表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が魔王じゃなければ誰が魔王だというんだ〜無属性と判定された王子と黒き薔薇のメイドたち〜  作者: 黒華レン
学園編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/95

王女様、転入する

臨時休講が終わりました

 翌朝、突然の休暇が終わり、リベルタ中央魔導学院には再び生徒たちの活気が戻っていた。


「昨日は遊びすぎたなぁ」


「私は商店街で買い物ばっかりしてたよ」


「交流戦も終わったし、しばらくは平和かな」


 思い思いに雑談を交わしながら、生徒たちが講義室へ入っていく。


 レイも自分の席へ腰を下ろした。


 隣ではミオが大きく伸びをしている。


「昨日は楽しかったわね!」


「食べ過ぎじゃない?」


「あんたがいっぱい勧めてくるからでしょうが! それに、わたしの何倍も食べてるあなたにだけは言われたくないわね」


 レイは苦笑する。


「否定はできないかな」


 二人が笑い合っていると、教室の扉が開いた。


 担任のエルナが教壇へ立つ。


「皆さん、おはようございます」


「「「おはようございます!」」」


 元気な返事が講義室に響く。


 エルナは教室全体を見渡しながら微笑んだ。


「今日は皆さんにお知らせがあります」


 教室が少しざわつく。


「昨日、学院長より正式な承認がおりました。交流戦をきっかけに、本日より三名の転入生を迎えることになりました」


「えぇっ!?」


「また?」


「三人も!?」


「どんな人たちなんだろう!」


「交流戦がきっかけって出場してた人だったりして!」


 期待に満ちた声があちこちから上がる。


 エルナは教室の外へ向かって声を掛けた。


「どうぞ、お入りください」


 ゆっくりと扉が開く。


 最初に姿を現したのは、美しい金髪を揺らすセレスティア。


 続いてアイリス、


 最後にフィオナ。


 三人が横一列に並んだ瞬間、講義室は水を打ったように静まり返った。


「……え?」


「うそだろ……」


「セレスティア様!?」


「本物の王女様だ!」


「アイリスさんまで!?」


「フィオナさんもいる!」


「本当に昨日まで交流戦に出てた人たちじゃないか!」


 次の瞬間、講義室中が大きなどよめきに包まれた。


 レイもセレスティアを見て、


(昨日の『また学院で』って、そういうことだったのか)


 隣のミオが小さく笑う。


「まさか、またアイリスさんと同じ教室になるなんてね」


「再戦もわりと近いかもね」


「そうね。次はもっと強くなった状態で戦いたいわ」


 エルナが手を軽く叩く。


「皆さん、静かにー!それでは自己紹介をお願いします」


 セレスティアが一歩前へ出る。


「初めまして。セレスティアです。この国の文化や魔法を学びたいと思い、留学させていただくことになりました。短い間ではありますが、皆さんと共に学べることを楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします」


 大きな拍手が起こる。


 続いてアイリスが前へ出た。


「アイリスです。まだまだ未熟ですが、この学院で多くのことを学びたいと思っています。皆さん、よろしくお願いいたします」


 再び拍手。


 最後にフィオナが一礼する。


「フィオナです。セレスティア様のお供として参りましたが、私自身も皆さんと共に学べることを楽しみにしております。よろしくお願いいたします」


 講義室は温かい拍手に包まれた。


「本物の王女様と一緒のクラスなんて夢みたいだ……」


「交流戦の準優勝者までいるなんてすごいクラスだな」


 そんな声が聞こえてくる。


 その言葉に反応したセレスティアが微笑みながら口を開く。


「えっ王女と王子なら、もうこの教室に――」


「「!?」」


 レイとミオの肩が同時にビクリと震えた。


 ――ガシャーン!!


 突然、大きな音が講義室中に響き渡る。


「きゃあっ!」


 椅子や机が倒れ、教室が騒然となった。


 全員が音のした方を見る。


 エルフィが頭を掻きながら苦笑いを浮かべていた。


「ご、ごめんよー! 足が引っ掛かっちゃった!」


「大丈夫?」


「怪我はない?」


 クラスメイトたちが駆け寄る。


 セレスティアは軽く咳払いをした。


「えっとそれで、この教室には王女と王子が――」


 ガッターン!!


 今度は講義室後方からさらに大きな音が響く。


「わっ!」


 クロエが抱えていた大きな荷物を床へ落としてしまっていた。


「あーっ! 本当にごめんなさい!」


「今日はみんなどうしたんだ?」


「偶然にしては出来すぎじゃないか?」


 講義室には笑いが広がる。


 レイは平静を装いながら心の中で呟いた。


(頼む……もう少しだけ頑張ってくれー)


 セレスティアも苦笑しながら、三度目の言葉を話そうとする。


「それでは改めまして。この教室には王女と――」


 ドンガラガッシャーン!!


 今度は講義室の隅で机が何台も将棋倒しになった。


「にゃぁぁぁ!」


 ニアが尻もちをついている。


「ご、ごめんなさいにゃ! 机にぶつかったにゃ!」


「今日は本当に騒がしい日だな」


「三人とも大丈夫か?」


「なんか息ぴったりじゃない?」


 クラス中が笑いに包まれる。


 レイは心の中でそっと親指を立てた。


(ぐっ……!)


 ミオも安堵したように小さく息を吐く。


 セレスティアはエルフィ、クロエ、ニアの三人を順番に見つめた。


 そして最後にレイへ視線を向ける。


 レイは何事もないように視線を逸らした。


 セレスティアは小さく微笑む。


(……三度も偶然が続くはずがありませんね。なるほど、『秘密』ということでしょうか。私たちと同じように……)


 それ以上は何も口にしなかった。


 エルナは手を叩いて話を進める。


「それでは席を決めますね」


 三人はそれぞれ指定された席へ向かう。


 近くの生徒たちが次々と声を掛けた。


「よろしくお願いします!」


「交流戦、すごかったです!」


「学院生活、一緒に楽しみましょう!」


 セレスティアたちも笑顔で応えながら席へ着く。


 こうして三人を迎えた新しい学院生活が、静かに幕を開けた。

セレスティア王女一行が転入してきました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ