うとミオもうんうんと頷く。


 セレスティア、アイリス、フィオナは思わず顔を見合わせる。


 まさか学院の生徒にまで話を聞かれてしまうとは思っていなかった。


 リリアナは青ざめたまま頭を下げ続ける。


(……え?この屋敷の主様がレイさんとミオさんでルーヴェン王国の王子と王女?え、毒殺……?亡命……?えっなにー??)


 頭の中で言葉が一つずつ繋がっていく。


(えっ……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?)


 心の中で絶叫する。


 しかし表情には出さないよう必死に耐えながら、お盆をぎゅっと抱き締めた。


 クロエがそっとリリアナに言う。


「…わかってますよね?」


「はいぃぃー!」


(また聞いちゃった……私、とんでもない話を聞いちゃったぁぁぁ!!やっぱり私卒業するまでに消されるかもしれません〜)


 誰にも気付かれないように必死に平静を装うリリアナ。


 一方、レイたちはそんな彼女の内心など知る由もなく、今後について静かに話し合いを続けていた。

またリリアナは巻き込まれてしまったようですw

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