束の間の休息 後編
引き続き自由時間です!
各々好きなように時間を使っているようです。
一方その頃、
ユノベルではルピナ他アビス・メイドたちが慌ただしく働いていた。
「今日は他国からも多くの人が観光に来ています!温泉に商店にたくさんの人が来ます。さぁ、稼ぎどきですよ。みんながんばって!」
ルピナが温泉や商店で働いているメイドたちに声をかけた。
そして––中心街では、大柄な男の笑い声が響いていた。
「なるほどな!」
ガルドは腕を組みながら周囲を見渡す。
「リベルタの飯はうまいって話は聞いてたが、本当らしい!」
隣を歩くバルクが笑う。
「俺もリベルタの飯を楽しみにしてたんだ!」
「あぁ、いろんな国の奴らが集まる街だからな」
ガルドは屋台へ目を向けた。
焼き鳥。
串焼き。
海鮮焼き。
揚げ物。
甘い菓子まで並んでいる。
香ばしい匂いが辺り一帯へ漂っていた。
店主が胸を張る。
「うちは各国から冒険者も商人も来る街だからな!」
「誰が食べても美味いって言ってもらえる味を目指してるんだ!」
ガルドは豪快に笑う。
「なるほど、だからどれも美味そうなのか!」
店主は笑顔で頷いた。
「兄ちゃん、一本どうだ?」
「一本?」
ガルドはニヤリと笑う。
「この店のメニューを全部くれ!」
店主の動きが止まる。
「……全部?」
「ああ!」
「全部だ!」
店主は豪快に笑う。
「よしきた!」
「腕が鳴るぜ!」
数十分後、
ガルドの前には料理が山のように並んでいた。
焼き鳥、串焼き、海鮮焼き、焼きそば、揚げ物、丼物、甘味。
机いっぱいに料理が並び、周囲の客から驚きの声が上がる。
「おいおい……」
「あの兄ちゃん、一人で全部食う気か?」
ガルドは豪快に笑う。
「いただきます!」
次々と料理を平らげていく。
皿はみるみる空になっていった。
店主も苦笑する。
「こんなに気持ちよく食ってくれると作り甲斐があるわな!」
ガルドは親指を立てた。
「うめぇ!最高だ!」
バルクが呆れ顔で笑う。
「まだ食べるのか?」
「当然だ!まだ腹三分目だ!」
周囲から思わず笑いが起こった。
その頃、
一人の青年が真剣な表情で店の外を歩いていた。
ゼノである。
––魔導学院集合時
「今日は歴史を学びます」
「今日は私は行きたいところがあります。一人で大丈夫ですか?」
手には地図。
「地図もあります、完璧ですよ」
そう言って歩き始める。
十分後。
「……」
住宅街。
洗濯物が風に揺れている。
子供達が走り回っていた。
ゼノは腕を組む。
「なるほど、いい町です。まずは市民の生活を知るところからですね」
真剣に頷く。
さらに歩く。
今度は大きな教会が見えてきた。
その隣には墓地。
静かな空気が流れている。
ゼノは辺りを見渡した。
「……思っていたより神秘的です」
通りすがりのおばあさんが声を掛ける。
「お兄ちゃん、迷ったのかい?」
ゼノが辺りをキョロキョロしているところに声をかけられた。
ゼノは首を横に振る。
「いえ、探索です」
「そうかい、ならいいやね」
おばあさんは優しく笑いながら去って行った。
さらに歩き続ける。
そして、
「着きました、目的地の博物館!ほら、ちゃんと着いた」
ゼノは満足そうに顔を上げた。
目の前には大きな博物館。
しかし入口には、
『本日の営業は終了しました』
「…………」
ゼノは看板を見つめる。
「閉館時間でしたか」
その時だった、
「おーい!」
聞き覚えのある声。
振り向くとガルドとバルクが歩いてくる。
「お前、何してんだ?」
ガルドが笑いながらゼノに近づく。
ゼノは真剣な顔で答えた。
「博物館を見に来ました」
「閉まってるぞ」
「はい」
「確認しました」
「だから何で閉まってから来るんだよ!」
「博物館を見るのが目的です」
「中を見ろよ!」
ガルドは豪快に笑う。
バルクもたまらず肩を震わせる。
「まぁまぁ」
「飯でも食いながら帰ろうぜ」
ゼノは頷く。
「そうですね、空腹では歴史も学べませんからね」
「もう今日は飯だけでいいだろ!また開いてる時間に博物館に行けよ!」
三人は笑いながら屋台街へ向かった。
日が沈み、
夜。
一行はシェルナ村の温泉宿へ集まっていた。
女湯。
「はぁ~……」
セラが湯船へ肩まで浸かる。
「気持ちいい~!」
エリシアも頬を緩めた。
「疲れが取れるね」
リリアナは幸せそうな表情を浮かべる。
「極楽ですぅ……」
アウレリアも静かに微笑む。
「たまにはこういう日も悪くありませんわ」
アイリスとフィオナも湯に浸かる。
「良い温泉ですね」
「ええ、本当にいいお湯」
その隣でセレスティアが空を見上げる。
「皆さんとこうして温泉へ入るなんて……」
「とても久しぶりです」
ミオが優しく笑う。
「また皆で来ましょう」
セレスティアも自然と笑顔になった。
「はい」
一方、男湯では…
「広ぇぇぇ!!」
ガルドの声が響く。
「最高だ!」
湯船へ豪快に飛び込む。
ザバーン!
「飛び込まないでください」
ゼノが静かに注意する。
「湯が飛びます」
「悪い悪い!」
ガルドは笑う。
しばらくして、
二人は湯船へ肩まで浸かっていた。
「生き返るなぁ、戦闘の疲れが一発で吹っ飛びそうだ」
ガルドが空を見上げる。
ゼノも頷く。
「温泉とは奥深い文化ですね」
「今日は勉強になりました」
そして、
シルヴィアも湯から上がり、廊下でゼノとたまたま顔を合わせた。
「あら、ゼノ。今日はリベルタの歴史は学べましたか?」
ゼノは胸を張った。
「もちろんです」
「住宅街、教会、墓地、そして閉館した博物館…実に勉強になりました。」
シルヴィアはしばらく黙っていた。
「……それ、歴史じゃなくて散歩ですよね?」
ゼノは少し考え込む。
「なるほど、では歴史は学べなかったようですね。でも、博物館の閉館時間は確認できました」
シルヴィアは深くため息をつく。
「次は閉館前に行きましょう」
「それだと、あんまり見れませんよ?」
「それもそうですね」
ガルドがそのやり取りを聞いて腹を抱えて笑う。
「はっはっはっ!」
「お前ら、本当に見てて飽きねぇな!」
こうして束の間の休日は、笑い声に包まれながら幕を閉じた。
そして翌日、
いよいよ交流戦は佳境を迎える。
左ブロック決勝――
ミオ VS ガルド。
右ブロック決勝――
アイリス VS フィオナ。
そして、頂点を決める決勝戦。
各国の誇りを懸けた戦いが、再び始まろうとしていた。
各ブロック決勝戦、そして頂点を決める決勝戦が始まります




