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俺が魔王じゃなければ誰が魔王だというんだ〜無属性と判定された王子と黒き薔薇のメイドたち〜  作者: 黒華レン
学園編

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セレスティアの決断

本日、休講!

 交流戦終了の翌日。


 リベルタ中央魔導学院は、学院長オルフェウスの計らいにより全学年休講となっていた。


 学院に通う多くの生徒たちは、せっかくの休日を満喫しようと朝からユノベルの街へ繰り出している。


「交流戦、本当にすごかったよな!」


「決勝なんて鳥肌立ちっぱなしだった!」


「ミオさん、めちゃくちゃ強かったよね!」


「アイリスさんも惜しかったなぁ」


 街のあちこちで交流戦の話題が飛び交う。


 露店から漂う香ばしい匂い。


 大道芸人の芸を見て歓声を上げる子どもたち。


 休日らしい賑わいに包まれていた。


 そんな中、一人の男子生徒が声を上げる。


「あっ!」


 その視線の先には三人の女性が歩いていた。


 淡い金髪を揺らしながら優雅に歩くセレスティア。


 その隣にはアイリスとフィオナ。


「セレスティア様だ!」


「やっぱりお綺麗だなぁ……」


「昨日の交流戦でもすごい存在感だったよね」


 別の女子生徒が首を傾げる。


「あれ?」


「他の国の人たちは、朝早く帰っちゃったって聞いたけど」


「セレスティア様たちは、午後から出発するのかな?」


「午前中にリベルタを視察してから帰国するのかもね」


「王族って忙しそうだよね」


 三人はそんな会話に気付くことなく、ゆっくりと街並みを眺めながら歩いていた。


「やはり、この国は素晴らしいですね」


 セレスティアが穏やかな笑みを浮かべる。


「各国から技術や文化が集まり、街全体が活気に満ちています」


「歩いているだけでも新しい発見があります」


 フィオナも周囲を見渡しながら頷いた。


「はい、セレスティア様、治安も比較的良く、商業も盛んです。国全体がよく整備されていますね」


 アイリスも露店を眺めながら微笑む。


「人々の表情も明るいですね。皆さん安心して暮らしているのが伝わってきます」


 セレスティアは立ち止まり、賑やかな街並みを静かに見つめた。


「……そうですね」


 小さく息を吐く。


 そして、どこか吹っ切れたような笑顔を浮かべた。


「私、決心しました」


 フィオナとアイリスは顔を見合わせる。


 二人とも、その言葉の意味を理解していた。


 だからこそ、何も聞かなかった。


「私も、その決断を支持いたします」


 フィオナが静かに答える。


「私もです」


 アイリスも力強く頷いた。


 セレスティアは嬉しそうに微笑む。


「ありがとうございます」


 そして、


 三人は街角にある落ち着いた雰囲気のカフェへ入った。


 窓際の席へ腰掛け、それぞれ紅茶を注文する。


「この紅茶も香りがいいですね」


 セレスティアが落ち着いて言う、


「ええ、とても美味しいです」


 アイリスも相槌をうつ。


 穏やかな時間が流れる。


 その時だった、


 一人の店員が紅茶のおかわりを持ってくる。


「おかわりは頼んでいませんが…」


 フィオナが言った。


 すれ違いざまにほんの一瞬だけ小さく呟いた。


「……どこで見られているかわかりません。そのままで」


 店員は何事もなかったかのように紅茶を置き、背を向ける。


 セレスティアもカップへ視線を落としたまま、小さく返した。


「わかりました、報告を」


 店員はテーブルを拭くふりをしながら続ける。


「我々の調査の結果です。やはり女王陛下は、長期間にわたり食事へ毒を混入されていました」


 セレスティアは顔色を変えず聞いた。


「少しずつ衰弱させられ……暗殺された可能性が極めて高いと判断しております」


 アイリスの表情が僅かに曇る。


 フィオナも目を伏せた。


 セレスティアは静かに目を閉じる。


「……やはり、そうでしたか」


 悲しみよりも、覚悟を決めたような声だった。


 少しだけ間を置き、静かに続ける。


「報告ありがとうございます、あなたたちも十分に気を付けてください」


「はっ」


 店員は深く一礼すると、そのまま他の客の接客へ戻っていった。


 三人の前には再び静かな時間が流れる。


 しかし、その紅茶の湯気とは裏腹に、セレスティアの胸には新たな決意が静かに灯っていた。

セレスティアは重大な決断をしたようです

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